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ついに主役に躍り出た「スマートシティ」 — 世界最大規模のテクノロジー祭典「CES2018」現地レポート①

「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2018」が9日、米国・ラスベガスで始まりました。

CESは4000を超える出展企業、150カ国以上の国から18万人以上の参加を見込む、世界最大規模のテクノロジーの祭典です。家電ショーという位置づけからテクノロジーのイベントへと変貌したCESでは、スマート家電に始まり、モバイル、自動車、ロボティクス、IoT、AI、AR/VRなど、今後のビジネス環境に大きく影響を与えるテクノロジーや先端的の取り組みに触れることができます。

このイベントで紹介されるテクノロジーは、消費者のライフスタイルを大きく変化させる可能性があり、マーケターにとっての重要な示唆が多く発信されています。今年(昨年、一昨年)も電通の森直樹氏が現地から、マーケティング・コミュニケーションの視点で最新情報をお届けします。

IoTはAIとの本格的な連携を模索。そして、スマートシティへ。

年の初めのテクノロジーの祭典、CESが今年もやってまいりました。現地レポート第1弾では、プレスデイでの各企業の発信、IntelとFordによる基調講演、CESから見える今年のテクノロジートレンドについて触れたいと思います。

プレスデイでは、「CES Tech Trends」という今回、注目するべきテクノロジーを紹介する親切なコーナーがあります。そこでは、注目するべき技術として「5G」「AI」「ロボティクス」、そして新興技術として「スマートシティ」「スポーツイノベーション」「デジタルセラピィ」が取り上げられていました。また、CTA (全米民生技術協会)President and CEOのGary Shapiro氏による基調講演では、これらに加えて自動車、ドローン、AR/VR、小売業界のハイテク化をトピックとして紹介していました。

秒読み段階となった「5G」の導入

今年の注目技術の柱のひとつに、「5G」があげられます。「5G」は、通信速度の高速化や接続タイムラグがほとんどないこと、セキュリティの高さなどの特徴を持ちます。映像視聴体験の変化、AR/VRの発展など、メディア環境に大きく変革をもたらす可能性があり、マーケターも注目しておくべき技術です。CESでは、家電、自動車、通信、その他のテクノロジー業界で、その可能性が言及されていました。モバイル向け半導体最大手のQualcomm社は、5Gネットワークを2018年後半から展開し、2019年にスマートフォンへ導入すると発表しています。

もはや家電よりも主役?自動車業界はどこへ向かうのか?

いつのまにか、自動車業界のイノベーション発信の場としても定着してしいるCES。今年も、自動車業界からの情報発信が目立ちます。今のところ、筆者が最も関心を寄せているのは、プレスデイでトヨタ自動車が発表した「e-Palette」という新しいモビリティの姿です。自動運転によって制御された箱型のEV(電気自動車)が、用途によって自在に変化し、小売店や流通、ワークスペースやホテルなど様々な形態に変化します。多くの業界にインパクトを与えるだけでなく、モビリティ主導でスマートシティの可能性を示したと、私は考えています。記者発表会では、すでにAmazonやピザハットと初期パートナーシップが締結され、2020年に実証実験を行うと発表されていました。

また、CESには欧米の大手自動車サプライヤー各社も参加しています。筆者も欧州の大手サプライヤーであるBOSCHとContinentalのイベントに赴きました。自動車サプライヤー各社は、自動運転やコネクテッド・カーによる新しいモビリティの体験からスマートシティへの取り組みについて情報を発信。CESでの自動車サプライヤーの存在感が高まっているように感じています。

スマートシティの可能性へ舵を切る

今年のCESで、最も注目すべき事象は「スマートシティ」ではないでしょうか。これまでもCESではスマートシティに関する情報が発信されてきましたが、ついに主役に躍り出たと言ってもいいかもしれません。それは冒頭で紹介した通り、5GやAI、自動運転など、多くのテクノロジーがスマートシティに関連付けられていたためです。

フォード CEOのJim Hackett氏は、9日の基調講演の中で「自動車会社として都市から生活を変えていく」と、スマートシティへの取り組みについて語りました。さらにフォードは、人々の生活にAIと自動運転、5Gが大きな変化をもたらし、その中でスマートシティは大きなテーマであること、そしてオープンなクラウド上のプラットフォームを提供することで、エコシステムをつくっていきたいと語りました。

CTAによると、米国の77都市でスマートシティへの取り組みが始まっています。さらに、BOSCHは記者発表のなかで、スマートシティ関連ビジネスは2020年まで毎年19%成長し、2025年には世界で80都市がスマート化するという予測を発表しました。

さらなるエコシステム誕生とライフスタイルの大きな変化

筆者は、CES初日とプレスデイにて、AIなどの新興テクノロジーの進展と、ビジネス構造の変化について示唆が得られたと感じています。米国企業はAIや5G、自動運転などの新興技術について、個別の技術やプロダクトの可能性を語られず、プラットフォーム、エコシステム、そして社会構造の変化への対応について語っていました。

今後、5年から10年で起こるであろうテクノロジーによる大変化に、日本のマーケターもすぐに対応する必要があると考えています。この2018年CESレポートでは引き続き、テクノロジーがコミュニケーションやマーケティング活動に与える影響について、レポートしていきます。