プレゼンテーション「Audi Q2新車発表会」

アウディ ジャパン 株式会社 / 技術

Audi Q2新車発表会

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グーネット

アウディでもっともコンパクトなSUV、アウディ Q2が発表される

これまでのアウディとはひと味もふた味も違う「型破り」なクルマ。ターゲットはこれまでアウディを購入対象と考えなかったような“若い人たち”。

 4月26日に開催されたアウディの新型モデル「Q2」のメディア向け発表会は、開催場所やオープニングのパフォーマンス、そしてアウディジャパン社長のコーディネートからもそんな強い意志が感じされる「型破り」なものだった。
 発表会の会場はウォーターフロントにある倉庫の一部。しかし倉庫とはいってもイベントスペースとして使うために改装済みの洗練された空間で、ホテルなどでおこなわれる一般的な新型車発表会にくらべると漂う雰囲気がずいぶんとモダンだ。
 そしてスタートは、DJとダンサーによる「クラブ」のようなパフォーマンス。バックに流れるプロモーションビデオも「美しさ」とか「カッコよさ」を訴求するものではなくヒップホップに乗せた若者を意識させる柔軟なもの。多くの報道関係者はスーツで訪れていたが、ここまでスーツが似合わない発表イベントも珍しい。PRのテーマが「型破り」なのだという。
 もちろん、場の雰囲気に合わせてアウディジャパンの斎藤徹社長もこの日はスーツを脱ぎ、ネクタイを外してカジュアルなスタイルで登場。Q2がこれまでのアウディの枠にとらわれないキャラクターであることであることをしっかりと示したのだ。

 とういわけで最新モデルのアウディ Q2。このモデルを語るうえで欠かせないのが、コンパクトクロスオーバーSUVの市場動向だ。世界的なヒットを背景に年々販売台数が拡大しているSUVだが、なかでも近年とくに伸びているのがコンパクトなBセグメントのクロスオーバーSUV。車体は小さく、ちょっと車高の高いハッチバックのような感覚で乗れるモデルが人気になっているのだ。しかも、スタイルは個性的でなければならない。
 その火付け役になったのは日産 ジューク。欧州におけるジュークの爆発的なヒットを受け、国産車でいえばホンダ ヴェゼルやマツダ CX-3というフォロワーが登場した。もちろん海外メーカーも黙っているわけがなく、プジョー 2008やルノー キャプチャーにはじまりフィアット 500Xやジープ レネゲードなども加わって、あっという前に激戦区となったのである。Q2もその流れに乗った一台だ。
 
 アウディの車名において「Q」はSUVを示す。そして数字は車体サイズを表し、数字が大きいと車体も大きくなる。
 フルサイズのQ7を頂点にミドルクラスのQ5、そしてコンパクトなQ3とラインアップを拡大してきたが、今回登場したQ2はその末っ子というわけだ。車体サイズは全長4200mm×全幅1795mm。「2」という数字が表すようにAモデルに例えると、「A1以上、A3未満」。同セグメントのライバルと比べると、都会派のジープを気取るレネゲードよりも気持ち大きい車体となる。

 このクルマは決して荒野を駆け抜けるようなコンセプトではなく都市のヤングユーザーを想定しているが、ボディサイズで注目したいのが全高。SUVながら1530mmに抑えているので、ミニバン非対応の機械式立体駐車場にも入庫できるのは大きなポイントと言えるだろう。

 エクステリアデザインは遊び心にあふれたもので、「いつものアウディとは違って機能美を追求したシンプルなデザインではない。あえて遊びの要素を入れてこれまでにない表情を作り出している」と斎藤社長も断言。また、日本デビューにあわせて来日したエクステリアデザイナーのマティアス・フィンク氏は「若者向けの“Qモデル”を作ることになり、ターゲットは都会に住む30~40代前半と聞かされた。そのとき私は30歳だったので、『それなら私のためのクルマを作ればいい』と考えてデザインした」とエピソードを教えてくれた。
 色違いのCピラーも特徴で、これは仕様によりボディ同色、アイスシルバーメタリック、そしてマットチタングレーの3タイプが用意されている。

 パワートレインは2タイプあり、どちらも興味深い。ベーシックとなる1.0Lエンジンはアウディのエンジンのなかでもっとも小さなユニットで、シリンダーは3つ(3気筒)。ピストンとコンロッドのバランス調整を丹念に行った結果、バランサーシャフトなしでもスムーズな回転フィールを手に入れている。
 もうひとつは気筒休止システム(シリンダー・オン・デマンド)付きの1.4L 4気筒。こちらは1400~3200回転で低負荷走行をしている状況だとふたつのシリンダーを休止し、2気筒エンジンとして動いて燃料を節約する。いずれもターボ付きだから、小排気量ながら力強い加速を見せてくれる。トランスミッションは全車とも7速Sトロニックで駆動方式はFFだ。

 コンパクトボディゆえに室内のゆとりはそれほどない。これはこのセグメントの多くのライバルと同様で、どちらかといえばファミリー層よりも後席を使わない独身層をベースに考えたモデルといえる。とはいえ大人4人が移動することは苦ではないので、ファミリーユーザーでも子供がそう大きくなければ心配はいらないだろう。

 グレード構成はベーシックな「1.0TFSI」(299万円)、装備を追加した「1.0TFSI sport」(364万円)、そして1.4Lエンジンを積む「1.4TFSI cylinder on demand sport」(405万円)の3つを設定。装備面を見ると、追突回避・軽減ブレーキはベーシックグレードの「1.0FSI」にオプションで「sport」系のグレードには標準装備。「sport」系グレードにはアダプティブクルーズコントロールや車線からはみ出さないもしくは先行車にあわせてステアリング操作をアシストするステアリング支援システムと安全装備を組み合わせた「セーフティパッケージ」をわずか13万円のオプションとして設定しているので、運転時の疲労軽減かつ安全装備の充実を考えると「1.0TFSI sport」以上を選んでオプションとして装着したい。ボトムモデルとはいえ、中級グレード以上になれば最新の安全装備やバーチャルコックピットといった先進アイテムが装着できるのはプレミアムブランドらしい部分といえる。ただ、ナビはどのグレードもオプション設定だ。

 顧客への納車は6月中旬以降を予定。また発売を記念した限定モデルとして、「1st edition」というモデルも280台限定で用意。これは「1.4TFSI cylinder on demand sport」をベースに、ナビゲーションシステム、s lineパッケージ、セーフティパッケージ、アウディバーチャルコックピット、そして電動テールゲートなどを装着。490万円と高価だが、装備内容を考えればお買い得である。

 アウディというブランドを前面に出しながらも、「型破り」な存在をアピールするニューカマーのQ2。このクルマが日本において、新しいアウディの顧客層をしっかりと開拓できるかに大いに注目したい。