グーネット編集部
最高時速320km! フェラーリ ポルトフィーノが日本上陸!
フェラーリ カリフォルニアおよびカリフォルニア Tの後継モデルにあたる、「ポルトフィーノ」が日本でもローンチされた。価格は2530万円で、日本へのデリバリーは2018年第3四半期のはじめあたりを予定している。
アメリカからイタリアへ国を変更?
最近のフェラーリは過去のブランド名を復活させてきた。そのひとつがポルトフィーノの先代となるカリフォルニアだ。1960年代、まさにアメリカを意識したエレガントなV型12気筒オープンモデル、250GT カリフォルニア スパイダーから、その名称がとられていた。そして今回、そのアメリカから、イタリアのリグーリア州リビエラにある「ポルトフィーノ」に名称が変わった。ここはイタリアでもっとも美しい港町といわれ、エレガンスと唯一無二の気品あふれる景勝地だ。フェラーリ極東中東エリア統括CEOのディーター・クネヒテル氏は、「名前の国が変わったのは、まったくの偶然です」と、ターゲット国が変わったような意味はないと笑う。
それ以上にそこに込めた想いは、「シンプルでエレガントなライフスタイルをお客様に送ってもらいたい。ただし、贅沢できらびやかというよりは、控えめでありながらも、そこにキラリと光るものがある、その感覚をクルマで提供したいのです。そのイメージとポルトフィーノの街がまさにぴったりだったことから採用しました」と述べ、さらに「この街はドルチェヴィータ、英語でいうスウィートライフを送れる街、人生の楽しさを謳歌出来る街です。世界で最も優雅な街ですが、慎ましやかな優雅さが特徴で、この点はとてもフェラーリ的といえるでしょう」と大きな共通点があることを語った。
V8ターボエンジンをさらに改良、よりパワフルに
さて、搭載されるエンジンは先代に引き続きV型8気筒ターボエンジンだ。2016年と2017年の2年連続でインターナショナルエンジンオブザイヤーを受賞したV8パワーユニットをベースに、その性能は600hp/7,500rpmにまで向上(カリフォルニアTは560hp/7,500 rpm)。高強度アルミ合金ピストンや新形状のコンロッド、特殊成型のハイタンブルインテークマニフォールドによって、高い機械効率を確保すると同時に、適応着火マルチスパーク機能を持つイオン検出システムによって、エンジンの全回転数域で燃費を最適化している。
また、新型のよりリニアな高・低圧エアダクトによって吸気ロスを削減する一方、ワンピース構造のエグゾーストヘッダーを使用した新デザインのエグゾーストシステムによって排気効率も向上させている。
そして、このエンジンも1秒未満の迅速なスロットルレスポンスとともに、フェラーリのターボエンジンの特徴であるゼロターボラグを継承している。
当然フェラーリのエンジンなので、そのサウンドも重要だ。新設計のエグゾーストラインに加えて、フェラーリ初の電子制御バイパスバルブを採用することで、作動速度と精密さを改善している。この新バルブは、様々な使用状況に応じて以下のようにサウンドを変化させるという。 – IGNITION:バルブは閉じたままのため、ミュートされた控え目なサウンド – COMFORT マネッティーノ・ポジション:バルブが少し開き、特徴的なフェラーリサウンドでありながら都市部および長距離ドライブに適したサウンド – SPORT マネッティーノ・ポジション:バルブが開き、低回転域からレッドゾーンまで、よりスポーティで魅力的なサウンドを奏でる
クネヒテル氏は、「エンジンサウンドはフェラーリエンジンのトレードマークです。フェラーリのV8サウンドトラックは非常に個性的で、ポルトフィーノでは特に磨きをかけたので、オープントップ時のドライビングでより堪能してもらえるでしょう」とコメントした。
カリフォルニアTよりも80kgも軽量化
ポルトフィーノの開発で、最も重要かつ困難を極めたのが軽量化だった。ボディシェルおよびシャシーコンポーネントは完全に見直され、これまで以上に統合・一体化された。具体的には、先代で21点のコンポーネント構成だったAピラーは、2つのコンポーネントで仕上げられている。これは、最新の製造技術、特に中空コンポーネントを鋳造できる砂型鋳造を導入したことで、軽量かつ革新的なフォルムの一体成型製造が可能になったのだ。また、これらの技術を用い一体化したことで、剛性も35%強化された。
