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トヨタ、“PHVこそこれからのエコカーの主流”新型「プリウス PHV」発表会 ゲストの石原さとみさんが“給電初体験”
トヨタ自動車は2月15日、東京都江東区にある日本科学未来館で同日に発売したプリウスの派生モデル「プリウス PHV」の発表会を開催した。
初代モデルのプリウス PHVは、3代目プリウスをベースとして走行用バッテリーに外部からの充電を可能にして、より積極的にEVモード走行を楽しめるようにした派生モデルとして2012年1月から一般販売がスタート。2代目となる新しいプリウス PHVは、2016年3月に開催された「ニューヨーク国際自動車ショー」で「プリウス プライム」(北米仕様)として世界初公開され、初代モデルとは異なりベースモデルのプリウスとは異なるエクステリアデザインが与えられていることや、CFRP製で特徴的な形状のバックドア「ダブルバブルウィンドウ」、ルーフ一面に太陽光パネルを設定する「ソーラー充電システム」で発電した電気を走行に利用する量産車世界初の機能などで注目を集めた。
新型プリウス PHVは、EV走行距離68.2km、ハイブリッド走行燃費も37.2km/Lを実現し、価格は326万1600円~422万2800円。このほか、価格やグレードといった詳細については関連記事(トヨタ、従来比2倍超のEV走行距離68.2kmを実現した新型「プリウス PHV」)を参照していただきたい。
「お客さまファースト」「環境ファースト」が新型プリウス PHVの使命
発表会では最初に、トヨタ自動車の取締役会長であり、世界初の量産ハイブリッド乗用車となった初代「プリウス」の開発責任者も務めた内山田竹志氏が登壇。まず内山田氏は、トヨタにおける環境車に対する取り組みを紹介。前日となる2月14日に発表したハイブリッドカーのグローバル販売台数累計1000万台達成について触れ、「これもひとえに、お買い求めいただいたお客さまあってのことです。この場をお借りして、支えていただいた多くのみなさまがたにお礼申し上げます」と感謝の言葉を口にするとともに深く頭を下げた。また、この累計1000万台のハイブリッドカーによるCO2削減として公表した約7700万tが、東京都で1年間に排出されるCO2を上まわる数字であると説明し、トヨタがCO2排出量の削減をはじめとする環境問題、エネルギー問題に真剣に取り組んできたと語った。
内山田氏はハイブリッドカーの普及によって環境問題に貢献できたとしつつ、環境問題はまだまだ深刻化していると語り、トヨタでは持続可能な社会実現を目指し、2050年に向けた「6つのチャレンジ」を掲げて取り組みを始めていることを紹介。なかでもCO2の排出削減は重要なテーマであると位置付け、2050年には新車から走行中に排出されるCO2を90%削減するという高い目標を設定しており、「ハイブリッドカー販売1000万台達成は、まだまだ通過点に過ぎません」とコメント。これまで以上のCO2の排出量を削減するためにはエコカーのさらなる普及が必要だとの見解を述べ、普及を見据えたエコカー開発をこれからも続けていくとした。
そんなエコカーで「PHVこそがトヨタにとって本流となる普及の要だと思っています」と語り、初代プリウス PHVに寄せられたさまざまな意見を反映して開発した新型プリウス PHVは「あらゆる面でお客さまの期待を超える『別次元の進化』を果たしました。自信作です」と評価した。
2代目となるプリウス PHVでは、いかに安心と利便性を提供できるかを追求した「お客さまファースト」、CO2排出削減を追求する「環境ファースト」という2点をこのクルマの使命であると位置付けて開発を実施。
「お客さまファースト」では、EV(電気自動車)としてエンジンを始動させずに走れる距離をEV走行距離68.2kmまで伸ばし、日常的な走行のほとんどを電気の力だけで走れるようにしたほか、日本各地を目的地とした中長距離のドライブでも、ガソリンを使うハイブリッドカーとして走り続けられることを内山田氏はアピール。「充電した電気を、安心して全部使い切ることができます」と語り、充電は家庭用のコンセントや急速充電、太陽光での発電などに対応。多様な充電方式に対応していることを利便性のポイントとした。
「環境ファースト」については、68.2kmとするEV走行距離の範囲内で走る場合にはCO2排出量がゼロであるほか、ロングドライブのときや万が一充電を忘れてしまった場合でも、高効率なハイブリッドカーとしてCO2の排出を抑えることができると語り、「このPHVが普及すれば、CO2の排出量を確実に、大幅に削減できます」とコメント。新型プリウス PHVは普及に必要な条件を備えており、「普及してこそ環境への貢献」というトヨタのスタンスを体現するモデルとなっていることを解説した。
