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メルセデス・ベンツ、開通前の外環道 三郷南IC~高谷JCTで新型「Sクラス」発表会
メルセデス・ベンツ日本は8月9日、新型「Sクラス」の発表会をNEXCO東日本(東日本高速道路)が2017年度に開通を予定している外環道 三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)の特設会場で開催した。
発表会には同社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏のほか、独ダイムラーからSクラス開発担当のドミニク・フォーフト氏、同Mercedes me connect開発担当のアンドレアス・ハフナー氏が登壇して新型「Sクラス」について説明した。
発表会の冒頭に上野氏は、7月18日に独ダイムラーが発表したディーゼルエンジンのサービスキャンペーンに関して触れ、「お客様にご心配おかけしております。今回の内容は実走行中のNOx低減による環境改善に貢献するため、無償でエンジンのソフトウェアのアップデートを実施するというものです。同様の処置を日本でも実施します。今後も情報が更新され次第お知らせいいたします」とアナウンスした。
続けて発表会場が開通前の高速道路となったことについて、上野氏は「東日本高速道路株式会社さまよりご協力を賜り、今年度の開通を予定している東京外かく環状道路の建設現場を会場としてお借りすることができました。長さ約15km、幅約60mのこの道路は1969年から50年の歳月をかけて日本の最高の土木技術を投入して進めてきた一大プロジェクトです。外環道がバイパスとなりこれまで首都圏に流入していたクルマが減ることで、都心とのよりスムーズな移動を実現します。例えば松戸から東京ディズニーリゾートまで、現在70分かかるものが外環道を利用することで40分になり、所要時間が30分短縮されます。また多くのクルマが外環道を利用することで、周辺の狭い道路を走るクルマが減り、東京や千葉をより安全で安心、快適で魅力的な街に変えていく可能性を秘めた、首都圏の未来を創造する道路となるそうです」と紹介。
続けて、「新型Sクラスも1972年のデビューから約50年の歴史があり、常にそのときの最新技術を搭載してきました。新型Sクラスも自動運転につながる革新的な技術を搭載した未来を創造するクルマです。本日は、未来の道路と未来のクルマというコンセプトが合致して、このコラボレーションを実施しました」と、その狙いを話した。
新型Sクラスには新たなテレマティクス機能「Mercedes me connect」が採用されており、上野氏は「メルセデス・ベンツは次の時代に向けた中長期戦略を立てており、Connectivity、Autonomous Driving、Sharing、Electrificationと4つの柱がありCASEと呼んでいます。新型SクラスにはCASEのなかのつながる機能が新たに搭載されております。メルセデス・ベンツではこのサービスをMercedes me connectと呼んでいます。スマートフォンの操作での駐車、ドアのロック・アンロックなど、先進的なテレマティクスサービスを用意しております」と紹介した。
今回発表された新型Sクラスのラインアップは計7モデル。V型6気筒 3.0リッター直噴ターボ 「S 400」(ステアリング:左/右)、V型8気筒 4.0リッター直噴ツイン ターボ「S 560 long」(ステアリング:右)、4WDモデル「S 560 4MATIC long」(ステアリング:左)、V型12気筒 6.0リッターツインターボ「S 600 long」(ステアリング:左)。価格は1128万0000円~2331万円。
ハイパフォーマンスモデルのメルセデス AMGモデルは、V型8気筒 4.0リッター直噴ツインターボエンジンを搭載する「メルセデスAMG S 63 long」(ステアリング:右)、その4WDモデル「メルセデスAMG S 63 4MATIC+ long」(ステアリング:左)。V型12気筒 6.0リッター ツインターボを搭載する「メルセデスAMG S 65 long」(ステアリング:左)。価格は2451万円~3323万円。
発表会ではSクラス開発担当のドミニク・フォーフト氏が登壇。同社が「インテリジェントドライブ」と呼ぶ、自動運転につながる技術を採用した機能や刷新されたパワートレーンなど、新型Sクラスの進化したポイントについてプレゼンテーションを行なった。
新型Sクラスに搭載される「レーダーセーフティパッケージ」では、車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識し、車間を維持しながらステアリング操作をアシストする「アクティブステアリングアシスト」のほか、「アクティブレーンチェンジングアシスト」「アクティブエマージェンシーストップアシスト」「緊急回避補助システム」「トラフィックサインアシスト」「PRE-SAFEサウンド」といった新機能が採用された。
また、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」では高速道路での渋滞時に自動停止した際、30秒以内に先行車が発進した場合は、ドライバーがアクセルを踏まなくても自動で再発進する(一般道では3秒以内)自動再発進機能付となるなど、各種機能も強化されている。
パワートレーンでは、S 560 longとS 560 4MATIC longに搭載される新型V型8気筒 4.0リッター直噴ツインターボエンジンでは、低負荷時に4気筒を休止する気筒休止機能を備えるなど効率を高めたという。
フォーフト氏は「我々が明日のお客様のニーズに取り組んでいることを示すのにSクラス以上の例はない。エクステリアやインテリアのデザインはSクラスの独創性を実証し、そしてドライバーアシストシステムは最適なサポートをお客様に提供して自動運転に向けてさらなる大きな一歩を踏み出した。また、パワートレーンは一貫して優れたドライビングパフォーマンスと最大限の効率を目指して設計されている。すなわちSクラスは類なきものを求める人達のための類なきクルマ」と、その仕上がりに自信を示した。
続けて、Mercedes me connect開発担当のアンドレアス・ハフナー氏は、新型Sクラスに搭載されたテレマティクスサービス「Mercedes me connect」についてプレゼンテーションを行なうとともに、車外にいるドライバーがスマートフォンを操作することで縦列駐車ができる様子をデモンストレーションで披露した。
Mercedes me connectは、自動車が通信することによりユーザーの利便性を向上させる「安心安全サービス」「快適サービス」「おもてなしサービス」の3つのカテゴリーでサービスを提供する。
快適サービスではスマホを利用したサービスが用意され、車両の走行距離、燃料計、平均燃費等の状態をアプリ等で確認できる「リモート(車両)ステータス確認」、天気情報やインターネットラジオをMB Appsで表示、使用できる「MB Apps」、駐車した車両の位置をアプリの地図上に表示したり、走行中の車両位置をアプリの地図上に定期的に表示する「駐車位置検索」、ナビゲ―ションの目的地を遠隔設定できる「Send2Car」などの機能を用意する。
さらに、スマホの操作で車両をコントロールする機能として、車両ドアのロック、アンロックができる「リモートドアロック&アンロック」、運転手が車外から車両の車庫入れ/車庫出しをスマホで操作できる「リモートパーキングアシスト」といった機能もあり、会場では実際にスマホで縦列駐車する様子を披露した。