そのほかにも、可動メカニズムを含めて完全新設計のリトラクタブルハードトップや、新設計のシート構造にはマグネシウム合金を採用することで軽量化だけでなく、乗り心地も改善された。これらの結果、カリフォルニアTよりも80 kg軽量化に成功している。
ドライビングエモーションのさらなる向上
これらの軽量化やエンジンのパワーアップにより、足回りにも手が加えられた。まず、スプリングの硬度を上げ(フロント:+15.5%、リア:+19%)、新ECUによって第3世代に進化した乗り心地を確保するマグナライドダンピングシステム(SC-E)のコンビネーションにより、ビークルダイナミクスの最適化が図られた。
その結果、特にマネッティーノをSportモードに設定した際のスポーティなドライビングフィールが強化され、また、Comfortモードでは、荒れた路面での乗り心地が旧モデルよりも改善されているという。
フェラーリの電子リアデファレンシャルも第3世代に進化した。このE-Diff3と電動パワーステアリング(EPS)、そして、トラクションコントロールのF1-Tracにより、回頭性やコーナリングパワーを改善。また、直進路において車輌をより安定させるだけでなく、中立付近でのステアリングフィールも改良された。これにより、低グリップ状態でも運転しやすく、ハンドリング性能および多用途性が格段に向上している。
また、ポルトフィーノはこの電動パワーステアリングと、E-Diff3との統合で、ステアリングレシオが7%速められている。
クーペとスパイダーの両立を目指したエクステリア
フェラーリ ポルトフィーノのエクステリアデザインは、2つのボディタイプを1台で表現することから始まった。いわゆるファストバックスタイルを持つクーペのようなルーフのシルエットは、エレガントさと躍動感はこれまで通り継承しながらも、スポーティなフォルムを実現するため、リトラクタブルハードトップの設計を刷新。そして、ルーフを開ければエレガントなスパイダーとしてのデザインを完成させている。このルーフは約14秒で開閉可能。オープントップ時ではラゲッジルームに中型のキャビントロリーを 2 個、またルーフアップした状態では 3 個収納が可能である。そして2人乗車可能なリアシートを備えている。
インテリアは、より快適な乗り心地を追求。コックピットは完全にデザインを刷新するとともに新しいステアリングホイールが採用された。また、10.25インチのインフォテインメントスクリーンは高精細マルチタッチの機能を備えている。前述した新設計のシートは快適性、軽量化とともに、後席の居住性向上のため背面部の形状変更により、リアのレッグルームを先代より50mm拡大させた。
より若い層をターゲットに
先代フェラーリ カリフォルニアは、「高級感、多目的性、そして居住性と真のパフォーマンスを兼ね備えたフェラーリを所有したいという思いに応える新コンセプトで市場展開。実に70%以上が新規ユーザーに購入していただき、大成功を収めました」とクネヒテル氏。そこでポルトフィーノでも、「比類のないパフォーマンスと極上の居住性とを両立させ、さらにドライビングエモーションまで実現させています」と語る。
実はカリフォルニアとカリフォルニアTは、グローバルで見ても、最も日本市場で成功したモデルであることから、当然ポルトフィーノの日本への期待も大きい。「近年のトレンドは、GTモデルであってもバーサティリティ、多用途性、多目的性をどれだけ実現できるかがより求められます。特に日本市場ではさらに居住性、あるいはキャビンの贅沢さといったリッチな感覚が求められています」と分析するのはフェラーリジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ氏だ。そして、「それに応える形でポルトフィーノは新しくデザインを一新して市場投入しました。これからは、若いお客様をどう取り込むかが重要ですので、既存のお客様に加え、より若い層をターゲットにポルトフィーノを訴求していきます」と、これまで以上に若い新規顧客に向けての意欲を見せた。