BUSINESS INSIDER
「ドコモと徹底抗戦」するソフトバンク新料金…LINE特化の月額2980円・20GBプランでahamo攻勢
ソフトバンクは12月22日、新しい料金プランを発表した。
大容量のソフトバンク、小中容量のワイモバイル、そして新たに提供するLINEのプラットフォームを活用した「オンライン専用ブランド」という3ブランド戦略を打ち出した。
これはすでに新料金プランを発表しているNTTドコモへの対抗策で、政府が求めるメインブランドでの値下げにも踏み切った。
ソフトバンクの副社長執行役員兼COOの榛葉淳氏は、「かなり思い切った価格を提示した」とアピールする。
ソフトバンクも大容量プランを「無制限化&値引き」
メインブランドのソフトバンクでは従来の「メリハリプラン」を刷新し、データ容量を無制限とする「メリハリ無制限」を提供する。
4G、5Gの区別なく料金プランは共通で、料金は月額6580円(税別、以下同)。音声が980円、無制限のデータプランが5600円という内訳だ。従来の「メリハリプラン」ではデータの月間利用量が2GB以下だと1500円が割り引かれていたが、この目安を3GBに増量して継続する。
ソフトバンクブランドでは、家族で使う人が「大多数」(榛葉氏)であることから、「新みんな家族割」として、2回線で月額600円、3回線以上で月額1100円を割り引く。
光回線とのセット割「おうち割 光セット」でも月額1000円を割り引くため、最安では月額4480円となる。仮に利用量が3GB以下なら、最安で「月額2980円」ということになる。
テザリングは30GBに制限。スマートフォンに特化しているという理由に加え、固定代わりの利用を避けたい考えのようだ。米国における無制限の海外データローミングの「アメリカ放題」は今後も継続するという。
なお、これまで段階制料金の「ミニフィットプラン」も提供しているが、「しばらく新規の申し込みを受け付けるが、状況を見て検討して判断したい。すぐに停止することはない。しばらくは併走」(同)としている。
ahamo対抗に新ブランド「SoftBank on LINE」で抗戦
新たに提供するのが「SoftBank on LINE」(仮称)というコンセプトを打ち出した新ブランド。ブランド名称は未定だが、LINEのプラットフォームを活用したオンライン専用ブランドという位置づけだ。月間データ容量は20GBで月額2980円という価格は、ドコモのオンライン専用プラン「ahamo」の事実上対抗プランとなる。
2021年3月には、グループ内のZホールディングスとLINEが統合する予定で、それに合わせて格安SIM事業者(MVNO)の「LINEモバイル」を吸収合併。LINEモバイルの新規受付を停止した上で、SoftBank on LINEを開始する。
月間アクティブユーザーが8600万ユーザーを超えるLINEを生かして、LINEアプリ内で新規契約、変更などを受け付け、サポートもLINEのプラットフォームを活用する。
基本的にショップでは対応しない形で、「MVNOのLINEモバイルとはまったく異なる」(同)プランで、LINEをよく使うデジタルネイティブ世代を特にターゲットにする。
また「SoftBank on LINE」は、4Gだけでなく5Gにも対応する。
家族割や固定セット割などはなく、5分間の国内通話無料、LINEアプリの利用データのカウントフリー、eSIM対応といった特徴を備えているが、詳細は今後さらに詰めていく方針だ。
当初はSIMのみの提供を予定しており、端末の提供は「今後の市場環境などを考慮して検討する」(ソフトバンク広報)とする。
LINEモバイルは、これまでMVNOとして既存キャリアの回線を借り受ける形でサービスを提供してきた。
昼間の一部地域などで速度低下などがあったが、ソフトバンク内のブランドとなることで、これを改善。榛葉副社長は繰り返し「ソフトバンクと同一ネットワーク、同一品質」という点をアピールしている。
なお、既存の「LINEモバイル」ユーザーは「SoftBank on LINE」開始後も現在の契約内容で引き続き利用できる見通し。だが、榛葉副社長は「これからはSoftBank on LINE一本」と、今後統合していく方向性を示唆した。
気になるワイモバイルの立ち位置
ワイモバイルブランドでは、月間3GB・月額1980円の「シンプルS」、同10GB・2980円の「シンプルM」、同20GB・3780円のシンプルLの3プランを用意。小容量から中容量の利用をカバーし、店頭サポートや家族割などが必要なユーザーのニーズに応える。
ワイモバイルはすでに20GBの「シンプル20」を発表していたが、これをシンプルLに統合。いずれのプランでも4Gだけでなく5Gにも対応する。
オンライン専用ブランドが20GB・2980円に対し、ワイモバイルは10GB・2980円となっており、金額上はワイモバイルが「割高」に見える。
この価格差について榛葉氏は、新ブランドはショップやコールセンターのサポートを省いたためで、サポートコストの有無の違いだと説明する
ドコモ vs. ソフトバンク、どちらが「安い」のか?
NTTドコモのプランと比較すると、「メリハリ無制限」と「ギガホ プレミア」の場合はギガホ プレミアの方が30円安いが、5G対応の「5Gギガホ プレミア」と比較すると「メリハリ無制限」が70円安い。
「シンプルS」と「はじめてスマホプラン」を比べると、容量が3GBまでと大きい。また、容量のバリエーションが多い。
榛葉副社長は、「2021年にかけて5G元年になる」と指摘。それに向けて料金プランでの4Gとの区別をなくし、すべてのプランで5Gを同額で利用できるようにした。これによって、「安心して好みに合ったブランド、サービスが選べるようにした」(同)という。
NTTドコモに続いて値下げを敢行した形のソフトバンクだが、来月1月にはKDDIも値下げを実施する計画だ。
NTTドコモは他社動向を見極めてプランを調整する考えを示しているが、榛葉副社長も「今回、かなり思い切った価格を提示したが、業界の競争は激しいので、(他社動向を)ウォッチしながら、状況を見て判断していく」と、サービス開始までは調整をしていく方針に言及している。
ソフトバンク「業績への影響」は「確実に下がる」
値下げによる業績への影響については「確実に(業績は)下がる」(榛葉副社長)としつつ、ZホールディングスとLINEの統合に加え、ZOZO、アスクル、法人事業、PayPayといった幅広い事業で成長を図る。
また、「キャリアの事業もまだ3位なので伸び代がある」(同氏)として、ユーザー数の拡大による利益の確保も狙う。