日刊工業新聞
トヨタ・いすゞが資本提携―商用車CASEで新会社、日野も参画
トヨタ自動車といすゞ自動車は24日、資本提携すると発表した。相互に株を持ち合う。2018年に資本関係を解消して以来の資本提携となる。自動車業界で加速するCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)技術の普及を目指し協業する。併せてトヨタ子会社の日野自動車も含めた3社出資による新会社を設立すると発表した。世界的なカーボンニュートラルのうねりの中、電動技術などでも乗用車と商用車の枠組みを超えた連携に乗り出した。(最終面に「深層断面」)
「ユーザー目線で考えて、いすゞとの提携がまた始まった」。豊田章男トヨタ社長はいすゞと再び資本提携に踏み切った背景をこう話す。前回の資本提携はディーゼルエンジンの開発がテーマだったが成果を残せなかった。今回はCASE技術の進展が乗用車と商用車の垣根を低くした。
いすゞが実施する第三者割当による自己株式処分により、トヨタはいすゞの普通株式約5%(割り当て後)、総額428億円を取得する。いすゞは、市場買い付けで同額規模のトヨタ株式を取得する。
資本提携する両社と日野自で新会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」を設立する。資本構成はトヨタが80%、いすゞと日野自がそれぞれ10%持つ。資本金は1000万円で、4月1日から事業を開始する。新会社社長にはトヨタで商用車部門トップの中嶋裕樹氏が就く。
小型トラック領域を中心に電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、自動運転技術、電子プラットフォームの開発に共同で取り組む。3社のコネクテッド技術をつないで、商用車版の基盤を構築する。
政府が50年までのカーボンニュートラル達成を掲げるなか、インフラの課題など商用車メーカー単独では対応が難しい。CASE技術の開発競争も激化している。
最近ではグローバル連携が進んでいる。いすゞはスウェーデンのボルボグループと提携。国内主要商用車メーカーの一角を占めるボルボ傘下のUDトラックスを21年前半までにいすゞは買収する。FCVで、いすゞはホンダと共同研究に取り組む契約を結んだ。
日野自は独フォルクスワーゲン(VW)トラック・バス部門のTRATON(トレイトン)や中国の比亜迪(BYD)などと協業する。さらに物流課題の解決を狙うネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、東京都新宿区)を設立し、荷主や運送事業者など幅広いパートナーと協働を進めている。
三菱ふそうトラック・バスは親会社の独ダイムラーと連携する。