プレゼンテーション「実用化に向け進化したe-Paletteのオンライン発表会」

トヨタ自動車株式会社 / 技術

実用化に向け進化したe-Paletteのオンライン発表会

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ロボスタ

トヨタが進化した「e-Palette」とMaaS運行管理システムを発表 東京2020オリ・パラ大会で選手村内の巡回バス運行で実用化へ

トヨタは2020年12月22日、未来のモビリティサービスを実現する「Autono-MaaS」専用EV「e-Palette」の実用化に向け、そのサービス提供を支える運行管理システムを「オンライン発表会」にて公開した。
来年7月に延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック大会では選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートする予定だ。

「Autono-MaaS」は Autonomous VehicleとMaaSを融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語。次世代MaaS実現のキーワードは「AMMS」と「e-TAP」だ。

昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により人々の生活様式が変化している。
「人と接触せずに移動する」、または「人が移動するのではなく、モノやサービスの方が人のもとにやって来る」といった、モビリティへのニーズは急激に多様化している。更には、少子高齢化に伴う様々な課題に対して、新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増え、自動車業界は100年に一度とも言われる大変革の時代を迎えている。

トヨタ自動車は、このような期待に応えるため「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指し、トヨタ生産方式(TPS)の思想に基づいた「e-Palette」(イーパレット)の運行管理システムを開発していることはロボスタでもお伝えしてきた。

「e-Palette」の概要

MaaS専用次世代EVのコンセプトカー「e-Palette」は、2018年1月のCESにて社長の豊田氏がモビリティカンパニーへの変革を宣言した際に、クルマの概念を越え、ユーザーにサービスを含めた新たな価値を提供できるモビリティの象徴として発表された。2019年の東京モーターショーでは、自動運転の機能を備えた車両をお披露目し、来年7月に延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック大会では選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートする予定だ。

この運行管理システムは、「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF:モビリティサービスに必要な様々な機能をAPIを介してモビリティサービス事業者に提供するオープンなプラットフォーム)の新たな機能として、クルマとつながる“Autonomous Mobility Management System(AMMS)”とヒトとつながる“e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)”で構成されている。これにより、利用者の待ち時間短縮や混雑緩和が可能となり、安全・安心で快適な移動をサポートする。

Autonomous Mobility Management System(AMMS)

AMMSは、TPSによる究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指し、「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車。リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送する。追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を実現する。

また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することで安定した運行を支えることが可能。さらに、緊急時には遠隔での車両停止/復帰が可能であり、二重で安全管理ができるため、安心して利用できる。

e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)

e-TAPは、TPSにおける“自働化”の考え方に基づき、「目で見る管理」を導入した。車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を一人一台常時監視するのではなく、一人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでの運行を可能にする。

搭乗員や保守員など、運行に必要なスタッフに対し、自動的に作業指示を行い、遅れ/進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供することができる。

オンライン発表会の概要

同発表会は、2020年12月22日(火)15時より、トヨタコネクティッドカンパニー プレジデント 山本圭司氏を解説者に、30分間開催された。今回の発表会の中で、同氏は以下のように述べている。

トヨタコネクテッドカンパニー プレジデント山本圭司氏
先日の決算発表で社長の豊田がトヨタフィロソフィーとしてご紹介した通り、我々のビジョンは『可動性を社会の可能性に変える』であり、『幸せを量産するために、トヨタに働く一人ひとりが、人類の幸せにつながる行動を起こすこと』だと考えています。これを実行する基盤の一つがe-Paletteです。運行管理システムにより進化したe-Paletteは、未完成で常に成長し続ける街『Woven City』で鍛えられ、共に成長し続けます。

今後の展開について

同社は、様々なパートナーとともに、2020年代前半の複数エリア・地域での商用化を目指すとともに、人を中心に据え、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証する実証都市「Woven City」での運行も計画。人々が生活を送るリアルな環境のもとで走らせることで様々な学びを得ながら、ユーザーにより安全・安心・快適なサービスを提供できるよう、進化を続けていくとしている。