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改良型メルセデス・ベンツ Cクラス、日本上陸|Mercedes-Benz
改良型Cクラス、日本上陸
メルセデス・ベンツ日本は「Cクラス」の改良モデルを発表。9月より順次納車を開始する。今回はセダンとステーションワゴンをはじめ、クーペ、カブリオレも同時に刷新。Cクラスセダンに関しては、全体の約半分以上にあたる6,500点もの部品が変更されており、Cクラス史上最も大規模なフェイスリフトといわれている。
よりスポーティさを強調するデザイン
マイナーチェンジながら、大きな変更が施されたメルセデス・ベンツ Cクラスが日本に上陸した。
エクステリアは、これまで以上にダイナミックかつスポーティに見せるため、フロント及びリアバンパーを変更。ヘッドライトも2種類用意され、その一つであるLEDハイパフォーマンス ヘッドライトはライト内部にマルチチャンバーリフレクターを上下4列ずつ並ばせることで、近未来感を演出した。
さらに上級モデルに採用されたマルチビームLEDヘッドライトは、片側84個のLEDを瞬時に個別に制御することにより、前走車や対向車のドライバーを幻惑させることなく、広範囲を照射するものだ。そこに加え、最長650メートル先まで照射するウルトラハイビームも新たに搭載された。
セダンに関してはテールライトがC文字をモチーフにしたデザインに変更されたのも新たな特徴の一つである。
AMGライン エクステリアではダイヤモンドグリルを新たに採用。また「CLS」などで採用されているフロントバンパー左右にあるエアカーテンも装備されている。
インテリアもこれまで通りのスポーティなコンセプトを継承しながら、ダッシュボード中央には高精細10.25インチのワイドディスプレイを装備。またインストルメントクラスターの機能を持つ、同じく高精細12.3インチディスプレイはスピードメーターやタコメーター、ナビ、安全運転支援システムなどの情報を表示できるほか、クラシック、スポーツ、プログレッシブの3種類のデザインを選ぶことが可能だ。
ステアリングホイールも最新世代のメルセデス・ベンツのものが採用され、上質かつスポーティさを強調している。
EQブースト搭載のガソリンエンジンがラインナップ
今回日本に導入されるエンジンのうち注目は1.5リッター4気筒ターボエンジンのM264型と、ディーゼルモデル用のOM654型であろう。
M264型はBSG(ベルトドリブン スターター ジェネレーター)と48V電気システムの新技術採用などにより、効率性、快適性、高性能化を実現したパワートレインだという。エンジン単体では最高出力184ps、最大トルク280Nmを発生。シリンダーウォールをフォームホーニング加工する際に、シリンダーウォールを底部に向けてやや広がる形状とすることで、ピストンスカート部に発生する摩擦を低減する技術「CONICSHAPE加工」が施された。これはメルセデスが特許を取得した技術である。
また、ベルトを介してクランクシャフトと接続される、スターターとジェネレーターを兼ねるモーター、BSG(ベルトドリブン スターター ジェネレーター)と48V電気システム、EQブーストシステムは、回生ブレーキ等により発電した48Vの電気を1kWhのリチウムイオン電池に蓄電。必要な際に最高出力14ps、最大トルク 160Nmを発生し動力を補助するもの。
回生ブレーキによる燃費低減効果だけでなく、ターボチャージャーの加給圧が十分に高まるまでのアシストも行い、スムーズな加速に貢献する。さらに、このモーターはギアシフト時にも使用され、エンジンが理想の回転数に達するまでの時間を最小限に抑えるためのアシストも行う。これにより、ギアチェンジに必要な時間が短縮され、スムーズでタイムラグの少ないギアチェンジが実現したという。
そのほかにも、ウォーターポンプが電動化され、冷却能力を必要に応じて最適に調整することができるほか、エンジンを止めた状態で走行するコースティングの実現や、エンジン始動の際の低騒音、低振動を実現している。
