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フェラーリ「GTC 4 ルッソ T」、4シーター初のV8モデル登場でファミリーカーに!?
3月16日、渋谷区代官山のT-Siteにて、フェラーリ「GTC 4 ルッソ T」の発表会が華やかに行われた。現在販売されている「GTC 4 ルッソ」はV12エンジン&4WDであるが、今回新たにリリースされる「GTC 4 ルッソ T」は、その「V8ターボエンジン版」ともいえるモデルで、こちらは後輪駆動となる。
V12エンジンを積む4シーターというフェラーリ伝統のGTモデルに、はじめてV8エンジンが搭載されることとなった。新しいフェラーリのグランドツーリング・コンセプトの牽引を担う「GTC 4 ルッソ T」は、スポーツ性と多用途性が魅力で、日常あらゆるシーンやドライビング状況に応えるために開発された。
新型GTC 4 Lusso Tに搭載される3.9LV8ターボエンジンは、最高出力が610馬力/7500rpmで、最大トルクの760Nmを3000~5250rpmという幅広い回転域で発生させ、いつでもパワフルな加速が可能となる。駆動方式はGTC 4 ルッソの4WDに変わり、GTC 4 ルッソ Tは後輪駆動となっている。エンジンのダウンサイジングと重たい4WD機構の廃止によって、車重はV12モデル比で50kgも軽量化されている。
V8ターボエンジンは低速から中速まで非常に扱いやすいセッティングが施され、燃費も良好というので、日常の街乗りからロングドライブにも活躍してくれるだろう。さらに4輪操舵(4WS)が装備され、俊敏さと小回り性にも磨きがかかっている。
GTC 4 Lusso TのV8ターボエンジンはまた、扱いやすさだけでなく、切れ味鋭いシャープなレスポンスや速度レンジを問わないシームレスでパワフルな加速で、ドライバーを魅了する、まさに「フェラーリのエンジン」なのだという。コンパクトなサイズでシャシーの低い位置にマウントされ、よりシャープな運動性能にも貢献しているというのだから、生粋のスポーツカーファンの期待にもしっかり応える仕上がりとなっているはずだ。
ちなみに、このV8エンジンは「2016年インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したエンジンシリーズの最新進化版となるが、可変ブーストマネージメントが進化して、燃料消費の最適化が図られている。V12モデルと比べ30%燃費が向上している。一方、アクセル操作に瞬時に反応し、パワフルな加速も可能とする。さまざまな試みが見られるハイテクエンジンであるが、燃焼室内の圧力を最大化させる「ハイレジスタンス・アルミ合金製ピストンとコンロッド」や進化したエアインテークシステムを採用し、エアダクトをより直線的にレイアウトすることで空力的なロスが最小限に抑えられている。また、新型インタークーラーが冷却性能の向上だけでなく、空力面でも貢献している。
俊敏なスロットルレスポンスの実現には、「フラットプレーン・クランクシャフト」やコンパクトなツインスクロールタービン、さらに3ピースのエグゾーストマニホールドといった一連の改良が関係している。とくに等長パイプ構成のエグゾーストマニホールドは、全回転域にわたって燃焼効率の最大化と卓越したパフォーマンスの実現に大きく貢献している。
そして、うれしいのはフェラーリ伝統のサウンドが健在だということ。GTC 4 Lusso Tでは、エンジンの点火を同調させるクランクシャフトと、サウンドを調整する等長エグゾーストヘッダー、さらには排気ラインに大径サイレンサーを備えることで、エキサイティングで官能的な音色を実現している。
ところで、フェラーリのエンジニアたちは、GTC 4 Lusso TにV8ターボエンジンと後輪駆動を採用することが決定した時、V12モデルと同等のハンドリング特性をキープしつつ、よりスポーティさが際立つようにビークルダイナミクスを調整することを目指したという。軽量化に加えて、前後重量配分を46:54とリヤ寄りに設定することで、4WSとSCM-Eコントロールシステムに専用のセッティングを採用し、ドライバーに軽快でロールを抑えた、痛快なドライブフィールをもたらしてくれる。
デザイン面では、流れるような究極のサイドラインとテーパー・シェイプを持つシューティングブレークスタイルが、アクティブなレジャーや日常生活を想像させる。室内は、高品質なレザーをふんだんに用いて職人が仕上げ、洗練されたエレガンスが薫るラグジュアリー空間となっている。インターフェイスや操作系に、メタルおよびカーボンファイバーが使われているが、これもまた絶妙なコントラストを生み出している。
究極に進化したスーパースポーツでありながら、「4人が乗れて荷物も積める」という、フェラーリらしからぬ(!?)ユーティリティ性能を誇る「GTC 4 ルッソ」。そこに新たに加えられた「GTC 4 ルッソ T」は、より扱いやすいパワートレーンで、同時にさらにスポーティになっているという、極めて贅沢なモデルだ。
これまでファミリーユースなどの観点から、跳ね馬オーナーを断念していたユーザーにとってはまさに朗報。「家族と楽しめる」ということで、奥さんも説得しやすくなるのではないだろうか。価格は2970万円だ。