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トヨタ紡織、シートや空調を自動で調整してくれるコンシェルジュ・MX191を披露
10月24日~11月4日にかけて行われた東京モーターショー。トヨタ紡織は、アイシン精機株式会社、株式会社デンソー、豊田合成株式会社、株式会社東海理化の5社の知見を活用して開発したインテリアスペースMX191を披露した。
MX191は信頼できるコンシェルジュのように空間や人を見守るインテリアスペース。近未来の自動運転を想定して開発されている。「もっと心地よく、もっと安心に、もっと好きなことを」をテーマとし、多彩なシートアレンジや、乗員を守る安全システム、リフレッシュ、リラックスなど、シーンに応じたモード切替えができる。
プロジェクトリーダーのリチャード・チャン氏はプレスブリーフィングで、「自動運転の時代にはクルマの中でできることが大きく広がり、家族団らんや仕事など、やりたいことが増える。乗る人が何を求めているかを先読みし、快適な時間と空間を提供する」と語り、搭載されている6つの見守りシステムについて紹介した。
お出迎えシステムは、乗車前に空調システムが作動し、シートと室内の温度を調整、空気をきれいにしてくれる。人がクルマに近づくと、日差しをブロックしていた調光ガラスが透明になり、ドアが開き、フロントシートが乗りやすい位置に回転して人を迎える。人が座ると、シートはドライバーポジションに移動する。シートベルトが締めやすいようにベルトとバックルが前方に出現する。ステアリングのボタンで自動運転モードを選ぶと、ドライバーのシートは後ろにスライドし、広い空間で仕事や食事ができるという。まさにコンシェルジュが側にいるような至れり尽くせりのシステムだ。
乗員保護安全システムは、シートベルトとエアバッグがどのシート位置でも安全に利用できるシステム。フロントシートは自動運転車の中で空間全体を有効に使うために、自在に回転し、動く。人間工学に基づいた安全設計だ。シートベルトはフロントシートに組み込まれている。エアバッグはシートが内蔵するサイドエアバッグに加え、シートベルトにもラップエアバッグを内蔵しているため、どの位置にいても乗員の安全を確保してくれる。
快適機能としての空調システムは、シート毎に快適な温度を効率良く調整する。シートの位置に関わらず、アームレストに配置されたコントロールパネルとタッチパッドで全ての機能を操作できる。
独自のアルゴリズムを使った快適移動システムと眠気抑制システムは、乗員のバイタルサインを読み取り、音やベンチレーション、振動、照明などで感覚を刺激しながら、快適な状態を保ってくれる。ドライバーが眠くなりそうになると、首の後ろから涼しい風をあてたり、年代に合わせた音楽を流したりすることで、集中力を維持させてくれる。
見守りシートアレンジシステムは、シーンや目的に応じてスペースをシフトし、人数に応じた快適で楽しい移動空間をつくり出す。助手席が回転する時に足がぶつかりそうになると、室内監視カメラが作動して回転を止め、安全にシートをアレンジする機能も備わっている。
沼毅取締役社長はMX191の披露にあたり、「クルマが進化し、使い方やサービスが大きく変化しても、乗るのは人。単に移動するだけではなく、一人ひとりの人生を運ぶ大切な時間を創造していく」と力強く語った。自動車に対するユーザーニーズが大きく変化していく中で、トヨタ紡織は今後、「移動空間の新しい価値を満たすインテリアスペースクリエーター」を目指し、「新しい価値を持つ移動空間から次世代のクルマやクルマ社会を変革していく」。