OM654型は「Eクラス」にも搭載されている、最高出力194ps、最大トルク400Nmを発生する2.0リッター直列4気筒BlueTECエンジンだ。従来型のクリーンディーゼルエンジンより高出力化された一方、振動、騒音も低減されている。また、シリンダーブロックと、ピストンに熱膨張率の異なる素材を採用することや、表面コーティングNANOSLIDEを導入することで、摩擦を低減し効率性を向上。さらに、排出ガス浄化経路の短縮やsDPF(DPF with SCR Coating、選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)を採用するなど、排気の浄化にも注力して開発され、ユーロ6d-TEMP排ガス規制に適合している。
Sクラス並みの安全運転支援システム
安全運転支援システムについて、今回の発表にともないドイツ本社から来日したCクラス チーフエンジニアのクリスティアン・フリュー氏は、「カメラ及びレーダーシステムについて今回大幅に改良を施しました」とし、カメラは前方視認距離が最大500メートル、立体視認距離は90メートルに達している。また、レーダーセンサーの検知距離は前方250メートル、側方40メートル、後方80メートルを実現。これにより「一層多様な状況において部分自動運転で走行できるようになり、歩行者や自転車の飛び出しなどより多様なシーンに対応できるようになりました」という。
また、「直感的に使えるアクティブレーンチェンジアシストを搭載した改良型アクティブステアリングアシスト」をポイントとして挙げ、これにより、「高速道路でドライバーがウインカーを操作した場合、自動で安全を確認してから車線変更を行うこともできます。ドライバー アシスタンス パッケージには、改良型アクティブ エマージェンシー ストップ アシストも採用。アクティブ ステアリング アシストが起動している状態で、ドライバーが意識的な運転操作を行なっていないとシステムが判断した場合、クルマを減速させ停車させるものです」と述べ、「いずれもSクラス並みの優れた運転支援システムとなっています」と安全性について大幅に向上したことを強調した。
歌舞伎とのコラボは伝統と革新から
新型Cクラスの記者発表会は東京銀座にある新橋演舞場にて、歌舞伎とのコラボレーションでの開催となった。
メルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏はその理由について、「答えは『伝統と革新』になるでしょう。我々の親会社であるダイムラー社は132年前にクルマを発明した会社です。この長い歴史の中で培った伝統を守りつつ、常にさまざまな革新にチャレンジしてきました。新型Cクラスは伝統を守りつつ進化し続ける“Never Stop Improving”を体現したモデルですから、日本で発表する際に、伝統と革新を体感してもらう必要があったのです。そして歌舞伎は日本が誇る伝統芸能でありながら常に新しさも追求しており、特にこの新橋演舞場はスーパー歌舞伎発祥の地となるなど歌舞伎の革新を生み出す劇場でもあります。まさに新型Cクラスの発表の場として最もふさわしい会場なのです」とコメントした。
そして特別ゲストとして、歌舞伎俳優の尾上右近氏が登場。歌舞伎舞踏“石橋(しゃっきょう)”を披露。華やかな獅子による勇壮で躍動感ある獅子の精の毛振りを演じた。
右近氏は、メルセデスとの関係について、「我が家は母も父も祖母もメルセデスで、師匠の尾上菊五郎もメルセデスと、歌舞伎界はメルセデスが多いですね。僕は小さい頃かクルマといえばメルセデス・ベンツ、それしか知らないぐらいの子どもでした。大人になり、メルセデスが欲しいなと思いながらも実は免許を取る機会を失ってしまったので、まずは免許を取って、今回の機会もありぜひメルセデスを購入したいですね」とコメント。
また石橋への想いについて、「今回は尾上菊之丞先生に振り付けしてもらいました。伝統と革新ということが今回の新型Cクラスのテーマです。これまであった形とない形、新しい雰囲気など、自分がいま生きている現代の空気を感じながら歌舞伎をやっていくという意識と、テーマである伝統と革新を自分の中で思い描きながら石橋という踊りに想いを込めました。まだまだ未熟ですが今後の役者人生の中で世界に羽ばたいていきたいという想いも強くありますので、伝統あるメルセデスとの機会もいただきましたので、自分も今後の糧にしていきたいと想いながら踊りました」と語っていた。