プレゼンテーション「実用化に向け進化したe-Paletteのオンライン発表会」

トヨタ自動車株式会社 / 技術

実用化に向け進化したe-Paletteのオンライン発表会

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トヨタ「e-Palette」実用化に向け加速 オリパラやWoven Cityでも走行

トヨタ自動車(以下、トヨタ)は12月22日、Autono-MaaS※専用EVである「e-Palette(イーパレット)」の発表会をオンラインで実施。CESでのお披露目からもうすぐ2年が経過し、来年には東京オリンピック・パラリンピック、そしてWoven Cityの着工が控える中で、実用化に向けた「e-Palette」の現在地を公開した。
※Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Serviceモビリティサービス)を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語

e-Paletteは、2018年1月に開催したCESで豊田章男社長がモビリティカンパニーへの変革を宣言した際に、その象徴として発表された。また、昨年の東京モーターショーでは、本来は今年7月の東京オリンピック・パラリンピックでサービス提供を行う予定だった自動運転機能を披露。そして、今年1月のCESでは、トヨタのコネクティッド・シティ構想であるWoven City(ウーブンシティ)でe-Paletteが走行する未来を語るなど、これまで順調に歩みを進めてきた。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で人々の生活様式が変化し、「人と接触せずに移動する」「人が移動するのではなく、モノやサービスが来る」など、モビリティへのニーズが多様化している状況だ。また、少子高齢化に伴って起こるさまざまな移動の課題に対して、トヨタはe-PaletteをはじめとするAutono-MaaSなどの新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増えてくるとの考えを示している。

このような期待に応えるため、トヨタは「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」、また、「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビリティサービスの実現を目指し、トヨタ生産方式の思想に基づいたe-Paletteの運行管理システムを開発した。

この運行管理システムは、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)※の新たな機能として、クルマとつながる「Autonomous Mobility Management System(AMMS)」とヒトとつながる「e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)」で構成されている。これにより利用客の待ち時間短縮や混雑緩和が可能になるという。
※モビリティサービスに必要な様々な機能を、APIを介してモビリティサービス事業者に提供するオープン・プラットフォーム

AMMSは、「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」という”ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指して、e-Paletteの配車を行う。リアルタイムの移動ニーズに基づいて運行計画を柔軟に変更し、自動で車両を投入・回送する。追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔での運行を実現できるとしている。また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上へと投入することで安定した運行を支える。さらに、緊急時には遠隔からの車両停止/復帰が可能だ。

e-TAPは、トヨタ生産方式における“自働化”の考え方に基づき、「目で見る管理」を導入した。車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を一人一台常時監視するのではなく、一人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでも運行を可能にしている。さらに、搭乗員・保守員などの運行スタッフに対して自動的に作業指示を行い、遅れ・進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供することを可能にしている。

トヨタのコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める山本圭司氏は、「先日の決算発表で社長の豊田がトヨタフィロソフィーとしてご紹介した通り、我々のビジョンは『可動性を社会の可能性に変える』であり、『幸せを量産するために、トヨタに働く一人ひとりが、人類の幸せにつながる行動を起こすこと』だと考えています。これを実行する基盤の一つがe-Paletteです。運行管理システムにより進化したe-Paletteは、未完成で常に成長し続ける街『Woven City』で鍛えられ、共に成長し続けます」と語った。

山本氏は会見で、「HANEDA INNOVATION CITY」で行った走行実験の様子も紹介した。今年実現できなかった東京オリンピック・パラリンピックでのお披露目は、来年改めて行うという。そして、年初に掲げた構想の通り、e-Paletteを来年2月に着工予定の「Woven City」で運行する計画であると改めて語った。また、今後はパートナー企業と連携しながら、2020年代前半の複数のエリア・地域での商用化を目指す方針だ。

■トヨタ コネクティッドカンパニー プレジデント 山本圭司氏 質疑応答(一部抜粋)

[他社(の自動運転車両)との違いは?]

私たちがこだわったe-Paletteの特徴を改めて紹介したい。まずはこのデザイン。大きなドア、低い車高、広々とした室内、未来を予感させるデザイン・意匠だ。また、この特徴により、例えばベビーカーと移動する方や車いすの方でも安心して乗車することができる。

二つ目の特徴が、どんな自動運転システムでもe-Paletteに装着できるということ。そのために制御インターフェースの仕組みを整備した。また、もしも自動運転システムに何かの故障や異常があった場合に車を安全に停止する、もしくは安全に走行させるためのバックアップシステム、いわばe-Paletteの守護神である「ガーディアンシステム」を装備している。

そして、何よりも一番申し上げたいのが、このe-Paletteは、この車体のみを指しているのではないということだ。今日紹介したような、サービスを運行する仕組み・システムをパッケージで提供するプラットフォーム、言い換えるとe-Paletteはモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)を構成する一つの要素だということ。サービス事業者の皆様と議論を重ねながら、どんどん進化させていきたいと考えている。

[パートナー企業について]

嬉しいことにいろいろな引き合いや興味を頂戴している。(中略)例えば、シャトルバスのように人を運ぶ人流、宅配に使われるような物流などに加えて、移動店舗・移動オフィスのようないわゆる「コト運び」でも多くの関心があるようだ。それから、昨今のコロナウイルスの影響もあり、最近では医療機関からの質問も多く頂いている。e-Paletteを一日も早く市場に投入し、社会の役に立てるようにと思っている。開発をどんどん加速していきたい。

[自動運転は実社会で本当にやるのかどうか]

自動運転技術(と関連サービス)の開発は世界各国いろいろなところで取り組まれている。日本においてもいろいろな地域で自動運転の実証実験が行われているが、実際はまだまだ実証実験の域を脱していないと思っている。

自動運転と一口に言っても、「自動運転の技術開発」と「自動運転社会を作る」ということは、少し意味が違うと思っている。特に後者においては、法整備もしくは社会受容性そのものを改めていく取り組みも必要になっていくと思う。実際に自動運転車両、自動運転の仕組みは間違いなく社会の発展に寄与できるものだ。なので、競争する領域、協調する領域をしっかり見定めながら、業界が一丸となって取り組んでいき、一日も早く世界の役に立てる、社会の役に立てる自動運転技術の完成を目指していきたい。