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豊田章男社長が語る“大衆車”カローラに対する想い|トヨタ 新型カローラ発表会レポート
カローラスポーツ登場から1年、日本にもっとジャストフィットなカローラがやってきた
トヨタから、12代目となるロングセラーブランド、新型「カローラ」(セダン)と「カローラツーリング」(ワゴン)の2モデルが発表された。
既に先行して2018年6月にはハッチバックモデルの「カローラスポーツ」が発表済み。プラットフォーム(車両の基礎となる車台)を新規開発したカローラスポーツは、発表当時からプレス発表資料などにも「12代目のさきがけ」「新世代ベーシック」と明記されており、セダンやワゴンモデルの展開も暗示されていた。1年以上が過ぎ、晴れて正式発表となったワケだ。
世界共通の新プラットフォームを採用しながら日本専用にサイズを縮小
ただしカローラスポーツは、主に欧州市場に向け設計されたハッチバック「オーリス」の後継モデルであり、ボディサイズも全幅1790mmと、高級セダン「クラウン」の車幅1800mmに迫るワイドボディ。従来型の国内向けカローラ(カローラアクシオ/カローラフィールダー)が車幅1695mmと5ナンバー枠内に留まることを考えたら、いきなり100mm近い拡幅は多くの既存オーナーには受け入れがたいことだろう。
発表会で開発責任者であるトヨタ自動車の上田 泰史 チーフエンジニア(CE)は、新型カローラが『日本にジャストフィットな国内専用パッケージ』であることを強調した。新規開発された世界共通のTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームを用いながらも、世界向けモデルに対し国内専用でホイールベースを縮小し車幅を狭め、ドアミラーなどにも工夫を加えた。結果として、小回り性能やドアミラーを畳んだ際の車幅などが、5ナンバーサイズの従来型とほぼ変わらない寸法を保つことが出来たのだ。
新型カローラの詳細については、解説記事なども併せてチェックして欲しい。
豊田章男社長が語る“大衆車”カローラに対する想いとは
ステージのスクリーンでは、マスタードライバー(開発に携わることの出来る高度なドライビングテクニックを持つ者への特別な社内称号)でもあるトヨタ自動車の豊田 章男社長がテストコースで試乗する様子も放映。新型カローラを『ストレスを感じることなく気持ち良く運転出来る』と評した。
またその後のビデオメッセージでは『多くの人に愛されるクルマ(大衆車)だからこそ、絶対に“コモディティ(汎用品)”と言われるような存在にはしたくない』と、カローラに対する特別な想いを語った。
いっぽうで、発表会場に集まった販売店関係者に向け『大衆車とは、街にたくさんあふれるということ』(だから)『たくさん、売ってください』と、ユーモアを交えながらストレートなメッセージが飛び出していた。
初代カローラ1100を53年に渡り乗り続けたオーナーが登場
発表会は開発者らのプレゼンに続き、第二部としてトークセッションが行われた。ステージには上田CEとトヨタ自動車 吉田 守孝 副社長、そして特別ゲストとして、元TBSアナウンサーで日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める安東 弘樹さんの3名が登壇。1966年のデビュー以来53年もの長い歴史を持つカローラについて、様々な意見が交わされた。
スクリーンでは、初代カローラ1100を購入して以来53年に渡り所有し続け「(カローラは)妻よりも長い付き合いで、ええ友だちや」と笑顔で語っていた大阪府の石本さんなど、歴代オーナーのエピソードを放映した。石本さんは会場にも招待されていたため、吉田副社長がトヨタを代表して直接感謝の言葉をかけるシーンも見られた。
さらに予約注文を入れた未来の新型カローラオーナーたちもスクリーンで紹介。それぞれ「スタイリッシュ」「カッコいい」「すてき」「今までと違う」など、特にデザインに関する声が大きかったことが印象的だった。会場に招待された栃木県の増山さん(カローラツーリングを購入予約済み)は、実車を見た感想を聞き『やっぱり凄い』『カッコいい』と次々話し、先行予約して良かったと満足そうだった。
ユーザーからの辛辣な意見や気になるストレートな質問にトヨタが回答!?
さらにSNSを通じユーザーから受けたトヨタ カローラに対する問いやメッセージについて、安東氏が開発者へ直撃した。
「最近のカローラは若い人が乗っていないイメージだ」との辛辣な意見に対し上田CEは『確かにここ最近のモデルはその通り』と認めたうえで『新型はもっと若い人にも乗ってもらえるクルマだ』とし、先行発売したカローラスポーツの若いユーザーからの反響の大きさについて紹介した。
また「ベンチマークと言われる欧州車、特にフォルクスワーゲン ゴルフと比べ自信はいかが」との問いに上田CEは『正直なところ強く意識したが、負けていない自信がある』と回答。いっぽうで『カローラらしさも意識した』とも話した。ここに吉田副社長も『日本の道で乗るなら(ゴルフよりも)カローラのほうが勝ってる』と援護射撃を行い、新型カローラの優位性をアピールしていた。