プレゼンテーション「Ferrari 812 Superfast ジャパンプレミア」

フェラーリ・ジャパン株式会社 / 技術

Ferrari 812 Superfast ジャパンプレミア

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800馬力! 時速340km! 最強のV12フェラーリ、812 スーパーファスト登場

5月23日、東京の赤坂プリンス クラシックハウスで、フェラーリのニューモデル「フェラーリ 812スーパーファスト」の発表会が行われた。

 「自然吸気(NA)のV型12気筒エンジンを積む最後のフェラーリ」とも言われ、今年3月のジュネーブショーでワールドプレミアされて以来、大きな関心と熱い注目を集めてきたフラッグシップがついに日本でも披露されることとなった。価格は3910万円に設定された。

 フェラーリF12ベルリネッタの後継車として開発された812 スーパーファストだが、このクルマのデザインはピニンファリーナではなく、フェラーリ社内。F12の流れをくむスタイリングではあるが、実際に目にすると、テールエンドがやや上がったリヤ、力強いサイドのフォルムにより、躍動感が格段に高められている。V12エンジンの圧倒的なパワー感を、ボディ全体のフォルムによっても表現したとされている。新しいデザインのグリルに加え、フルLEDヘッドライト、4灯丸型テールライトなども存在感のある造形になっている。

フェラーリ最新のテクノロジーが詰め込まれたスーパーモデルのフェラーリ 812スーパーファストは、6.5Lの自然吸気、伝統のV12エンジンをフロントミッドシップし、フェラーリ史上最強となる800馬力を8500回転というハイレンジで発生、トルクは73.2kgmに達する。最高速度は340km/h、0-100km/h加速が2.9秒という怒涛の速さを見せつける。全体の75%が新しいパーツというこのV12エンジンは、ロードモデルの自然吸気エンジンとしてはもっともパワフルで、かつ、最大トルクの80%を3500回転から発生するなど、あらゆるシチュエーションでハイレベルなドライバビリティーを提供するしなやかさも身につけている。もちろんアクセルいっぱいに踏み込むと、8500回転までストレスなく回り、異次元の加速、速さを体感できるという。強烈なパワーはもちろん、フェラーリらしい高音のレーシーなV12サウンドを奏でる。そして、この強烈なパワーを余すことなく路面に伝えるべく、フロントに搭載したエンジンとリヤに搭載したトランスミッションを繋ぐトランスアクスル・アーキテクチャを高度に進化させることで、理想的な重量配分を達成したとされている。

 また、エンジンとともに大きなトピックとなるのが、「F12tdf」の四輪操舵システムをさらに進化させた先進の挙動制御システムだろう。サイドスリップコントロールとも連動し、またツインソレノイドバルブを備えた磁性流体式ダンパーを採用することで、ハイスピードでのコーナリングやタイトコーナーなどで、キレのあるスポーティな挙動を見せる。この日の発表会では、落ち着いたロードゴーイングモデルとはまったく性質を異にするフェラーリ 812スーパーファストの走りが動画で紹介された。フェラーリでは「あらゆる環境下でベンチマークとなる性能を発揮し、ステアリングを握るすべてのドライバーを夢中にさせるドライビング・エクスペリエンスを提供する」ことを念頭に、このフェラーリ 812スーパーファストを開発したとしている。

 空力性能の進化も見逃せない。エアインテークの横には、車輌のフロントに当たる気流を側面に沿って流れるように逃がすターニングベーンが備えられ、車輌後方でのエアフローが横へ拡散することを防いでいる。独特な造形となるテール・スポイラーもリヤのダウンフォースを効果的に発生させるための形状。さらにアンダーボディに備わったディフューザーは、ダウンフォース強化に貢献している。フェラーリでは、これらのエアロダイナミックバイパスによって、CD値を削減しながらダウンフォースを増加させることができたとしている。

 ところで、フェラーリV12のヒストリーは、1947年、フェラーリにとって最初のモデルとなる「フェラーリ 125S」にまで遡る。記念すべき最初のモデルから、V12エンジンを搭載していたのだ。「V12モデルこそフェラーリ」という考え方がいまも根強いのも当然といえよう。また「スーパーファスト」というネーミングは、1964年にジュネーブショーでデビューした5LのV12エンジンを積む「フェラーリ 500スーパーファスト」に由来しているとのことだ。

 スポーツモデルにおいてもダウンサイジングターボが勢いを増し、かつては「高性能」の象徴でもあった多気筒エンジンは、今日非常に稀な存在となっている。今回のフェラーリ 812スーパーファストは、フェラーリの創業70周年を祝うモデルとも思われるが、同時にV12モデルにとってもメモリアルな存在となることだろう。