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新型「リーフ」の本当のすごさとは 意外と地味な世代交代? 実は先代とこんなに違う(画像28枚)
2017年9月6日(水)、日産はフルモデルチェンジした第2世代の電気自動車「リーフ」を発表しました。幕張メッセで開催された発表会には、世界60ほどの地域のメディアも参加。まさにワールドプレミアと呼べる国際色豊かなイベントに。ここで日産は、次世代技術である「自動運転」「電動化」「コネクテッド」を象徴するモデルとして「リーフ」を世界に向けてアピールしたのです。
では、改めて、新しくなった日産「リーフ」の内容をまとめてみましょう。
まずデザインが新しくなりました。次に、航続距離が400㎞(JC08モード)になっています。そして、自動運転技術である「プロパイロット」と、日産車初の自動で駐車を行える「プロパイロット パーキング」を採用。また、アクセルペダルひとつで、加速/減速だけでなく、摩擦ブレーキを使った停止までを操作可能な「e-Pedal」も採用されています。価格はエントリーが315万360円(税込)で、最上グレードが399万600円(税込)。補助金は40万円です。
つまり、「デザイン一新」「航続距離延長」「プロパイロット採用」といった内容です。
逆に残念な部分もありました。パワートレインは新しくなっていますが、車体回りは、特別な新しい技術や特殊な素材を使ったわけではありません。車体寸法は旧型とほぼ変化なく、ホイールベースはまったく同じ。プラットフォームは旧型の改良型でしょう。コネクテッドを大きく謳うわりには、通信系で新しい斬新な機能が追加されたわけではありません。
また、自動運転技術の「プロパイロット」の内容も、すでに採用されている日産の他車種と同じ。自動駐車は便利な機能ですが、ちょうど先月に発表されたメルセデスベンツSクラスほどのインパクトはありません。なんといってもSクラスは、車両の外からスマートフォンでラジコンのようにクルマを駐車させることができますから。
目の肥えたクルマ・ファンからすれば、ちょっと地味な内容のフルモデルチェンジだったと言えるでしょう。
改良は、少々地味だったかもしれません。しかし冷静に考えれば、内容は相当にすごいものでした。
初代を振り返れば、そのすごさがわかります。初代の「リーフ」が登場したのは2010(平成22)年。その時の性能は、航続距離200㎞で価格は376万4250円(税込)から。つまり、7年で、航続距離が2倍になり、価格も大幅に下がっているのです。航続距離があと100㎞も伸びれば、ちょっと前のガソリン車と変わりません。使い勝手に文句を言う人はぐっと減ることでしょう。7年で航続距離が2倍になったのですから、100㎞の延長など時間の問題ではないでしょうか。
また、315万円からという価格も驚きです。トヨタの「プリウスPHV(326万1600円〈税込〉から)」よりも安いのです。プラグインハイブリッドは、日系だけでなくドイツ・ブランドからも数多く発売されていますが、価格でいえば日産「リーフ」が圧倒的です。ピュアEVでも同様。これまでEVとして世界最高の23万台(2016年時点)が販売されてきたのも、この価格競争力の高さでしょう。
最近になって、突然のように欧米ブランドがEV路線を強くアピールしていますし、ベンチャーであるテスラ社の存在感も日に日に強くなっています。そうしたなかで「日本のEVは遅れているのでは?」「既存の自動車メーカーは、いつかベンチャーのEVメーカーに駆逐されるのでは?」というささやきを耳にするようになりました。
しかし、それは杞憂です。日産「リーフ」を見てください。誰もが手に届く価格で、安心して乗れる信頼性の高い電気自動車を開発し、そして大量に生産して売りさばく。それだけのことができているのは、現状では日産の「リーフ」だけ。「これからやる」という欧米ブランドとは、すでにスタートラインが違っています。
ちなみに、トヨタとホンダも高いEV技術を持っています。なぜなら、ハイブリッドを長年作り続けてきたからです。ハイブリッド車には、モーターと電池が使われており、トヨタもホンダもモーター&電池のノウハウはたっぷりと蓄積されています。
EVも技術の肝は、当然のことながらモーターと電池。本気を出せば、トヨタもホンダもEVへのシフトは、スムーズにこなすことでしょう。これからEVを始めようというドイツ・ブランドとは年季が違うのです。
旧世代モデルのブラッシュアップかもしれませんが、できあがった新世代の日産「リーフ」は、ライバルを寄せ付けない高い完成度とコストパフォーマンスを備えていたクルマだったのです。