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目指したのはアート作品。マツダの新型クロスオーバーSUV「CX-30」発表会 「どこへでも気軽に出かけられるジャストサイズの商品」と丸本社長
2019年9月20日 開催
239万2500円~371万3600円(消費税10%含む)
マツダは9月20日、クロスオーバーSUV「CX-30」の発表会を実施した。CX-30は「CX-3」に次ぐ新世代商品の第2弾となるモデルで、新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)」をはじめ、新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X 2.0」などを採用している。
発表会では同社 代表取締役社長兼CEO 丸本明氏があいさつを行なったほか、商品本部主査 佐賀尚人氏、チーフデザイナー 柳澤亮氏が商品説明を実施した。
最初に登壇した丸本氏はCX-30について、「MAZDA3に続く進化した魂動デザインとスカイアクティブ技術を採用した新世代商品の第2弾となる、まったく新しいクロスオーバーSUV」と紹介。さらに「グローバルの市場がSUVにシフトしている中、当社の基幹車種の1つであるCX-5に続きブランドを牽引し、今後のマツダを支えていく柱の1つ」と位置付ける、極めて重要なモデルであると説明した。
続けて、CX-30は新世代商品でマツダが理想とする人間中心のクルマづくりを深化させた結果、「どこへでも気軽に出かけられるジャストサイズの商品に仕上がった」と胸を張るとともに、「お客さまのニーズやライフスタイルにピッタリ合ったクルマ選びをしていただけるようになった」と、マツダブランドのラインアップ強化に繋がった点も言及した。
さらに、「商品の価値を分かりやすくお伝えすること、お客さまのカーライフをしっかりとサポートすること、お客さまの大切な資産であるクルマをしっかりお守りする取り組みを強化していく」とし、「これまでマツダブランドに接点のなかったお客さまを含め、広くマツダ独自の価値をご体験いただきたいと考えております」と述べた。
そして最後に「今後もマツダは、このCX-30やMAZDA3をはじめとする走る歓びに溢れる商品と、マツダらしい顧客体験の両輪でお客さまともっとも強い絆で結ばれたブランドになることを目指して参ります」と述べ、挨拶を締めくくった。
続いて主査を務めた佐賀氏が登壇し、CX-30について「独自の価値である走る歓びをより多くのお客さまに提供したく、あらゆる領域で深化をさせてまいりました。デザイン、室内パッケージ、そしてダイナミック性能をこれまでより高いレベルで融合させた意味を込めて名付けた」と説明した。
CX-30が生まれた背景としては、クロスオーバーSUVが日常生活の中で使われる機会が増えてきたことを挙げ、「どこにでも気軽に出かけられるジャストサイズの商品を目指した」という。その際にターゲットとして着目したのが「人生の転換期を迎える方々」。そうしたユーザーはニーズが多く、クルマ選びが難しいことが多いものの、「だからこそ積極的に選んでいただき、人生の輝きを経験できるようなパートナーであり続けたい」とした。
そして、CX-30がユーザーに提供する価値として挙げたのが、「美しさに感性が共鳴し、創造性豊かな自分になれる」「自分の意思のまま、自由に走り出せる」「大切な人と過ごす時間を通し、絆が深まる」「心の余裕が、日常の中に新たな発見を生む」の4項目。
1つ目のエクステリアデザイン、インテリアデザイン、クラフトマンシップでは、チーフデザイナーを務めた柳澤氏にバトンタッチ。柳澤氏は、「CX-30で目指したのは世界で最も美しいクロスオーバーSUV」であるとし、「SLEEK and BOLD」がデザインコンセプトであると説明。その具体例としてボディサイドの「S」の字を描く映り込みを挙げ、「光と影の揺らめきによって生命感を表現する、日本固有の繊細な美しさを追求している」とした。
また、クルマ全体のシルエットでは「短くて背の高いボディに広い室内空間を与え、それとは相反する流麗なプロポーションを作ることに挑戦した」と説明。そのため「居住性のために後席のルーフを高く保ったままDピラーを寝かせることによって流麗なキャビンを実現」「幅広の黒い樹脂パネルで下半分をブラックアウトすることによって、ずんぐりとしがちなボディをスリムに見せる」「キャビンから一気に張り出すワイドなリアフェンダーを持たせることによってスタンスのよさを作った」と、3つのブレークスルーを紹介。「室内空間と美しさの両立が図れたと確信している」と自信をのぞかせた。
