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新型フェラーリ「ポルトフィーノ」がジャパンプレミア
新型フェラーリ「ポルトフィーノ」がジャパンプレミア
フェラーリジャパンは2月19日、都内で新型2+2コンバーチブル「ポルトフィーノ」を日本初公開した。「カリフォルニアT」の後継となるポルトフィーノは、2017年9月のフランクフルト国際モーターショーでワールドプレミアされたモデル。ラグジュアリー性、多用途性、快適な乗り心地の全てを兼ね備えた、フェラーリ史上最強を謳うオープンスポーツカーだ。
イタリアで最も魅力的な港町の名に由来
フェラーリ「ポルトフィーノ」の特徴とイノベーションを紹介するため発表会に登壇したフェラーリのディーター・クネヒテル極東・中東エリア統括CEOは「このクルマが目指したのは、一切の妥協をしないということ」と強調し、「比類のないパフォーマンスと極上の居住性の両立。それに加えてドライビングエモーションまで実現したクルマは現在の市場に存在しません。この目的を達成するため、私たちは全てを刷新し、一から作り直す必要がありました」と説明した。
また、「フェラーリがこの新型車に命名した“ポルトフィーノ”は、イタリアで最も魅力的な港町の名に由来した」とコメント。
「そこはまさにドルチェビータ(スイートライフを愉しめる場所、の意)。慎ましやかで優雅さがあり、その点がまさにフェラーリ的といってよいでしょう。広い海に乗り出して海風に髪をなびかせている。それこそがポルトフィーノを走らせている時のドライビングエクスペリエンスです。そういった背景を感じながら名前の意味を味わっていただきたい」とした。
フロントに搭載する3.9リッターの90度V型8気筒ターボユニットは、2016年、17年のインターナショナル エンジンオブ ザ イヤーに選ばれた同タイプエンジンを改良したもの。アルミ合金ピストンや新形状のコンロッドなど新コンポーネントの採用とエンジン制御ソフトを見直し、前モデルから40psアップの最高出力600ps(441kW)/7,500pm、最大トルクは5Nmアップした760Nm/3,000-5,250rpmを実現した。
その結果、最高速度320km/h(カリフォルニアTは316km/h)、0-100km加速3.5秒(同3.6秒)を実現。フェラーリの特徴である1秒未満のスロットルレスポンスと、ゼロタイムラグの伝統も守られた。
使用状況によって4種類が選べるエグゾーストサウンドも、オープントップ走行が堪能できるようなCavallino Rampante(跳ね馬)エンジンとしてのチューニングが施されたという。こうした改良とともに、選択したギアによって伝達トルクを調整する独自開発のバリアブルブーストマネジメントとの組み合わせにより、7段の全ギアで先代モデルを上回る加速性能を得るとともに、燃料消費率10.5ℓ/100kmを維持。CO2排出量は5g/km軽減した245g/kmという高効率エンジンとなっている。
新型フェラーリ「ポルトフィーノ」がジャパンプレミア (2)
14秒で開閉するリトラクタブル ハードトップ搭載
このエンジンを生かすため、一体成形で製造した軽量シャシーの周りにも新たな技術が導入された。
ポルトフィーノが初搭載した「E-Diff3」と呼ばれる第3世代の電子リアディファレンシャルシステムと、F1マシンからフィードバックしたトラクションコントロールシステム「F1-Trac」との組み合わせは、横方向の限界性能を向上。また、初搭載のEPS(エレクトロニックパワーステアリング)と統合することで高速走行時の安定性を犠牲にすることなくステアリングレシオを7パーセント引き下げ、自然な感触とフィードバックを得ることができたという。
さらに、デュアルコイルテクノロジーを採用した進化版のマグナライドダンピングシステム(SCM-E)はロールを抑え、荒れた路面での乗り心地を改善。その結果、ポルトフィーノはカリフォルニアTより80kgもの軽量化を実現するとともにねじり剛性も強化され、極上の乗り心地を実現したと謳われる。前後重量配分はフェラーリの伝統に従い、FRでありながらリアがわずかに重い46:54となっている。
全長4,586mm×全幅1,938mm×全高1,318mmのボディはカリフォルニアTに比べて16mm長く、28mm広く、4mm低い。ベルリネッタ(クーペ)からオープントップスパイダーへの“変身時間”はわずか14秒。リアガラスがルーフに重なり、トランクに収納されていく一連の動きはスムーズで、低速走行中でも開閉が可能となっている。
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空力性能とデザインの両立
この日公開されたポルトフィーノは、輝くパールホワイトのボディと、フェラーリデザインセンターが設計を手がけたブラックのリトラクタブルハードトップ(RHT)の組み合わせ。
エクステリアは、各コンポーネントのレイアウト選択から始まり、放熱に関するエアフロー、アンダーボディとボディ全てのディティールの決定などについて、エアロダイナミクス部門とフェラーリデザインセンターが毎日のように連携を図って開発が行われたという。
それは、新デザインのフルLEDヘッドライトによって強調されたノーズ左右先端まで広がる大型ラジエターグリルや、フロントホイールアーチを経て側面に気流を排出するためのヘッドライト外側エッジに隠された「エアカーテン」タイプのインテークなどに見てとれる。
一方、トリマラン(3胴船)デザインを採用したリア側は、左右テールライトの間隔を広げることでワイド感を強調。
軽量デザインの新設計RHTが収まるのもこの部分で、ラゲッジルームには、オープン時に2個、クローズ時には3個のキャビン トロリーを搭載することができる。
インテリアは、10.25インチタッチスクリーン式のインフォテインメントシステム、ルーフの開閉状態に左右されずに快適性を向上させる新エアコンシステム、リアパッセンジャーの足元スペースを拡大した新デザインのバックレストを持つ18通りに調節可能な電動シート、パッセンジャー用ディスプレーなど、乗車快適性に重点を置いた新機能が数多く装備されている。
加えてオープントップドライブ時にキャビンに入るエアフローを30パーセント削減し、風切り音を低減する新型ウインドディフレクターも装備。一方、アンチグレアピナクル(防眩計器台)が囲む10,000回転まで刻まれた大径レヴカウンターやデュアルTFTディスプレーは、多機能ステアリングホイールと同軸上に配され、フェラーリGTモデルであることを主張している。
600psの高出力、最高速度320km/h、リトラクタブルハードトップ(RHT)、広いトランクと小旅行に適した2つのリアシートなど、数々のアドバンテージを持つ新型ポルトフィーノの価格は2,530万円からとなっている。