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実用化に向けたトヨタの「e-Palette」は、「ジャスト・イン・タイムモビリティ」「目で見る管理」を実現
■2020年台前半に複数のエリア、地域での商用化を目指す
2020年の東京オリンピック、パラリンピックでは、選手村でトヨタの自動運転EVである「e-Palette」が活躍しているはずでしたが、オリンピックは2021年に延期になっています。以前お伝えしたように、筆者も同乗する機会があった「e-Palette」について、多くの人からどうなっているのか? という問い合わせがあったそうです。
まずは、来年夏のオリンピック、パラリンピックでの選手村で運用され、その後はパートナーを組む企業や自治体などのもと、同サービスが展開される見込みとしています。
そんな中、トヨタは、2020年12月22日、未来のモビリティサービスを実現する「e-Palette」の実用化に向け、そのサービス提供を支える運行管理システムを公開しました。
先述したように、様々なパートナーとともに、2020年代前半の複数エリア・地域での商用化を目指すとともに、あらゆるモノやサービスがつながる静岡県裾野市の実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」での運行も計画していくと表明しています。
さらにコロナ禍によるニューノーマル(新常態)と言われるように、生活様式が変化し、「人と接触せずに移動する」、また「人が移動するのではなく、モノやサービスが来る」など、モビリティへのニーズは多様化。また、少子高齢化に伴う様々な移動の課題に対して、「e-Palette」をはじめとするAutono-MaaSなどの新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増えてくるとトヨタは考えているそう。
進化した「e-Palette」は「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」、また「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指し、トヨタ生産方式(TPS)の思想に基づいたe-Paletteの運行管理システムが開発されたのがポイントです。
この運行管理システムは「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の新たな機能として、クルマとつながる「Autonomous Mobility Management System(AMMS)」と、人とつながる「e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)」からなり、乗客などの待ち時間短縮や混雑緩和が可能になるそう。
「AMMS」は、トヨタ生産方式(TPS)による究極の「ジャスト・イン・タイムモビリティ」を目指し、「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車できるのが特徴だそう。リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入、回送します。追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行ができるとしています。
車両の異常を自動で検知した場合は自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することで安定した運行を支えます。さらに、緊急時には遠隔での車両停止、復帰が可能だそうで、二重の安全管理が可能で利用者の安心感を高めます。「e-TAP」は、TPSにおける自働化の考え方に基づき、「目で見る管理」が導入されています。
車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を1人1台常時監視するのではなく、1人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでの運行が可能になるそう。搭乗員、保守員など、運行に必要なスタッフに対し、自動的に作業指示を行い、遅れ/進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供することが可能としています。
先述したように、オリンピック後にe-Paletteは「Woven City」でさらに実証するべく、「Woven City」での運行を計画しています。人々が生活を送るリアルな環境のもとで走らせることで様々な学びを得ながら、乗客により安全、安心、快適なサービスを提供できるよう、進化を続けていくとしています。今後、パートナーと共に2020年代前半の複数のエリア、地域での商用化を目指していくとしています。
今回の発表では、東京オリンピック、「Woven City」での運行以外には具体的な地域などは示されませんでしたが、数年後にはe-Paletteによる多様なサービスが受けられるようになるかもしれません。