また、トヨタでは2014年12月にFCV(燃料電池車)の「ミライ」を発売しており、“究極のエコカー”とも表されるFCVながら、水素供給インフラの整備など解決すべき課題を抱えており、「水素が当たり前の社会」「FCVが普通のクルマ」になるにはまだ長い時間を要すると内山田氏は語り、さらに、PHV同様に走行中のCO2排出量がゼロであるEVについても、世界中でさまざまなユーザーから選ばれるようになるには時間が必要であり、まだしばらくは石油が自動車エネルギーの中心である時代が続き、普及によってCO2排出量削減に貢献できるエコカーがPHVであると内山田氏は結論づける。ハイブリッドカー以上に普及に努めなければならないのがPHVであると語り、「PHVはこれからのエコカーの主流となるべきクルマで、『ハイブリッドの次はなんだ』、それはこのPHVです。これがトヨタの答えです」と締めくくった。
具体的な車両解説は、初代モデルからプリウス PHVの開発に携わっているというトヨタ自動車 Mid-size Vehicle Company MS製品企画 主査の金子將一氏が担当した。
金子氏は「EV走行」「充電システムの充実」「安全技術」「デザイン」「給電機能」の5点を取り上げて新しいプリウス PHVの魅力について紹介。「EV走行」では初代モデルの26.4kmから2倍以上となる68.2kmにEV走行距離を高めたこと、EV走行での最高速を135km/hまで引き上げたことなどを説明し、「別次元にEV走行できるようになりました」と述べている。
「充電システムの充実」では、家庭用の100V電源でも充電可能なので納車されたその日から充電して走れることを紹介し、200Vの充電を利用した場合には満充電まで約2時間20分というわずかな時間で完了するとアピール。さらに約20分で約80%まで充電可能な急速充電も利用できる。オプション設定の「ソーラー充電システム」では、太陽の力を走行に使えることをメリットとした。
新型プリウス PHVに全車標準装備される衝突回避支援パッケージの「Toyota Safety Sense P」では、4灯式LEDヘッドライトの照射範囲を制御することで、先行車や対向車に当たる部分を自動的に遮光する「アダプティブハイビームシステム(AHS)」をトヨタ車で初採用している。外部給電機能には、エンジンを始動させることなく給電可能な「EV給電モード」を新設。ガソリンでエンジンを動かして長時間の給電に対応する「HV給電モード」と2種類で、シーンに合わせて利用できるようになっている。
新広告キャラクターの石原さとみさんが“給電初体験”
また、発表会にはゲストとして、新型プリウス PHVの広告キャラクターを務めている石原さとみさんも登場。新型プリウス PHVの印象などを語った。
新型プリウス PHVのデザインについて質問された石原さんは「未来的というか、先進的で本当にかっこいいです。とくに私は、この後ろの部分(ダブルバブルウィンドウ)が“ステキ!”と思いました」とコメント。また、司会の女性から新型プリウス PHVが日常的な走行距離であれば満充電で1日走り切れることを説明され「本当にすごい時代ですよね~。頑張ってついていこうと思っているんですが、どんどん(クルマが)進化していくので驚かされます」と答えた。
また、充電については「家庭でできるっていうのはすごいですね。じゃあ、これからは新しく家が建つときには駐車場にコンセントがついてるようになりますね、これからの時代は」と語り、ソーラー充電システムについても「これを聞いて、本当にすごい時代だと感じました。自然のエネルギーを力に変えてクルマが走る。本当にすごいですよね!」と述べている。
新型プリウス PHVの外部給電機能については、石原さんなりの使い方を2枚のフリップに記入。使ってみたい提案として、家電製品を使ってより便利に、気軽に楽しめる「バーベキュー」、家の庭先などを光で彩る「イルミネーション」の2つのアイデアが挙げられた。また、仕事にも関連して、ロケ先などでアイロンやヘアドライヤーが使えることにも興味があるとコメントしている。
このほか、これまでクルマの外部給電を利用したことがないという石原さんに、「初めての外部給電」を体験してもらうコーナーも用意された。会場に用意された「PHV!」のイルミネーションから伸びる電源ケーブルを石原さんの手で新型プリウス PHVに接続。光り始めたイルミネーションを見た石原さんは「早くて簡単ですし、いっぱい電球があるのに全部点いてます」と感想を口にした。