プレゼンテーション「IIJmioモバイルサービス 新プラン発表会」

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IIJmioモバイルサービス 新プラン発表会

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IIJの新料金プランについて解説

MVNOの老舗で、シェア2位のIIJは、MVNOサービスのIIJmioに新料金プランの「ギガプラン」を導入する。

音声通話付きのSIMカードの場合、最低料金は780円。2GBのデータ通信が利用でき、容量超過後の通信速度は300Kbpsに落ちる。新料金プラン導入は4月。開始直後は非対応だが、6月には5Gにも対応する予定だ。

これまでのIIJは、「ミニマムスタートプラン」「ライトスタートプラン」「ファミリーシェアプラン」の3プランを展開しており、それぞれデータ容量は3GB、6GB、12GBだった。料金はそれぞれ1600円、2220円、3260円。格安スマホと呼ばれるMVNOでは一般的な価格体系で、大手キャリアより安い通信料を武器に、ユーザー数を伸ばしていた。2020年第3四半期には、103万7000のユーザーを抱える。

一方で、UQ mobileやワイモバイルといったサブブランドが勢いをつけるに従い、勢いは低下。ユーザー数も、2019年第1四半期の107万4000から、徐々に減り始めていた。UQ mobileやワイモバイルは、2月に新料金プランを導入しており、IIJmioとの価格差は縮まるどころか逆転。3GBプランでは、UQ mobileが1480円をつけるなど、苦戦を強いられていた。

新料金プランは、こうした状況を打破するために導入されるものだ。料金プランは現行の3段階から5段階へと細分化。2GB、4GB、8GB、15GB、20GBと選択肢を増やし、大手キャリアが3月から導入するオンライン専用の20GBプランにも対抗する。音声通話対応の場合の料金は、それぞれ780円、980円、1380円、1680円、1880円。現行の料金プランより安いのはもちろん、UQ mobileやワイモバイルより低価格をつけた。

6月に導入される「シェア」の仕組みも改める。従来は、1つの料金プランに複数のSIMカードをぶら下げる方式だったが、よりシンプル化した。新料金プランでは、2回線あれば、単純にそれぞれのデータ通信料を合算できる。例えば、2GBと4GBの料金プランを1人のユーザーが契約している場合、データ容量は合算で6GBになる。

音声通話対応のプランだけでなく、データプランなどもすべて新プランに移行する。IIJは他社に先駆け、eSIMを導入していたが、これも新料金プランに組み込んだ格好だ。eSIMの利用を促進するため、料金は通常のデータ通信専用料金よりもさらに安くしており、2GBは400円。4GBで600円、8GBで1000円、15GBで1300円、20GBで1500円と、全容量とも料金は格安だ。

IIJが大胆な新料金プランを打ち出せた背景には、回線を借りる際の卸価格や接続料が値下がりしていることがある。総務省は、携帯電話業界の競争を促進させるアクション・プランを打ち出しており、データ通信の接続料は3年間で半減させる方針。大手キャリアが値下げに打って出たことで、MVNO側も、業界団体を通じて音声卸や接続料の値下げを急ぐよう、提言していた。

こうした値下げ効果が出るのは、もう少し時間がかかるため、「それを待っていると、プランの検討が遅すぎると判断した」(IIJ MVNO事業部コンシューマサービス部長 亀井正浩氏)。どの程度値下がりするかをIIJ側で予想しつつ、「私たちなりの価格設定をした」(同)という。大胆な値下げができているのは、将来の予想を織り込んでいるためだ。

大手キャリアの値下げに伴い、MVNO各社も新料金を発表しているが、現状、IIJmioが最安をつけている。例えば、シェア4位のmineoは、1月に新料金プランの「マイピタ」を発表しているが、1GBで1180円とIIJの2GBプランより高い。IIJは数年後の値下げを先取りしたというが、シェアが大きいだけに他社も対抗を余儀なくされそうだ。IIJのギガプランは、MVNOの新たな料金水準を打ち出したと評価できそうだ。