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これが進化した魂動デザイン! 第7世代モデル第1弾「マツダ3」が日本で発売開始
マツダは新世代商品の第1弾となる「マツダ3」を発表、日本国内での発売を開始した。「マツダ3」は、これまで日本市場では「アクセラ」の名称で販売されていたが、フルモデルチェンジを機にモデル名を変更、グローバル市場向けモデルと同じ「マツダ3」に統一する。価格は、「マツダ3 ファストバック」が218万1000円から362万1400円。「マツダ3 セダン」が247万円から355万1200円となる。
マツダのクルマづくりが新たなるステージを迎えた
2012年から登場した「第6世代」商品群を開発するにあたり、マツダは開発の思想を根本から改革(モノ造り革新)、企画から製造まで一体となって作り上げる体制をもって理想主義的なクルマづくりを行ってきた。その結果が功を奏したのはご存知のとおりで、各カテゴリーに魅力的なモデルを投入し存在感を発揮している。そんなマツダにとって次の大勝負とされてきたのが、次世代「第7世代」商品群へのモデルチェンジだ。
今回発表された「マツダ3」は、「第7世代」商品群の第1弾にあたる存在で、すでに2019年1月の北米を皮切りに、欧州(3月)、豪州(4月)で発売開始していたが、いよいよ本国日本市場への投入が開始となった。
発表会が行われたのは、東京品川の寺田倉庫 B&Cホール。挨拶を行ったのはマツダ株式会社常務執行役員 国内営業・法人販売担当の福原和幸氏。
「2020年にマツダ創立100周年を迎えるにあたり、次の100年に向けてマツダが存続するためにもっとも必要なのはマツダの独自性。それを人と共に創ることを大切にしていく」とスピーチ。商品開発においても、人を第1に考え、人間中心の開発哲学に基づき、売り手と買い手が共創し、販売会社とも一体となって商品開発に取り組んでいくとした。新型「マツダ3」は、このような方針に基づいて開発された新世代商品群の第1弾であるという。
セダンとファストバックで異なる個性を表現
新型「マツダ3」は、「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」をコンセプトにしたコンパクトカー。「SKYACTIV」や「魂動デザイン」といったマツダ独自の技術やデザイン思想を進化させつつ受け継いでいる。
今回のモデルチェンジでモデル名を変更したことについて開発を取りまとめたマツダ株式会社商品本部の別府耕太氏は発表会後の取材でこのように語った。 「3代にわたり愛されてきたアクセラという名前を変えることについては、もちろん議論がありました。車名を変更するのには大きく2つの理由があり、ひとつがここからマツダのクルマづくりが変わるのだという、私たちの決意表明。そしてもうひとつが、社名を掲げるのにふさわしい仕上がりとすることができたからです。これまでのマツダは、単発でヒット車を出すことがありましたが、なかなかそれを継続させることができなかった。これからは、それができるブランドになっていきたい。そういう想いも込められています」。
「マツダ3」のラインアップは従来型と同様、ハッチバックとセダンの2タイプ。だが、新型ではハッチバックのプロポーションをファストバックスタイルへと変更。名称も「マツダ3 ファストバック」とした。ファストバックはとくに欧州市場で人気のボディスタイルで、流麗なルーフラインと後席の居住空間を両立させる手法だ。ファストバックについては、ボディサイズが従来型よりもわずかながらも小さくなっているのも特徴。逆にセダンは全長が80mm大型化されており、ボディタイプによってそのキャラクターが作り分けられているのがわかる。
デザインは「鼓動デザイン」をベースにさらに進化。「引き算の美学」を取り入れることで、ファストバックでは「色気のある塊」を、セダンでは「凜とした伸びやかさ」を表現した。派生モデルでありながらも、デザイン上は独立した車種として取り組んだというだけあて、外板の共通部品もごくわずかであり、実車を見た感想としても、それぞれの個性が際立っていた。デザイナーとエンジニア、生産部門が一体となって開発を進めたことで、特徴であるボディサイドの造形を製造クオリティでも引き立てることに成功。パネル同士のチリも従来モデルより狭く、緻密に作り上げたという。低く構えたフロントノーズ、ボディ端ギリギリまで張り出させたタイヤもこうした作り込みの成果だ。プレスライン表現を極力抑えた生物のような躍動感のあるボディ造形やランプ類の表現は、「マツダ3」だけでなく今後登場する「第7世代」商品群にも受け継がれていく。
シンプルかつ上質、雑味を極力排除したという室内空間。装備レベルも高い
