プレゼンテーション「新生産技術の導入に関する記者会見」

日産自動車株式会社 / 技術

新生産技術の導入に関する記者会見

記者発表会の詳細を見る

MoTA

匠の技をロボットに継承! 日産が新コンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」発表

日産は2019年11月28日、次世代のクルマづくりコンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を発表した。今後、同コンセプトに基づく革新的な生産技術について、約330億円を投じて栃木工場に導入するのを皮切りに、国内外の生産工場に導入していくとしている。

クルマは、「電動化」、「知能化」や「コネクテッド」など、より高度で複雑な技術が搭載される。生産ラインを革新することで、高度化したクルマの生産に対応していく。

匠の磨き抜かれた技を数値化して、ロボットに伝承。匠は、更なる現場改善や、自動化できない感性品質、複雑化する技術への対応など、最高品質のクルマづくりを支えていく。

人には厳しい作業をロボットが助けることで、人が働きやすい環境を作っていく。女性や高齢者も活躍できる工場にすることで、働き方の多様化を加速させる。

電気自動車(EV)やe-POWER、ガソリン車のパワートレインユニットの組立を一括搭載するシステム。

従来は大勢の作業者が負荷の高い姿勢でモーター、エンジン、バッテリー、サスペンションをそれぞれ組付けていたが、同システムでは、パレットの上に作業者がパワートレインの組立に必要な部品をセットするだけで、ロボットが自動で組付ける。

日産の生産技術研究開発センターが独自開発したこのパレットは、モーター、エンジン、バッテリー、サスペンションの27通りの組合せに対応し、ユーザーへの幅広い選択肢を提供する。

また高速ビジョンシステムによる画像認識により、クルマのボディを瞬時に測定し、0.05mmの精度で組付けを行う。

これまで車体パネルの接合箇所の水漏れを防止するシーリングは、施工する部位の形状が複雑なため、自動化が難しく、技能者の熟練した技術に頼っていた。

今回、匠がハケやヘラでシーリングの塗布をして仕上げる際の力加減や動かす角度を数値化して、ロボットに伝承することで、匠の手の動きを忠実に再現することを可能にした。

「ニッサン インテリジェント ファクトリー」は環境にも貢献する。

従来、金属製のボティと低温での塗装が不可欠な樹脂製のバンパーとは別々の工程で塗装をしていた。

今回、日産で新たに開発した水系塗料は、低温で難しかったボディ塗装における粘性のコントロールに成功し、ボディの低温塗装を実現した。これにより、ボディとバンパーの同時塗装が可能となり、CO2を25%低減させる。

また従来、塗装工程で空気中に残留した塗料は、水と混合され廃棄物となっていたが、水を一切使わないドライブースを採用することで浮遊する残留塗料を100%回収し、鋳造工程にて鉄を生成する際に不純物除去のために使用されていた補助剤の代替として、リサイクル活用する。

日産 生産担当副社長:坂本 秀行氏のコメント
我々を取り巻く事業環境は、特に日本で顕著な少子高齢化に加えて、「電動化」、「知能化」や「コネクテッド」による次世代モビリティの競争に直面しており、従来の同一品種の大量生産を効率的に進める労働集約型の生産から脱却する時期を迎えています。

このように、自動車業界を取り巻く環境が大きく変化していくことが見込まれることから、日産は今後も更なる生産技術の革新に取り組んでまいります。

また、日産のモノづくりを支えてきた高い技能を持つ“匠”も、新たな役割にチャレンジしていきます。