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ドコモ、5Gスマホをプレサービス発表会でお披露目 – 5G時代のキラーコンテンツは「明確にしたい」
第5世代移動通信システム(以下、5G)の2020年春 商用サービス開始に向けて、いよいよNTTドコモが動き出しました。同社では、どのような未来像を描いているのでしょうか。都内で18日、ドコモが9月20日から提供する5Gプレサービスの発表会「5G OPEN DAY」が開催されました。
5Gスマホがハブになる「マイネットワーク構想」
冒頭、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が登壇して、5G時代に向けた取り組みについて説明しました。「5G時代にはスマートフォンのあり方が変わります。ドコモではスマホをハブにして、周辺デバイスと対応サービスで新体験を提供していくマイネットワーク構想を進めていきます」と吉澤社長。同社では、一般消費者にはお得と便利、楽しさと驚き、満足と安心を届けるとともに、パートナー企業との協創(+d)により産業に貢献、社会課題を解決し、地方創生を目指していくとしています。
ドコモの強みは、パートナー企業との協創。吉澤社長は「ドコモ5G オープンパートナープログラムには3,000超の企業・団体が参加しており、新たなサービス創出に向けて197件のトライアルが実施されています」とアピールします。
5Gで結局何ができるの?
具体的には、どのような5Gの活用方法を考えているのでしょうか。ゲストとして招かれたワコム代表取締役社長兼CEO 井出信孝氏は、ワコムのタブレットを5G+XR環境で使用すれば、リアルタイムで、かつリアルサイズでクルマやバイクなどのデザインもしていけるとアピールしました。XRとは、VRやAR、MRなどを総合した仮想的空間の総称。「空間、時間、場所にとらわれない仮想空間“XR”で描画できます。よりクリエイティブな創作環境をデザイナーに提供することが可能です」(井出氏)。
例えばカーデザインなら、XR空間で実際の大きさを目で確認しながら外装や内装のデザインが行えます。遠隔地のデザイナーとのコラボレーションもセキュア環境で実現。クリエイターがオフィスに行かずに済むので、リモートワークという観点でも時代にあっているとの説明でした。
5Gを利用したサービスの中で、注目したいのが(2019年4月に資本・業務提携を発表した)米Magic Leap社との取り組みです。ゴーグル型のデバイス「Magic Leap One」と5Gを組み合わせ、コンシューマ向けの次世代ゲームや新しいスポーツ観戦、音楽ライブ体験などを実現。BtoB向けには3D映像によるサポートサービスなどを提供していく考えです。
ドコモでは、ラグビーワールドカップ2019 日本大会において5Gを活用したパブリックビューイングやマルチアングル視聴など、新たな観戦スタイルを提案します。誰が、何処にいても心動かす観戦体験ができる新しい世界を提供していく、とサービスの実現に向けて意気込みが語られました。
ラグビー観戦について、LG Electronics製の5G対応スマートフォンを使ったユニークなデモも行われました。同端末は2画面が連動するタイプ。これを活用して、好きなアングルのカメラに自由に切り替えが可能、リプレイや選手のスタッツも適宜チェックできるサービスになっていました。
5Gプレサービス対応機種がお披露目
会場には5Gプレサービス対応機種も公開されていました。スマートフォンとして、ソニーモバイルコミュニケーションズ、サムスン電子、LG Electronicsの3社が端末を提供。データ通信製品としてシャープがルータを提供します。残念ながら、いずれも5Gを使ったサービスを検討している企業向けのもので、一般販売は行われません。一般消費者向けの5Gスマホの発売は、まだ先になりそうです。
ちなみにドコモでは5Gの通信速度を最大20Gbpsまで引き上げると説明しています。これは、桁違いの速さといえるでしょう。例えば現在の4G回線では、ドコモの最新スマホでも下り最大1,288Mbps。つまり5Gでは、その20倍ものダウンロード速度が出ることになります。これにより同社では4K / 8K動画、IoT、自動運転、ロボット遠隔操作などの分野でサービスを実現したい考えです。
質疑応答には、吉澤社長らが対応しました。
5G対応サービスが提供される時期は2020年春を予定。対応端末の発売時期はまだ明らかになっておらず、Magic Leapについても「Magic Leap社の製品が消費者に提供されるまで、まだもう少し時間がかかります」と回答しました。次世代のゲーム体験が待ち遠しい方もいるかも知れませんが、当面はBtoBtoCというカタチになりそうです。
5Gプレサービスは、サービスとソリューションをブラッシュアップしていくフェーズ。その過程で「5Gならではのキラーコンテンツは何か」を明確にしていきたい、と吉澤社長は説明します。
「スマホで表現できるものが全部ではありません。周辺のデバイス、サービスを含めて、マイネットワーク構想により5Gならではの空間をつくっていきます」(吉澤社長)。究極的には、スマホなしで5Gサービスを実現したい、でもスマホが要らなくなるのはまだ先になりそうですと説明していました。
5G基地局の無線機器ベンダーについて聞かれると「富士通、NEC、ノキアの3社です。LTEのベンダーでもある3社にしています」。ファーウェイについて聞かれると「個別のメーカーさんについてはコメントできません。現在、機器ベンダーとしてファーウェイの機器は採用していません」と答えるにとどまりました。