プレゼンテーション「2021年3月期 第2四半期決算説明会」

トヨタ自動車株式会社 / 技術

2021年3月期 第2四半期決算説明会

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日本経済新聞

トヨタ、米中が回復けん引 原価低減で競争力向上

トヨタ自動車の業績底入れが鮮明だ。6日に2021年3月期の連結営業利益の見通しを前期比46%減の1兆3000億円と、従来予想(5000億円)から2.6倍に引き上げた。回復をけん引するのは米中だ。金融緩和を背景に需要が喚起されているほか、新車投入などトヨタ自身の取り組みも奏功する。(1面参照)

「通期で当初5000億円と予想していた営業利益を、第2四半期(4~9月期)でたたきだした」。同日、オンラインで記者会見した豊田章男社長はこう述べた。近健太執行役員は4~9月期決算について「前半3カ月と後半3カ月でかなり様子が違う」と、回復が進んでいると説明する。

21年3月期の世界販売は10%減の942万台を計画する。このうち下期(20年10月~21年3月)は505万台と、新型コロナウイルスが広がる前の前年同期を1%上回り、急回復する。7~12月の世界生産も過去最高となる見通しで、このまま需要回復が続けば、下期の世界販売は一段の上振れも視野に入る。

業績回復は08年のリーマン・ショック後よりも急ピッチだ。リーマン後は09年4~6月期まで3四半期連続で最終赤字となったが、今回はコロナ下で生産ストップが相次いだ20年4~6月期でも最終黒字を確保。7~9月期の純利益も4~6月期よりも増えた。

業績が回復している要因の一つは外部環境の改善だ。各国で生産停止が長引いたため流通在庫が減って需給が引き締まったところに、郊外型の生活様式の広がりも加わり自動車需要が回復した。

各国当局による経済・金融政策も下支えした。米国では自動車ローンの金利が下がって自動車の割安感が強まり、富裕層の買い意欲が高まった。調査会社マークラインズによると米国市場は9月に6%増の約135万台と、新型コロナ拡大が鮮明になって以降、初めてプラスに転じた。

中国では政府の販売支援策の効果もあり新車需要が堅調に推移し、市場全体の販売台数が4~9月まで6カ月連続で前年実績を上回った。トヨタの中国販売も4~9月に19%増の99万1516台と2桁伸び、同期間で過去最高となった。欧州でも各国が自動車購入支援策を導入した。

業績回復のもう一つの要因は、トヨタ自身の自助努力だ。リーマン以降の原価低減の取り組みにより、損益分岐点となる生産台数をおよそ600万台と200万台下げた。トヨタ幹部は「この10年で相当絞って体質改善に取り組んできた成果」としたうえで、「足元はもっと下げようとしている。損益分岐点を下げることが競争力になる」と話す。

世界大手の業績も復調している。独フォルクスワーゲン(VW)は4~6月に16億ユーロの最終赤字だったが、7~9月期は中国と欧州の販売回復で2四半期ぶりに最終黒字に転じた。欧米自動車の主要5社の7~9月期は最終黒字だった。ホンダも6日、21年3月期の連結営業利益が前期比34%減の4200億円になりそうだと発表した。従来予想より2200億円引き上げた。

先行きは不透明感も残る。欧米では再び新型コロナ感染が広がっている。「為替がやや円高に振れていることが懸念材料だ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリスト)との指摘も聞かれる。