プレゼンテーション「新生産技術の導入に関する記者会見」

日産自動車株式会社 / 技術

新生産技術の導入に関する記者会見

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日産 坂本副社長「明日の飛躍のかなめに」…20年に栃木工場から新生産技術を展開

日産自動車の生産部門を担当する坂本秀行副社長は11月28日に横浜市の本社で記者会見し、新開発の生産技術群による次世代のクルマづくりのコンセプトとして「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を発表した。

第1弾として栃木工場(栃木県上三川町)にこの新技術を導入し、2020年後半に稼働させる。インテリジェント ファクトりーは、(1)CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)で示される「未来のクルマをつくる技術」、(2)高度な技能をロボットに伝承させる「匠の技で育つロボット」、(3)女性や高齢者も活躍できる「人とロボットの共生」―をコンセプトの柱に掲げている。

坂本副社長は、こうしたコンセプトに基づく革新的な生産技術としていくつかの具体例を紹介した。そのなかで「パワートレイン一括搭載システム」は、エンジン、モーター、バッテリー、サスペンションの組付けが一度にできるようにしている。作業者があらかじめ、フロント・センター・リアの3つのパレットにそれぞれのパワートレイン部品をセットしておけば、ライン上でロボットが車体に自動組付けする。

エンジン車をはじめ、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)である「e-POWER」などさまざまな動力源に対応しており、パワートレインの組み合わせは27通りが可能となる。画像認識による測定で組付け精度は0.05mmと品質面でも高レベルという。生産技術開発本部・組立技術課の河村昌紀主管によると、このシステムでは4種類のプラットフォーム(車台)の車両を同一ラインに流すことが可能であり、多様な混流生産に対応できる。

匠の技のロボット化については、車体接合部の水漏れを防ぐためのシーリング塗布作業を移植した。ハケなどによる塗布の力加減や角度などを数値化してロボットに伝承している。

一方、環境負荷の低減や生産性の向上を図った「革新塗装ライン」も実用化した。新開発の水系塗料によって車体の低温塗装を実現、鋼板製の車体本体と樹脂製のバンパーを同時に塗装できるようにした。これにより、CO2(二酸化炭素)と使用エネルギーはいずれも従来比で25%低減する。また、塗装は水を使わない「ドライブース」で行うため、残留塗料はすべて回収が可能で、その塗料は他の工程でリサイクル活用する。

栃木工場への一連の投資額は330憶円を計画している。坂本副社長は「6年をかけてさまざまな生産技術を開発してきた。クルマづくりではCASEの導入が注目されているが、複雑かつ高度な生産技術は明日の日産の飛躍のかなめになる」と、競争力を高めるうえでの生産技術の重要性を強調した。さらに、具体的な時期は定まっていないが、このコンセプトは「内外の工場に順次展開していく」と表明した。