プレゼンテーション「新型カローラ発表会」

トヨタ自動車株式会社 / 技術

新型カローラ発表会

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トヨタ、「現代版の良品廉価」を強調した新型「カローラ」発表会。従来型同等レベルの価格維持 GA-Bプラットフォームのコンパクトカー、商用車の登場も予告

 トヨタ自動車は9月17日、同社の展示施設である東京・お台場の「MEGA WEB トヨタ シティショウケース」において新型「カローラ」「カローラ ツーリング」の記者発表会を開催した。新型の4つの特徴が解説されたほか、トークショーではサイズアップしたカローラに対してGA-Bプラットフォーム採用のコンパクトカーや商用車の登場予告も飛び出した。

 発表会はMEGA WEB トヨタ シティショウケースに報道関係者のほか、歴代のカローラオーナー、新型カローラの事前予約者などを招待して行なわれた。トヨタからは副社長の吉田守孝氏、MS製品企画 チーフエンジニアの上田泰史氏が登壇して新型カローラを紹介するとともに、後半はフリーアナウンサーの安東弘樹氏を交え、自動車ジャーナリストの今井優杏氏の司会でトークセッションが行なわれた。

カローラなしくて、今日のトヨタは存在し得ない

 発表会ではまず副社長の吉田氏が登壇。誕生から50年を超えるクルマがトヨタにはあり、カローラも例外ではないとし、累計台数がもうすぐ5000万台に届くことから「まさにカローラなしくて、今日のトヨタは存在し得ないと言っても過言ではない」と訴えた。

 吉田氏は数年前、社員が自らレストアしたという初代カローラに試乗したことを映像で紹介「決して速くないけどわくわくする、装備はシンプルだがチープでない、狭いけど窮屈じゃない、今乗ってもお客さまの期待を超える。そしてクルマはスペックだけではない」と初代カローラが現代にも通用する一面があることを紹介した。

 しかし、世界中にカローラを提供するなかで「期待を超える価値よりも、増え続ける数への対応が優先されてきた」ということがあったと反省、「新型カローラでは原点に立ち戻り、日本中の世界中の多くのお客さまを応援できるクルマにしたいとの思いで開発してきた」と語った。

従来型と変わらない取り回しを強調

 続いて、チーフエンジニアの上田泰史氏は「スタイリング」「走り」「安心・安全」「コネクティッド」の4つのポイントについて、重点的に商品強化を図ったと説明した。

 ワゴンであるカローラ ツーリングでスタイリングについて説明した上田氏は「全長、全幅、ホイールベースを従来型よりも拡大、全高を低くしてワイド&ローのシルエットを表現、そして、グローバルで統一したプラットフォームはそのままに、日本での使い勝手を考慮し、日本にジャストフィットな車両パッケージを採用した」とし、最小回転半径が15インチタイヤのグレードで+10cm、従来型の16インチタイヤを装着するグレードと新型の17インチタイヤを装着するグレードでは最小回転半径が5.5mから5.3mへと小さくなったことを強調した。

 また、乗り降りに必要なドアを開いた空間については-6mmとなり、「従来型と比べても変わらない取り回しのよさ」を強調した。

 「走り」については、目線の動かされにくさ、旋回姿勢の決まりやすさ、そしてライントレース性を向上するためにサスペンションやステアリングの最適化検討を行ない、カローラの走りは進化し続けるとした。

 「安心・安全」では衝突安全性を確保したボディのほか、トヨタセーフティセンスを全車標準装備したこと、「コネクティッド」ではDCMと国内ではトヨタブランド初となるディスプレイオーディオを全車に標準装備して、便利なカーライフをサポートするとした。

豊田章男氏もテストコースで評価

 続いて、社長の豊田章男氏がテクニカルセンター 下山テストコースで試乗した様子をビデオで紹介。豊田氏は「はじめてのクルマは、クルマの運転に集中しちゃうんだけど、今日は会話ができてるでしょ。普通のドライブができてるってことは、曲がりたいときに曲がれる、止まりたいところで減速してくれてる。アクセルとかも違和感なくできてるから話せる」と違和感なくドライブできる点を評価した。

 これを受けて吉田氏は「ストレスを感じることなく、気持ちよく運転できることがあらためて重要」とし、一方で、価格については、「これまでより車格をワンランク以上上げ、数々の先進技術を装備しながら、ほぼ先代と同等レベルを維持することができた。現代版の良品廉価になっているか、みなさまにも確認いただきたい」と説明した。

