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日産、「e-POWER」の生産コストを25年にはガソリン車と同等までに引き下げる
日産自動車は2月26日、独自のハイブリッド技術である「e-POWER」に関して、燃費を25%改善できる高効率なエンジン技術を開発したと発表した。その会見の中で、平井俊弘専務執行役員は生産コストについても、2025年にはガソリン車と同等までに引き下げることを明らかにした。
日産は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、30年代早期に主要市場に投入する新型車をすべて電動車両とする目標を掲げている。その柱となっているのが、『リーフ』に代表される電気自動車(EV)と『ノート』などに搭載されているe-POWERの2つだ。
「e-POWERシステムは従来とまったく異なったエンジンの使い方を可能とする。いままでに培ってきた日産のエンジン開発とEV開発の経験を融合した日産のユニークな技術だ」と平井専務は強調。
走行はモーターのみで行い、エンジンは発電機としてのみに使う。新e-POWERでは、燃焼方法を工夫して、熱エネルギーをどれだけ駆動に利用できるかの「熱効率」を従来の40%から50%に高める。ガソリンエンジンの平均的な熱効率は30%台と言われているから、50%の熱効率は世界最高レベルとなる。これにより燃費が25%改善できるそうだ。
このように日産はe-POWERの技術革新によって、ハイブリッド(HV)車で先行するトヨタ自動車やホンダに対抗しようというわけだが、もう一つ大事な要素は言うまでもなく販売価格だ。
日産の代表的な車種であるノートは、ガソリン車が144万円からだったのに対してe-POWER車は202万円からと60万円近くも高くなった。また、トヨタ『ヤリス』(199万円から)とホンダ『フィット』(199万円から)のHV車と比べても少し高い。
2020年12月23日に発売した新型ノートe-POWERは、受注が発売後約1カ月経過した2月1日時点で月間販売目標の2.5倍となる2万台に達したが、1月の販売台数は前年同月とほぼ同じ7532台と、登録車トップのヤリス(1万8516台)に大きく水をあけられて6位だ。
また、同年6月に発売したSUV『キックスe-POWER』についても、販売価格が275万円から311万円と価格が高いため、販売が思ったほど伸びずに1月の販売台数が4667台と登録車15位に低迷している。
いずれにしても、このe-POWERの生産コストがガソリン車並みに引き下げることができれば、日産のe-POWER搭載車の販売台数が大幅に伸びるのは間違いないだろう。2018年にノートが日産史上初めて登録車での車名別年間販売台数でトップに立ったが、それが25年以降にe-POWER搭載車で再び起こるかも知れない。