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「端末補助なし」 ドコモが“常識破り”の新プラン
NTTドコモが、他の携帯電話事業者(キャリア)とは一味違った料金プラン「docomo with」の提供を6月1日から始める。現在の携帯業界では一般的となっている端末購入時の代金補助サービスを提供せず、ユーザーに全額負担させる代わりに、端末を使い続ける限り半永久的に月額料金から1500円を割り引くというものだ。
プランの対象となる端末は、2017年夏モデルの「arrows Be F-05J」(富士通製)と「Galaxy Feel SC-04J」(韓国Samsung製)の2機種。ともに防水・防じん機能、おサイフケータイ、ワンセグなどを搭載したモデルだ。ユーザーはいずれかの端末を定価で購入した場合、機種変更しない限り割引を受け続けることが可能だ。
ドコモがこれまで提供してきた「月々サポート」は、購入後2年が経過すると割引特典が失効し、以降の利用料金が割高になるなど、端末の買い替えを促進するものが多数。2年以上の長期にわたって端末を使い続けたいユーザーへの優遇策は存在しなかった。
吉澤和弘社長は「『docomo with』はこれまで手薄だった、端末を長く使い続けたいと考えるユーザー向けの施策。このプランの発表により、ユーザーの多様なニーズに応えられる体制が整った」と説明する。
具体的には、データ通信料の少ないユーザーは「シンプルプラン」と「シェアパック5」の併用、動画視聴などで通信料が多い人は「ウルトラパック」、端末を長く使いたい人には「docomo with」を選択することで、月額料金の削減が可能になるという。
夏の新モデル、優れた点は?
17年夏モデルのスマホ、タブレットは、上記の2機種を含めて9種。HDRコンテンツの再生に対応した高画質モデルや、高速通信が可能なモデルがラインアップされている。
中でも、高画質ディスプレイを搭載した「XPERIA XZ Premium SO-04J」(ソニー製)は、スマホとして初めて4K HDRコンテンツの再生に対応した点が特徴。最大788Mbpsの高速通信にも対応している。
このほか、1秒間に960コマの高速撮影が可能なカメラを持ち、通常の約32倍スローな動画再生に対応した「XPERIA XZs SO-03J」(ソニー製)、「IGZOディスプレイ」の反応速度をより高速化した「AQUOS R SH-03J」(シャープ製)、ドコモのタブレットでは初めて指紋認証に対応した「D tab Compact d-01J」(中国Huawei製)などが5月末~7月にかけて順次発売される。
「ユーザーは、それぞれのライフスタイルに最適なプランとモデルを選択してほしい。当社は今後も顧客ニーズの変化に応じて商品を拡充していく」と吉澤社長は話す。
さまざまな側面からユーザー取り込みへ
また、ドコモは今夏から、55歳以上の「dアカウント」を持つユーザー向けにレジャー施設の割引クーポンを付与するサービス「dエンジョイパス」(月額税別500円)を始める。
中高年のスマホ所有率は依然として低く、昨夏から始めた60歳以上が対象のプラン「シニアはじめてスマホ割」も目覚ましい成果は得られていない。
こうした現状を踏まえ、dエンジョイパスではディー・エヌ・エーの中高年向けSNS「趣味人倶楽部」と連携。共通の趣味を持つ人との情報交換やオフ会を可能にするなど、中高年層にとってメリットの大きい仕様にし、さらなるユーザーの獲得を図っていく。
人材ビジネスも開始
また、求人情報サービス「dジョブ」も今秋をめどに始める。同サービスには、アルバイト、派遣社員、正社員など通常の募集案件だけでなく、クラウドソーシングやWebアンケートへの回答など場所を問わず働ける「スマホワーク」と呼ぶ案件も掲載する。
ユーザーがスマホワークで得た報酬を受け取る際は、1回当たり200円(税別)の手数料が発生。さらに、利用状況に応じて「dポイント」がもらえる月額300円(税別)の有料プランも設け、収益源としての確立を目指す。
吉澤社長は、夏以降に向けた一連の戦略について「25周年を記念したチャレンジだ」と述べ、意義の大きさを強調していた。