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ポルシェ マカンがマイナーチェンジ、価格据え置きで走りがさらにアップ!
ポルシェジャパンは大幅改良が施されたミドルクラスSUVのマカンを発表した。発売は2019年夏が予定され、価格は据え置きの699万円からとなっている。
デジタルネイティブなミレニアル層もターゲット
マカンは2013年グローバルデビューし、日本では2014年に導入が開始された。ローンチ以降5年で、グローバルでは35万台を超える販売を記録、日本においては年間販売台数の約3割を占める重要なモデルと位置付けられている。
新型マカンのキーメッセージは、”Choose Thrilling. The new Macan. 人生の妥協なき挑戦者たちへ”とされ、そのターゲットは、「人生に前向きで行動派のアクティブパーソン、そしてファミリーの方々です。常にチャレンジを忘れず人生をアクティブに生きている、日常にもっと刺激を求めているライフスタイルを持っている方」と説明するのはポルシェジャパン執行役員・マーケティング部長の山崎香織氏。
さらに、新規ターゲットとして「デジタルネイティブなミレニアル層」も挙げ、「いますぐ直接購買につながる方はそれほど多くないかもしれませんが、こうしたミレニアル層の方々にこそ我々ポルシェが内包している素晴らしさに触れてもらいたい。将来を見据えた上で非常に重要なターゲットになると考えています」とし、「普段クルマに乗る機会はそれほど多くない方々かもしれませんが、常に刺激を求め新しい体験に興味を持つこの世代に、この新型マカンでスポーツカーを自在に操る喜びを味わってもらいたい」と述べた。
最新のポルシェと同様のテールランプ
新型マカンのプロダクトハイライトは大きく3つ。ポルシェDNAがより際立つデザイン、次に、さらに進化したドライビングダイナミクス。そして充実した安全装備と先進のインフォテイメントだ。
そのデザインは、ポルシェの伝統的なスタイリングを現代流に再解釈したものだ。山崎氏も、「このクラスのSUVとは一線を画するスポーツカーデザインという点で、キーコンセプトはそのままにより一層洗練されたデザインを細部において実現しました」という。具体的には、よりワイドなフロントグリルと新たにデザインされたLEDヘッドライトにより、「ポルシェの典型的な4灯式LEDデイタイムランニングライトを引き立たせています」と話す。また、ポルシェパナメーラやカイエン、911でも採用されている3Dデザインが施されたリアのLEDライトテールライトも装備された。
インテリアにおいても、10.9インチのタッチスクリーンが装備されたことでエアコンの吹き出し口が画面の左右から下に移動。その結果、「水平ラインが効果的にデザインされ、ポルシェのクラシックモデルを想起させるような洗練されたイメージを醸し出しています」と山崎さんは説明した。
軽量化された足回り
エンジンは252馬力、370Nmを発揮する2リッター4気筒エンジンだが、燃焼形状を見直すなどの最適化により、出力発生回転を5,000から6,750rpmと改良前の6,800rpmから若干低く設定。そこに7速PDKが組み合わされる。
シャシーはより進化した。フロントサスペンションの一部をアルミ化し1.5kg軽量化。同時にアンチロールバーやスプリング、ダンパーなどの設定を最適化することで、シャープなハンドリングと乗り心地が改善された。
また、オプションとしてマカン初のモードスイッチ付きスポーツクロノパッケージも設定できる。
日本独自に標準装備された安全装備
日本市場においては昨今特に重要視されている安全装備については、アダプティブクルーズコントロールやレーンチェンジアシスト(ステアリングアシスト付きはオプション)などを標準装備。「これらは日本のお客様からの要望に応える形で日本仕様では特別に標準装備としています」と山崎さん。なお、トラフィックジャムアシスト(渋滞時に停止と発進を自動的に繰り返す)もオプションで選択が可能だ。
また今回新たに設定された10.9インチタッチスクリーンディスプレイとともに、「最新のポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)がドライバーに役立つ様々な情報をもたらします。またディスプレイは直感的に操作することが可能です」という。
さらに先進のポルシェコネクトも標準装備され、「例えばポルシェコネクトアプリを使えば出発前にスマートフォンで選択した目的地の同期や駐車場の検索も行えます」とした。
戦略的な価格設定
今回、価格は699万円と据え置かれた。その点について山崎氏は、「ポルシェジャパンはこれからも魅力的な商品を提供し続け、日本の消費を刺激することに微力ながらコミットしていきます。より多くのお客様にポルシェの世界を体感してもらいたいという我々の本気の思いから日本でこのような戦略的な価格設定を実現させました」と説明した。
さて、新型マカンは2種類の特別バージョンでスタートする。これまで日本市場において人気のオプションを標準装備として設定したものでファーストエディションとシュポルトエディションである。ファーストエディションはより優れた快適性を追求、細やかな調整が可能な14ウェイ電動シートが備わり最適なシートポジションで走りを楽しむことができる。一方シュポルトエディションは、エクステリアと同色のサイドブレードや、スポーツデザインサイドスカートなどが装備される。両エディションともに、人気のスポーツクロノパッケージや、ポルシェアクティブサスペンションマネージメントシステムなどの装備も選択可能だ。価格はファーストエディションが889万2000円から。シュポルトエディションが916万4000円からとなっている。
