プレゼンテーション「新型レクサスLC 発表会」

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新型レクサスLC 発表会

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レクサス変革の象徴新型「LC」公開。世界初のマルチステージハイブリッド搭載

しばらく新型車のなかったレクサスから放たれた期待の新人は、ラグジュアリーなフルサイズクーペだった。その名は「LC」。すでに海外のモーターショーでは市販モデルが公開されているが、3月16日に東京お台場のホテル「ヒルトン東京ベイお台場」にて記者発表会がおこなわれて日本でも正式に発表された。
まず驚かされたのはその発表会場だ。ホテルの宴会場を使った発表会がおこなわれるのは珍しくはないが、LCの発表に際してレクサスはレクサスの世界観を表すスペシャルなスペースを構築。車両展示スペースはブラック、それ以外はホワイト一面の壁を築いてそこにイメージイラストやホバーボード、そしてプロモーションビデオに登場する宇宙船のモックなどを展示した空間演出で来場者を迎え、レクサスの世界に誘ってくれたのだ。
実車発表に先立ちレクサスインターナショナルのプレジデントである福市得雄氏は、「いま、ラグジュアリーは転換期にある。モノよりも経験。そのストーリーが重要で、その定義はモノから感性を刺激する体験へと変化している」と説明。LCはその新しいラグジュアリーを満たす存在であることを説明した。

それではLCを見ていこう。
ポジショニングはエレガントな大型クーペでこれまでレクサスには存在しなかったジャンル。かつてレクサスはスーパーカー的な存在として限定500台の「LFA」を販売したこともあったが、専用のV10エンジンを開発しカーボンのボディに搭載するなどストイックに徹したLF-Aに比べるとLCはラグジュアリーな感覚が強い。リヤシートが備わるし、価格も1300万円から1450万円と3750万円をボトムプライスとしていたLFAに比べると約1/3に留まるなど立ち位置は大きく異なる。
ライバルに相当するのはBMWの6シリーズやメルセデス・ベンツSクラスクーペだ。
ラグジュアリーなクーペでは特に重要となり、いかにライバルと違う世界観を作り上げるかが各ブランドの腕の見せ所となるエクステリアデザインはこれまでにないほどのエモーショナルさを持っている。特に驚かされるのはそのワイド感。タイヤの頂点からの距離が驚くほど少ない低いボンネットフードや大地をとらえて踏ん張る筋肉を表現するかのように張り出したリヤフェンダーなどラグジュアリークーペにふさわしい魅惑的なボディメイクだ。

LCは2012年のデトロイトモーターショーでレクサスブースに展示されたコンセプトカー「LF-FC」の市販版といえるが、市販を前提としていなかった「LF-FC」の雰囲気と美しさを崩すことなく市販化することに力を注いだとデザインを担当したプロジェクトチーフデザイナーの森忠雄氏は言う。
インテリアは水平基調のインパネで横方向の解放感と優れた視界を演出しつつ、ドライバー周辺はタイト気味でスポーティな空間を演出。ドライビングポジションはヒールポイントとヒップポイントの段差をわずか200mmに抑えた低いスタイルとし、シートに腰を下ろすと正面にメーターが来るように設計されている。ナビや車両情報を表示するディスプレイは10.3インチワイドで、操作はタッチパネルではなくリモートタッチと呼ぶセンターコンソールのパッドでおこなうのはレクサスの他のモデルに準じたもの。しかし一方で、ガソリン車でも電子式シフトレバーを組み合わせるのはレクサスとして初の試みだ。
またドアハンドルにも注目したい。インサイドドアハンドルはシンプルながら凝った造形、走行時や駐車中はドアに格納されて乗降時のみ電動でホップアップされるアウトサイドドアハンドルが採用されている。
パワートレインはガソリンとハイブリッドが用意され、前者はV型8気筒で排気量5.0Lの2UR-GSE型エンジンで477馬力、後者はV型6気筒で排気量3.5Lの8GR-FXSエンジン(299馬力)にモーターを組み合わせてシステム出力359馬力を発生する。
トランスミッションはガソリン車が新開発の10速AT、ハイブリッドは電気式の無段変速をベースとするが10段に区切った変速制御をおこなうことで従来のハイブリッドシステムとは異なるリニアな加速感を手に入れた。
チーフエンジニアを務めた佐藤恒治氏は2つのパワートレインを「フレーバーの違い」と表現した。その意味は「上下」ではなく好みによる味付けといったところだろう。
ガソリン車は官能性能の高さが自慢で、ハイブリッド車はJC08 モードでガソリン車の約2倍となる15.8km/lの低燃費が目を引くがV6エンジンとの組み合わせは爽快感もしっかりと備えているはずだ。モーターのアシストによる強大なトルクが加わる加速力もV8ガソリンに引けを取らないだろう。

ハイブリッドシステムに有段ギヤを組み合わせた新開発の「マルチステージハイブリッドシステム」はこれまでのレクサスハイブリッドとは異なる次元のドライビングプレジャーを約束する。

プラットフォームは「GA-L」と呼ぶ、LCへの採用が第一弾となる新開発。驚かされるのはメインストリームであり年内のフルモデルチェンジが噂されているラージセダンの「LS」ではなく、派生モデルともいえるLCが先に採用してデビューしたことだろう。フロントミッドシップレイアウトを採用し、車体構造としてCFRPやアルミを積極的に使い回答性に優れた素直なハンドリングを実現している。
生産は元町工場内のLFAを組み立てていた工房をあらたに進化させ、認定を受けたTAKUMI(匠)と呼ばれる専任担当者がじっくりと担当。作品と呼ぶにふさわしいLCに命が吹き込まれていく。
グレードはガソリン車とそれぞれにベースグレードに加え、トルセンLSDや21インチタイヤを組み込んだ「Sパッケージ」とガラスパノラマルーフやセミアニリンレザーシートを組み合わせる上級仕様の「Lパッケージ」を用意している。

リュックベッソン監督の映像作品に登場する「SKYJET」も展示された。