機能面でも進化を遂げた。「MAZDA PROACTIVE SAFETY(マツダ・プロアクティブ・セーフティ)」は、センサーやカメラの情報を連携させることで精度や性能を向上。出会い頭の事故を防ぐ「前側方接近車両検知(FCTA)」や渋滞時のアクセルとステアリング操作をサポートする「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」、ライトの照射範囲を走行状況に応じて可変させる「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」を採用。さらに、赤外線カメラを使ったわき見運転や居眠り運転を予防する機能「ドライバー・モニタリング」を新たに設定。
ナビゲーション機能を含めた独自インターフェース「マツダ コネクト」も改良を受け、基本性能を向上、ナビ機能を強化させたことに加え、インターフェースシステムを進化させることで、使いやすさをアップさせた。
さらに、車載通信機を「15S」「15Sツーリング」を除く全車に標準装備。コネクティッドサービスについても今後サービスを提供していく。 また、音響性能についてもゼロベースでの開発と最適化を行った結果、従来ドアにあったスピーカーの位置をカウルサイドに移動。これにより、標準装備されるオーディオシステムについても、原音に近い高品位の再生を実現したという。
期待のSKYACTIV-Xは2019年7月から受注開始
パワートレインは、4種類。1.5L直4ガソリンの「SKYACTIV-G 1.5」、2L直4ガソリンの「SKYACTIV-G 2.0」、1.8L直4ディーゼルターボの「SKYACTIV-D 1.8」、そして世界初の燃焼方式を実用化した2Lガソリンの「SKYACTIV-X」だ。なお、「SKYACTIV-X」にはリチウムイオン電池を使った24Vのマイルドハイブリッド機構が組み合わせられる。
ちなみに、燃費性能(WLTCモード)は、「SKYACTIV-G 1.5」搭載のファストバック15S(FF・6MT)で17.8km/L、「SKYACTIV-G 2.0」搭載のファストバック20S PROACTIVE(FF・6AT)で15.6km/L、「SKYACTIV-D 1.8」搭載のXD PROACTIVE(FF・6AT)で19.8km/Lと発表。注目の「SKYACTIV-X」については現時点では未定となっている。
ドライバーや乗員の心にゆとりを生むためのテクノロジー
シャシー技術としては、新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」を採用。これは、人間が歩行を行う際に無意識で行なっている高度なコントロールを車両内でも発揮させるといった発想をベースに開発されたもので、基本骨格やシート、サスペンションシステムが刷新された。これにより、人間の感覚にあった、自然な乗り心地と操縦安定性を実現したという。
車両にかかる重力加速度をコントロールすることで、高い操縦安定性を提供する「G-ベクタリング コントロール プラス」も採用。「マツダ3」に搭載される最新バージョンでは、新たにブレーキ制御を追加。コーナーへの進入から脱出までをカバーし、人間が扱いやすく安心して走れる挙動を可能とした。発表に先立ちメディアを対象に行われたクローズドコースでの体験試乗にてその実力の一端を体験することができたが、唐突な衝撃やクルマの動きの変化が少なく、目線が安定しているため、運転しやすいと感じられるものだった。一般道での本格的な試乗はまだ行えていないが、そのポテンシャルの高さは間違いなく感じられた。
「クルマではなく、ドライバーが個性を与え完成させる」
独創的で自由なマインドを持つファストバック、端正で伸びやかなプロポーションを持つセダンというまったく異なる2つの個性を与えられたデザイン。人間中心の開発哲学による新世代シャシー。そして、大幅に強化された装備や快適性。
まさに全面的な刷新となった新型「マツダ3」は、量販クラスでありながらも、よりパーソナルなイメージを高め、スペシャリティ的な存在へと以降したことが目を引く。今後のマツダ車を占うモデルであり、デイリーカーとしても個性豊かで魅力的なモデルに進化したことが確認できた。
マツダ マツダ3 20S PROACTIVE(6速AT)
全長×全幅×全高 4660×1795×1445mm
ホイールベース 2725mm
トレッド前/後 1570/1580mm
車両重量 1350kg
エンジン 直4DOHC
総排気量 1997cc
最高出力 156ps/6000rpm
最大トルク 20.3kgm/4000rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/45R18