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アクセンチュアが麻布に大規模イノベーション拠点「デジタル化で世界追い越す」
アクセンチュアは2018年1月18日、顧客とのイノベーション創造の場となる「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」を東京・麻布に開設した。同社は2016年7月、東京・赤坂に「アクセンチュア・デジタル・ハブ」を開設しているが、今回のアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京は、新機能の追加や関連人材の集積なども併せて規模を大幅に拡大、移転したものとなる。
アクセンチュアの組織体系は、「Accenture Strategy(戦略)」「Accenture Consulting(コンサルティング)」「Accenture Digital(デジタル)」「Accenture Technology(テクノロジー)」「Accenture Operations(オペレーション)」「Accenture Security(セキュリティ)」の6つに分かれている。そして、これら6つの組織が「通信・メディア・ハイテク」「金融サービス」「公共サービス・医療健康」「製造・流通」「素材・エネルギー」という5つの産業分野に対して、同社のエキスパートがさまざまな提案を行っている。これは日本だけではなく世界共通の体制だ。
アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京で大きな役割を果たすことになるのが、デジタルだ。開設同日に同所で開催した報道陣向けの会見で、アクセンチュア日本法人 社長の江川昌史氏は「2年前に社長に就任した際に『デジタル世界でNo.1になりたい』と話したが、現在はデジタルが関わる売り上げが日本法人の5割を占めるようになっている。デジタルの推進に向けて設置したアクセンチュア・デジタル・ハブも、約1年半で1万人に来てもらうなど盛況だった。そこで、この活動をさらに拡大すべく、ここアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京をオープンすることにした」と語る。
アクセンチュアは売上高349億米ドル、全社員数43万5000人を誇るグローバル企業だ。地域別の売上高で日本は2015年まで6位にすぎなかったが、2016年に4位、そして2017年には3位になっている。「あと2~3年で英国を抜いて2位になれるだろう」(江川氏)。そして日本法人の人員数も、2018年7月に1万人超となる見込みだ(100%子会社化したIMJを含む)。これは3年前と比べて倍増となっている。
これら増員した日本法人の人員は、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京の他、新たに開設するリサーチ/プロジェクト拠点や関西オフィスに展開し、既存拠点も増強していく方針だ。江川氏は「従来は、国内の営業拠点がグローバル拠点と直接連携する形で事業を進めていたが、顧客からはグローバル拠点との間に入るような国内拠点が求められていた。アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京やリサーチ/プロジェクト拠点は、そういった役割を担うことになる」と説明する。
アクセンチュア日本法人のデジタルに関わる専門家を集積
アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京は、アクセンチュアが6つに分けて定義するイノベーションプロセス「アクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャ」のうち、「アクセンチュアオープンイノベーションイニシアチブ」「アクセンチュアテクノロジーラボ」「アクセンチュアインタラクティブ/リキッド/モバイルスタジオスタジオ」「アクセンチュアデジタルハブ」の4つをカバーしている。
同所は、地下鉄の麻布十番駅と赤羽橋駅が最寄りとなる新設ビルの8階と9階にある。8階の「Hub」は、顧客とアクセンチュア、パートナー企業などが一緒になってイノベーションを生み出すためのスペースだ。アクセンチュア日本法人 執行役員 デジタル コンサルティング本部 統括本部長の立花良範氏は「Hubはインスピレーションを得る広場をイメージしている。ここから日本発のイノベーティブなアセットを発信していきたい」と意気込む。
そして9階の「Studio」は、顧客が数カ月間“住み込む”イメージでイノベーション創造に取り組む場所になる。「8階がインスパイアの場とすれば、9階はコラボレーションの場になる」(立花氏)。
8階と9階には、アクセンチュア日本法人のデジタルに関わる専門家が集積されている。このため、イノベーションに必要となる人材に声を掛ければ、その場ですぐに加えることも可能だという。
立花氏は「日本発のイノベーションで可能性があるのはやはりモノづくり。モノづくりのデジタル化では現時点でも世界から遅れてはいない。今後は、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京での活動などによって、世界を追い越したい」と述べている。