ロイター
トヨタの新車定額サービス「黒字化の道筋見えてきた」=キント社長
トヨタ自動車は20日、新車の定額利用サービス「KINTO(キント)」の申込みが、サービスを試験的に始めた2019年3月から20年12月までの累計で約1万2300件だったと明らかにした。運営会社キントの小寺信也社長は同日の事業説明会で、申込み数は「順調に推移している」とし、「事業黒字化の道筋が見えてきた」と述べた。
新型コロナウイルス感染拡大の中でも、大きな落ち込みはなく、密を避ける移動手段として需要が高まったと分析している。
キントは頭金が不要で、車両代や任意保険、自動車税、登録費用、車両メンテナンスなどの諸費用を毎月の定額料金に盛り込んだ新車利用サービス。車保有時の費用負担から購入に踏み切れない若年層などの取り込みを狙っており、トヨタの新たな収益の柱になり得るかどうか注目されている。
申込み件数はサービスを開始した19年は伸び悩んでいたが、その後、認知度を高めるために宣伝を強化したほか、低料金のモデルを加えるなどして取り扱い車種数も増やした。その結果、小寺社長は、従来型の新車購入に比べ、30代と20代以下の若い顧客を「多く取り込めた」と説明した。インターネットによる申し込みも若者には受け入れられやすかったとみている。昨年12月までの申込み約1万2300件のうち、個人客は84%、法人客が16%という。
コロナ感染拡大で緊急事態宣言が発出された昨年4月、5月の申込みも「さほど大きく落ち込まなかった」と語った。6月以降は単月で1000件を超え、7月─12月の期間では19年の同期間に比べて6倍以上に伸びた。
同社はキントの利用を増やすため、JTBなどの企業と提携し、車の利用を盛り込んだ旅行商品など、移動関連のサービスを販売するオンラインサイト「モビリティマーケット」(以下、モビマ)を4月に開設することも発表した。キャンピングカーのレンタル、ペーパードライバー向けの出張運転教習、自転車シェアサービスなどを購入できる。約20社との提携が現在決まっており、約30社とも交渉中という。キント利用者は契約コースに応じて3万─6万円相当のモビマのサービス優待を受けられ、キント利用者以外でも登録すればサービスを購入できる。