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レクサス、“新しい時代の始まりを象徴する”新型フラグシップクーペ「LC」発表会 こだわったのは「理屈抜きにかっこいいデザイン」と「気持ちのいい走り」
レクサス(トヨタ自動車)は3月16日、新型フラグシップクーペ「LC」を発売した。価格は、V型8気筒5.0リッターに10速ATを組み合わせる「LC500」が1300万円~1400万円、V型6気筒エンジンと走行用モーターに自動変速機構を組み合わせるマルチステージハイブリッドシステム搭載の「LC500h」が1350万円~1450万円。
ブランニューモデルとなるLCのグレード展開や各部位の写真などは、関連記事の「レクサス、新型フラグシップクーペ『LC』発売。1300万円から」「写真で見る レクサス『LC500』『LC500h』」を参照していただきたい。
「我々の新しい時代の始まりを象徴するモデル」と福市President
同日に都内で行なわれた記者発表会では、最初にレクサスインターナショナル Presidentの福市得雄氏が挨拶を実施。
福市氏は「レクサスは1989年の『LS』の登場からその歴史をスタートさせました。それまでの常識を覆す品質と信頼により、高い評価を獲得して今なお我々の強みの基礎となっています。『LS』に続き、世界初のラグジュアリークロスオーバーである『RX』やハイブリッドの投入など、積極的に商品展開を行なってきました。現在では約90カ国で事業を展開し、2016年にはグローバルで67万台、国内では5万台を超え、ともに過去最高を達成しました」と語り、これまでのレクサスブランドについて紹介した。
また、「今、ラグジュアリーは転換期にあります。人々のラグジュアリーに対する考え方は変化しており、物の所有よりも、経験や物が発信するストーリーが重視されるようになっています。さまざまな経験を積み、豊かさの本質を追究する方々に、クルマにとどまらず、感性を刺激して驚きと感動を提供する『ラグジュアリーライフスタイルブランド』でありたいと考えております」と福市氏は語り、現在のレクサスが目指している方向性を表現。具体的な取り組みとして、若手映画監督をサポートする「LEXUS SHORT FILMS」、オープンクルーザーである「LEXUS Sport Yacht Concept」などについて紹介した。
そして「本日お披露目させていただく『レクサス LC』は、我々の新しい時代の始まりを象徴するモデルです。人々を移動させるだけでなく、その五感をも動かすクルマです。(LCを)お披露目する前に、あるスケッチをご紹介させてください。これは『到底実現できない』との理由から日の目を見ずにいたものでした。しかし、その美しさは私の感性に強く訴えかけ、『未来のレクサスのあり方を示す原石』のように感じました。このまま埋もれさせてはいけないと、このスケッチから生まれたデザインスタディの『LF-LC』は、みなさまから大きな反響をいただくことができました。その『LF-LC』から5年、(LCは)みなさまの心を動かすモデルに仕上がったと自負しています」と福市氏はコメントし、会場のLCが公開された。
具体的な製品解説は、LCの開発を担当したチーフエンジニアの佐藤恒治氏によって行なわれた。
佐藤氏は「2012年にデトロイトショーで発表したコンセプトカーの『LF-LC』は大変好評を博しました。ワイド&ロー、何物にも似ていない個性があり、理屈抜きにかっこいいものでした。これは従来の技術や開発コンセプトでは製品化が難しいモデルでしたが、レクサスがよりエモーショナルなブランドになるためには、お客さまの感性に訴えるデザインと走りを備えたブランドを象徴するラグジュアリークーペが必要でした。そして私たちは、“レクサスのクルマ造りを変える挑戦の象徴”としてこのクルマの開発に取り組みました。こだわったのは『理屈抜きにかっこいいデザイン』と『気持ちのいい走り』です。スペックにこだわらず、“感性価値”を追求しました」と開発コンセプトを紹介。コンセプトを実現するための具体的な技術などについて説明した。
また、佐藤氏は「LCはお客さまのライフスタイルを豊かにするパートナーであってほしいと思っています。あるときはワインディングから海沿いの道に向かい、運転する喜びを提供する相棒として、そしてあるときは、ダイビングに出かけるお供に。そんな風に、お客さまに寄り添える1台ありたい。そんな強い思いがこもったクルマです」とコメントし、LCで想定した利用シーンについて語った。
内外装のデザインは、レクサスインターナショナル プロジェクト・チーフ・デザイナーの森忠雄氏から解説された。
森氏はLCのデザインコンセプトを「セダクション&テクノロジー」と紹介。これは「一流のアスリートが鍛え上げられた肉体をひけらかすことなく、上質な装いに身を包んで颯爽と駆け抜ける姿」と表現した。また、このクルマで森氏自身が最も気に入っているポイントとして、「ドライバーズシートからドアミラー越しに見えるリアフェンダーの張り出し」であると紹介し、ぜひ車両の運転席に座って眺めてみてほしいと語っている。
また、LCではリアのグレードバッヂがリアバンパーの中央に配置されていることも大きな特徴だが、これについて会場で森氏に質問してみたところ「基本的な社内規定としては『リアコンビネーションランプの下』などに設置することが望ましいのですが、デザインの段階で実際に取り付けてみたところ、リアバンパーが複雑な曲面を描いていることから、どうしてもかっこよくスマートなデザインに仕上げられませんでした。悩んだのですが、思い切って中央に装着することにしました。結果的に、リアの中央にリアカメラやレクサスの『L』、そしてグレードバッヂなどの機能面が縦に集約され、両サイドはスピンドルのモチーフを表現した立体的でエモーショナルなエリアとなって、棲み分ける形になっています」と解説された。