日本経済新聞
トヨタ、国内生産3%増の330万台 輸出が下支え
トヨタ自動車は8日の決算記者会見で、2020年3月期の国内生産(トヨタ・レクサス合計)が前期比2.7%増の330万台になる見通しを示した。10月に予定される消費増税の影響で国内販売は落ち込むが、レクサスを中心に輸出の拡大で「国内生産300万台」の堅持を目指す。
20年3月期の国内生産は14年3月期(337.8万台)以来の規模となる。
輸出が国内販売を下支えする。輸出は4.3%増の203万台と、3年連続で前の期を上回る見通し。アジアでは中国向けのレクサスや高級ミニバン「アルファード」が好調だ。中国政府は4月に日本の消費税に相当する増値税を引き下げた。トヨタもレクサスなどを値下げし、今年4月の販売は前年同月比2割増の14万2600台と好調を維持している。
欧州ではトヨタの新車販売のうちハイブリッド車(HV)が5割に達した。HVの車種を増やし、燃費不正問題に揺れたディーゼル車からの切り替え需要を取り込む。
一方、国内販売は1.8%減の154万台を予測している。減少は3年連続。豊田章男社長が「日本は平成元年(1989年)に最高で、あとは右肩下がり」との認識を示したように、新車販売台数は90年の777万7493台をピークに減少が続いている。2018年は約7割に縮小した。
トヨタは部品サプライヤーを含めた開発・生産体制を維持する目安として300万台規模の国内生産を掲げている。トヨタの世界販売のうち日本国内は15%程度とはいえ、国内販売の減少に歯止めが掛からなければ、抜本的な生産体制の見直しにつながる可能性をはらむ。
トヨタは今回の決算説明会に投資家やサプライヤー幹部に加え、トヨタ自動車販売店協会の理事長を務める群馬トヨタ自動車の横田衛社長らを招いた。「豊田社長の思いを直接伝えるため」(トヨタ関係者)という。トヨタにとって国内の販売は台数が占める割合よりも重要な意味を持つ。各販売会社と一層の協力体制を築けるかが、トヨタの国内生産にも影響を与える可能性がありそうだ。