練習に行くときに乗ってみたい、南野選手
今回の発表会では急遽、ポルシェドライビングアスリートに任命されているサッカーの南野拓実選手とカヌースラローム競技の羽根田卓也選手が登場。新型マカンの印象について南野選手は、「SUVでありながらスポーツカーならではのフォルムがカッコいいですね。個人的にはスポーティネスをさらにプラスしたシュポルトエディションが気になります。練習に行く時とかに乗ってみたい」と興味深げ。
羽田選手は、「以前のマカンに比べて全体的に精悍、スポーティになったという印象があります。パナメーラやカイエンにも採用されているようなテールランプ気になります。自分が一番クルマのかっこいいと思う瞬間は暗闇でテールランプが光っている時で、そのテールランプだけでポルシェだとわかるのはすごく魅力的です」とコメントした。
積極的にマーケティング活動を展開した2018年
今回の発表会では、ポルシェジャパン代表取締役社長の七五三木敏幸氏より、ポルシェ操業70周年に当たる2018年の振り返りと2019年の見通しも語られた。
七五三木社長は70周年ムーブメントの振り返りとし、5月28日に開催した70周年の取り組みと新型カイエンの発表会で、世界最大の折り込み新聞広告ギネス認定を皮切りに、6月には、富士スピードウェイにてポルシェエクスペリエンスデイを開催。また、同じ6月に箱根ターンパイクにおいてポルシェトリビュートツアーも行われた。これは、昨年のルマン24時間耐久レースを制したポルシェ919ハイブリッドをベースに開発したEV919ハイブリッドが、世界の主要都市をめぐる919 トリビュートツアーの一環として来日したものだ。七五三木社長は、「この取り組みでは919ハイブリッドで培った電動化技術を市販車に導入するポルシェの電動化モビリティへの挑戦を表現し、動力源が内燃機関からモーターに移ってもポルシェはポルシェであり続けるというメッセージを込め、日本から世界へ発信しました」と振り返る。
7月にはポルシェグラマラスキャンプを開催。また、7月21日にはフルモデルチェンジした第3世代の新型カイエンを日本で発売するなど積極的にマーケティング活動を展開した。
タイカンを日本導入、そして!
そして2019年に向けたポルシェジャパンの取り組みについて、七五三木社長からはこれまで何度か述べられてきた3つの約束の現状についての報告があった。まず魅力的なポルシェを提供し続けることで、日本の消費を刺激するというものでは、「ポルシェジャパンは2009年以降販売台数を毎年増加させており、新型カイエンの販売も好調。2018年も前年の台数を上回る販売を見込んでいます」と述べ。「ポルシェは世界的にも好調な販売を記録しており、本年の販売台数は25万台を超える見込みです。日本における販売台数は中国、アメリカ、ドイツ、イギリス、カナダについで6番目。ポルシェにとって日本のマーケットは大変重要なマーケットです。今年はポルシェ生誕70周年という記念すべきアニバーサリーの年。そのような大きな節目に多くのお客様にポルシェを購入してもらえたことを本当に心よりお礼を申し上げます」と喜びを隠せない様子だ。
さらに、未来のお客様に出会うため、また日本の消費に微力ながらも刺激を与え続けていくために、新たに5つのポルシェ正規販売店をオープンする。「我々はこれからもさらに成長し続け全国の皆様により身近にポルシェに触れていただく機会を拡大していきます」とした。
2番目として、「この美しい国環境を守るために、ゼロエミッションスポーツカーを日本市場に導入します」と七五三木社長。本年6月、これまでのポルシェ電動化プロジェクトの総称として使われてきたミッションEは、正式にタイカンと命名された。「タイカンとはポルシェのエンブレムの中央についている跳ね馬のイメージに基づいたもので、意味は生気ある若馬。歴史や技術に由来する代名詞ではなく、ブランドの起源と新たな時代の幕開けを象徴するモデルとして時代の先頭を走り、自ら切り開いていくストーリーを暗示するネーミングです」と説明し、「日本では2020年に発売する予定ですが、すでに非常に多くのお客様に関心を寄せてもらっています。そのために発売に先駆けてポルシェジャパンではタイカンの関連の情報を発信するニュースレターの購読受付を2019年より開始する予定です」と述べる。
そしてポルシェジャパンでは、お客様へのスポーツドライビング体験の提供、そしてポルシェカレラカップジャパン、GT3カップチャレンジといった顧客参加型のモータースポーツの継続的なサポートを3つめの約束として伝えてきた。この約束の答えのひとつとして新しいプロジェクトが紹介された。七五三木社長は、「総合スポーツドライビング施設、ポルシェエクスペリエンスセンターを千葉県木更津市に設置する計画が正式に決定しました。ポルシェが独自に設計するユニークかつダイナミックなドライビングコースを設置し、スポーツドライビングとポルシェの世界観を十二分に堪能してもらえる国内唯一無二の施設となる予定です」とされ、開業は2021年を予定。「完成した暁には世界で8番目のポルシェエクスペリエンスセンターとなる予定です」と公表された。詳細については後日発表される予定である。