 再度、豊田氏がビデオで出演しカローラへの思いが語られた。「大衆車とは多くのお客さまに選んでいただいたクルマ。私も初めて自分のお金で買ったクルマがカローラです。羊の皮を被った狼と呼ばれた1600GTで、忘れられない青春時代の思い出が詰まったクルマです。そんな誰かのストーリーになるクルマだと思っています。絶対にコモディティ(汎用品)と言われるような存在にしたくない、というのが私のカローラに対する思い。開発陣にもそう伝えている。なんかいい、少し自慢したくなる、そんなクルマを目指してまいりました」と語り、販売店向けには「大衆車という意味は、たくさん街にあふれるということです。たくさん売ってください。それが、街に多くの笑顔を生むと思います」と呼びかけた。

トークショーでは安東氏のカローラ体験から新型コンパクトカーの予告まで

 後半のトークセッションでは、クルマ好き代表としてフリーアナウンサーの安東弘樹氏を交えて行なわれた。司会は自動車ジャーナリストの今井優杏氏が担当した。

 安東氏は幼少期に家に初代カローラがあり、駐車場でハンドルに触らせてもらっていたエピソードを紹介し「ぼくが生まれてはじめて握ったクルマのステアリングはカローラだったんですよ。2ドアでなんてかっこいいクルマなんだ、私のクルマの原体験で、おそらく、私のクルマ好きはそこからはじまったと言っても過言ではない」と語った。

 それを受けて副社長の吉田氏は「わが家のはじめてのマイカーは小学校1年のパブリカ。小学校3年のときにカローラがデビューした。あのコマーシャルをみて、ぜひわが家も買い替えてほしかったが、結局それはかなわず。安東さんのようにカローラに乗ることができなかった」と安東氏に嫉妬した様子。

 トークショーではさらに歴代カローラのオーナーをビデオで紹介、初代カローラに乗り続けているオーナーは招待者として来場、紹介された。

 話は初代カローラの「プラス100ccの余裕」におよぶと、上田氏が「歴代のカローラが、お客さまの期待を超えるプラスアルファの価値を大事にして開発してきた」と説明、5代目でFF化して広い室内スペースを実現したこと、6代目では時代背景から上級志向があり、数字に現れない上質感や感性を開発キーワードに入れたこと、7代目は歴代で最もボディバリエーションが多かったことなどを紹介した。

 デザインの話になると安東氏は「まずかっこいい。昨年、カー・オブ・ザ・イヤーでカローラスポーツで最高得点を入れたが、その理由のひとつが、後ろから見てのかたまり感。躍動感があってかっこいい。かたまり感がうまく表現されていることがすばらしい。このクルマに乗ってると、選んだ自分が誇らしく思える、というデザイン。“どう、このクルマを選んだ俺のセンス”って思えるようなクルマ」と興奮ぎみに語った。

 走りについても「自分の操作どおりに反応してくれるところはカローラスポーツと全く同じ」と指摘、さらに「何よりもMTがあるじゃないですか、スポーツだけかと思っていましたが、なぜか、うれしいことにカローラにもツーリングにも設定してくださっている」とMT仕様車があることを絶賛、試乗した感想と合わせて「うれしかった」と喜んだ。

 また、今回のトークショーを締めとも言えるのが、一般から寄せられた質問をトヨタの2人にぶつけるコーナー。質問のなかからピックアップされたものをディスプレイに表示、その中から安東氏が選ぶというもの。

 そのなかには、フォルクスワーゲンゴルフと比べて自信はいかが? というものがあり上田氏は「競合車として意識したところは、特に走りの面ではある。ゴルフには絶対負けてないという自信を持って発表した」とし「カローラってどういうお客さまにどういうクルマなんだ、カローラらしさを表現するのも大きなテーマだった」とゴルフとの違いも表現しているとした。

 吉田氏は「性能面の比較はありますけど、やはり日本の道で乗るんだったら、53年の歴史のあるカローラのほうが絶対勝っていると思います。ぜひ安心してお買い上げいただきたい」とした。

 さらに吉田氏はトヨタのクルマづくりに言及するなかで「先週。欧州のほうで、コンパクトなGA-Bプラットフォームを発表した。今後、コンパクトなクルマ、あるいは商用車の新型車もどんどん出ますので、ご期待いただきたい」と、3ナンバー化したカローラに躊躇するユーザーに対する“回答”まで飛び出した。

 トークショーでは最後に販売店を代表してトヨタ自動車販売店協会 カローラ店部会 部会長の久保行央氏が挨拶。トヨタからは販売担当として国内販売事業本部 副本部長の長田准氏がテレビCFを紹介した。

新旧カローラを展示

 発表会では、新旧カローラが多数展示された。

 歴代カローラではAE86型、TE27型のレビンを含む歴代カローラが展示された。

 なお、新型カローラ事前予約者、歴代オーナーによる試乗も行なわれ、メガウェブのコースでは30台の新型カローラが次々に出発した。