プレゼンテーション「ココカラとマツキヨが統合協議へ 共同記者会見で発表」

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ココカラとマツキヨが統合協議へ 共同記者会見で発表

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マネー現代

マツモトキヨシHDの「株価」はまだまだ上がるのか、それとも…?

マツモトキヨシHDの経営統合に「微妙な空気」

まもなく夏の相場も終わりが近づいてきたが、株式市場は相変わらず慌ただしい展開が続いている。

国際的には米中貿易戦争がここへきて再びきな臭くなってきたうえ、フランスで開催されているG7会合では乱れる国際関係に新たな協調の道筋も見えてこない。日本市場に目を向ければ、為替相場で円高リスクが急浮上。日経平均株価は2万円を挟んでどちらに触れてもおかしくないような緊張モードが続いている。

そんな今週の日本株市場にあって、ズバリ的中率80%を超える『Phantom株価予報AIエンジン』(財産ネット社開発・運営、詳細はhttps://phantom-ai.com/)が導き出した「今週の注目銘柄」を紹介しよう。

今週の『Phantom株価予報AIエンジン』がピックアップした大本命銘柄はマツモトキヨシホールディングス (3088)である。ここへきて同社の株価が急上昇しているのだ。

マツモトキヨシHDといえば、言わずと知れた都市型ドラッグストアの大手企業。

8月16日に同業のライバル会社であったココカラファインとの「経営統合に向けた協議開始に関する覚書」を締結したことを発表し、業界全体が話題騒然となっている。財産ネット企業調査部長の藤本誠之氏が言う。

「もともとココカラファインとの経営統合にはマツモトキヨシHDだけではなく、同業他社であるスギホールディングスが名乗りも上げており、ココカラファインをめぐって『三角関係化』していた。今春からココカラファインは特別委員会を設置して両社のいずれと経営統合するのが妥当か検討したところ、ここへきてマツモトキヨシHDが選ばれた。ここからマツモトキヨシHDは独占的にココカラファインと交渉できることになり、経営統合に向けた交渉を進めていくことになる」

両社が経営統合すれば売上高1兆円超えの「メガ小売り企業」が誕生するとあって、株式市場の注目も俄然高まっている。

しかし、じつはその「評価」をめぐってはすでに微妙な空気が流れている。

下がって、上がる

アナリストが言う。

「じつはココカラファイン側がマツモトキヨシHDと経営統合に向けた協議開始を発表した直後、ココカラファインの株価は急伸して年初来高値を更新しました。一方、マツモトキヨシHDの株価はむしろ下落し、統合する両社のあいだで明暗が分かれたのです。マツモトキヨシHDについては経営統合によって『ドラッグスストア1位』に返り咲くとはいえ、経営統合によって売上高利益率が悪化する懸念があるとして嫌気売りした投資家が少なくなった。一部の株主からすると、マツモトキヨシHDの採算性が悪化するリスクが気になっているようです」

じつはその同日、経営統合でフラれたかたちのスギHDの株価は上昇しており、その事実がまたこうした見方を裏付ける。

しかし、事はそう単純ではない。経営統合交渉入りの発表がなされて数日、今度はマツモトキヨシHDの株価がぐんぐん伸び始めているのである。

前出・アナリストが続けて言う。

「きっかけは統合交渉発表後、6月22日に初めて開催された共同記者会見です。ここでマツモトキヨシHDの松本清雄社長は『ココカラの収益力を高められる』と言及し、市場の懸念を払拭させた見せたのです。具体的には、マツモトキヨシが強みを持つプライベートブランド(PB)商品をココカラでも取り扱ったり、新たに共同開発を始めたりすることで、ココカラの商品開発力を高めていくという。この共同会見翌日にはマツモトキヨシHDの株価はふたたび伸び始め、年初来高値も視野に入ってきた」

そもそも両社が経営統合に踏み切ったのは、ドラッグストア業界全体の競争がし烈化していることにある。マツモトキヨシHDはかつて業界ナンバーワンに君臨していたが、ここ数年で3番手、4番手、5番手と順位を下げてきた経緯がある。

ココカラファインの塚本厚志社長が「売上高一兆円で生き残れる可能性が高まる」と今回の経営統合について語っているのも、それだけ企業の優勝劣敗が激しくなっていることの裏返しだろう。

ココカラキヨシ…?

そうした中、今回の経営統合は確かに起死回生の「一手」となり得る。両社が経営統合すれば、売上高からしても店舗数からしても「日本一」になることは間違いない。前出・藤本氏も言う。

「両社が経営統合するとその効果は思いのほか大きいものが期待できます。店舗作業の効率性で採算性が向上することも見込めるうえ、利益率の高いプライベートブランドの開発などで大きなシナジーが見込める可能性も出てくる。SNS上では統合後の新社名が『ココカラキヨシ』になるのか、それとも『マツモトファイン』となるのかと議論が起きているように、話題性も抜群。しばらくは期待感からマツモトキヨシHDの株価も伸びていくと思います」

もちろん、本当の「闘い」はこれから。じつは、ここへきて業界トップクラスのツルハホールディングスの株価も上昇し始めていることはあまり知られていないだろう。

「今回のマツモトキヨシHDとスギHDの経営統合交渉をきっかけに、ドラッグストア全体に大再編劇が起きる可能性がある。そうなれば、規模を誇るツルハHDが交渉優位に立てる可能性がある。仮にツルハHDが経営統合に踏み切れば、もちろんその相手次第ではあるが、『最強ドラッグストア企業』にもなり得る」(前出・アナリスト)

ドラッグストア業界からはしばらく目が離せなそうなのである。