一方、インテリアはマツダならではの「人馬一体」の思想で一環していると述べ、人とクルマの一体感のために左右対称のドライバーコクピットを作り、大きなウイング形状のフードで包み込まれる居心地のよい室内空間とした上で、「細部は人の手のぬくもりを感じるよう丹念に作り込んでいる」と紹介。
また、「黒一色の内装をなくし、ブラウンやネイビーブルーなどの色使いで多彩なスタイルを提供している」とした。最後に「CX-30は世界で最も美しいクロスオーバーSUV。つまり、ともに暮らすことができるアート作品を目指しました。私たちが魂を込めたこのクルマが、お客さまに創造性豊かな日々をお届けできることが私たちの願いです」と締めくくった。
2つ目以降のキーバリュー説明では、再び佐賀氏が登壇。寸法諸元、荷室、ダイナミック性能について、4395×1795×1540mm(全長×全幅×全高)というボディ寸法は都市部での機動性、立体駐車場を考慮したと説明。また、シート高さについてはデイリーユースでの扱いやすさを考慮したと話した。
荷室に関しては「ヤングファミリーの使い方を考慮し、ベビーカー、スーツケースが同時に積める容量」にするとともに、「長いものでも乗せやすい開口幅、重量物でも乗せやすい開口高さ」に設定。その上でマツダのDNAである人馬一体のダイナミック性能を追い込むために、スカイアクティブビークルアーキテクチャーを採用したとし、「人間のバランス能力を活かし、クロスオーバーとは思えない自在感のある運転フィールを楽しんでいただける」と述べた。
3つ目として室内パッケージ、静粛性、オーディオサウンドに注力したことを紹介。CX-5並みとした左右席間距離に加え、後席頭上空間を広げることで、大人4人が同時に余裕を持って乗車できるほか、前後で会話しやすい着座レイアウトとしたことを紹介。また、「静粛性、オーディオサウンドはMAZDA3と同様に最新技術で高め、皆さまで会話や音楽を楽しんでいただける」とアピールした。
最後に乗員全員に安心感を与えるため、視界性能、認知・操作機器、安全性能に注力した点を紹介。「非常にスタイリッシュなデザインながら、安全安心のベース技術である視界を広くとり、高い視線と相まって周囲の状況、安全を確認できる」としたほか、「認知・操作機器はMAZDA3と同じ最新のコンポーネントを使いながら最適化している」と説明。「このクルマによって1人でも多くのお客さま、ご家族、ご友人の人生がより輝かしくなることに少しでも貢献できましたらこの上ない歓び」と締めくくった。
最後に丸本社長の囲み取材における一問一答を紹介する。
――アグレッシブな価格付けに感じられるが?
丸本社長:基本的なポジションはCX-5とCX-3の間。SKYACTIV Xについては導入初期ということもあり、いずれ普及レンジにしていきたいという思いはある。少し高めの価格付けでお客さまにどのように評価されるか見てみたい。
――アメリカ市場に導入するが勝算は?
丸本社長:アメリカ市場だけが特別厳しいという意識はない。新しく開発してきたテクノロジーや価値をいかにお客さまにご理解いただけるか。お店に来ていただき、触ってもらって実際に運転してもらってということを愚直にやらないと、なかなか価値は伝わらないと思っている。そういった活動をアメリカだけではなく、すべての国において強化していきたい。
――新世代商品の1番手となるMAZDA3の評価は。2番手のCX-30はどのような役割を担うと思っているか。
丸本社長:正しい台数はリリースしていないので、いろいろな報道がされていると理解している。日本とメキシコは予定台数とシェアを過達している。特に日本は2万台のオーダーをいただいていて、8月は4000台、9月は7000台弱ぐらい。計画の135%ぐらいで推移しているのでうまくいっている。メキシコは市場が10%ぐらい落ちているが、計画を10%ぐらい過達している。オーストラリアは台数は計画通りでシェアは過達。ヨーロッパは台数は未達ながらシェアは達成ぐらい。問題はアメリカ。アメリカは計画時の想定より10%ぐらい落ちているので苦労している。8月からインセンティブを調整しながらシェアが改善してきており、もう少し長い目で見たいと思っている。すごくうまくいっていないという報道があるが、決してそんなことはない。
CX-30のセグメントはアメリカは成長が鈍化しているが、それ以外の国はかなり成長してきている。想定より伸びている。そういった中で、CX-30はMAZDA3が現時点でうまくいっていない国でもそれを払拭してくれるといいなと期待している。生産的にもMAZDA3とCX-30は同じようなスペックをしているので、トータルで見ていければいいなと思っている。