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アクセンチュア、麻布十番に「お祭り」オフィスを開設:イノベーション創発を強化
アクセンチュアは1月18日、デジタルに特化した専門スキルや社内外の先端技術を集約した新たなイノベーション創発拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京(Accenture Innovation Hub Tokyo)」を公開するとともに、さらなる同社のイノベーション支援の拡大戦略を発表した。
同日に開かれた記者発表会では、2フロアにわたる広大なスペースをお披露目。おしゃれなカフェスペース、コラボレーションを誘発するコワーキング・スペース、発想がしやすいように設計された和室スペース、デザインシンキングのための空間から、プロトタイプ開発を行うためのラボ空間と、アイデア創出から実際の製品・テクノロジー開発拠点までをこのハブにすべて集約した。
発表会冒頭に挨拶した同社代表取締役社長の江川昌史氏は、「デジタル・ハブ創設時から、(アクセンチュアの)ほかのグローバル拠点に負けない大規模な施設を日本でもつくりたいと思ってきた。それがようやく実現した」と語った。
麻布十番なら「お祭り」
新拠点は住友不動産麻布十番ビルの8階・9階にオープン。8階のエントランスを入って、まず目を引くのが中央にそびえ立つやぐら風のモニュメント(TOP画像)だ。
アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京の統括者で、同社執行役員、デジタル コンサルティング本部 統括本部長の立花良範氏は、「麻布十番といえば、お祭り。お祭り感を出すために、やぐら風のモニュメントと、屋台風のブースで演出している。ブースは、カスタマーエクスペリエンスやAR/VR、RFIDなど各テーマやテクノロジー別に20以上用意した」。
発表会時にはヘルスケアや製造業などのインダストリーゾーン、同社が強化するテクノロジー領域である人工知能ゾーンや生体情報センシングゾーン、デジタル店舗を彷彿とさせるようなバーチャルショップゾーンに、全部で27の屋台が出店。この屋台は、進行中のプロジェクトなどにより随時入れ替えを行い、使用しない屋台は奥のガレージ(GARAGE)に仕舞われるようだ。
本施設は、同社が2017年4月に発表した、イノベーションを全方位的に支援する全社横断の体制「アクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャー」を具現化したもの。そのフローのなかでも、オープンイノベーションを推進するアクセンチュアベンチャー、応用研究開発を専門にするアクセンチュアラボ、デジタルサービスの設計・開発やプロトタイピングなどを行うアクセンチュアスタジオ、ソリューションの実証を目的とするアクセンチュアイノベーションセンターを領域とする。
ストリートとお家
8階がコラボレーションやアイデアを創出する場、9階は下階のアイデアを実際の新しいサービスやプロトタイプ開発に繋げる場と、その機能を分けている。8階はその名のとおり、大企業、スタートアップ、行政・大学機関、研究施設などさまざまな外部組織が交わる「ハブ」であり、9階はラボだけでなく、デジタルクリエイティブ製作もできる「スタジオ」となっている。
9階のアクセンチュア・イノベーション・スタジオを統括し、同社のデジタルコンサルティング本部でアクセンチュアインタラクティブ日本統括である黒川 順一郎氏は、ラボや空間の設計にあたり、アクセンチュアのグローバル各拠点が展開するデジタル・ハブやイノベーション施設を行脚したという。そのうえで、日本に合うコンセプトを考えたところ、行き着いたのが「ストリートとお家」だった。
「8階のストリートで多種多様なアイデアが偶発的に交わり合う。9階のお家では、当社のクリエイターやUI/UXデザイナー、人工知能など専門分野のエキスパート人材が常駐している。特徴的なのは、クライアント企業にも常駐してもらうこと。プロジェクト別に部屋を当てがい、3カ月間でクリエイティブ制作やプロトタイプ開発まで実装する」。
さらに9階には、アクセンチュアが2016年4月に買収し、2017年12月に完全子会社化した株式会社アイ・エム・ジェイ(以下、IMJ)も移転している。江川社長は、「同じフロアに入居したことで、より連携を強化していける」と意気込みを見せた。
「共創」を演出
一方、ボストン・コンサルティングはBCGデジタルベンチャーズ(BCGDV)、デロイトはデロイトデジタル(Deloitte Digital)、PwCも2017年11月にデジタルテクノロジーによるイノベーション創出を目的に「エクスペリンスセンター」を開設しており、コンサルティングファームはこぞってデジタルエージェンシーやイノベーション・ハブとしての機能を強化している。
コンサル会社以外にも、大企業によるオープンイノベーション拠点の開設や世界中でスタートアップ支援を行うテクノロジーアクセラレーターの日本進出など、イノベーション領域では群雄割拠という状況のなか、アクセンチュアは、どこを強みとするのだろうか。
立花氏は、同様のイノベーション施設との差別化ポイントとして、「組み合わせ」をあげた。「当社は実際の技術や製品開発をするわけではない。ただし良いテクノロジーを持つ企業同士を引きあわせることができる。企業間の垣根を取っ払い、『組み合わせ』を演出することで、オールジャパンで、日本にしかできないイノベーションを生み出していきたい」と語った。