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軽自動車の本質を追求! ダイハツ ミラ イースがフルモデルチェンジ
ダイハツが軽乗用車「ミラ イース(Mirae:S)」を6年ぶりにフルモデルチェンジ。5月9日(火)にプリンスホテル東京で発表会を行い、全国で販売を開始した。
ボディ構造から抜本的に改良し、走行性や安全性を高め、同時に定評のある燃費性能は最高35.2km/Lとなり、全車エコカー減税免税レベルとなっている。また、衝突回避支援システム「スマートアシストIII」を同モデルで初めて採用し、価格は84万2000円からという意欲的な設定となっている。
一見すると、ノーズが長くなり、ドアから連続する立体的感のあるバンパーがこれまでよりも大きな存在感を生み出している。フロントからサイドヘ回り込むエアロスカート風のワイドなバンパーも、重心の低いワイドなスタイルを表現。また、バックドアガラス両サイドの黒色ガーニッシュは、空力性能にも貢献している。
新型は、ユーザーオリエンテッドなクルマ作りを実現するためのダイハツの事業構造「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の原点を確立するためのモデルとのことだ。DNGAの原点とは、「低燃費」、「低価格」、「安全・安心」を追求し、「見て、触って、乗って感じるクルマのあるべき姿」にこだわりながら、ユーザーの日常に寄り添うもの。「いつでも、だれでも気軽に乗れる軽」を基点としたスモールカー作りの考え方であるという。フルモデルチェンジで全方位的に進化を遂げた新型ミラ イースだが、主なポイントは次の通りとなる。
ボディの強化と軽量化
新型は「軽量化」と「高強度化」を目指し、「Dモノコック」としてボディ構造が根本から見直されている。サイド部分はすべて厚板ハイテン化とされることで、強度剛性部材として活用され、超ハイテン材の採用も拡大されている。さらに、結合構造を改善することでも強度の向上が図られている。同時に大幅な軽量化も実現され、シェルボディで35kg減、足まわりで15kg減、その他、フロントフェンダー、バックドア、燃料タンクなどの細部に樹脂パーツを採用し30kg減となっている。新型の重量はわずか650kg(2WD L/SA III、2WD B/SA III)。軽量モデルにおいて、全体で最大80kgの軽量化というのは驚かされるレベルだ。ボディの軽量化は運動性能の向上はもちろん、低燃費化にも直結するわけだが、空気の流れを考慮したデザインやボディ各部に整流アイテムを設置することで、空気抵抗を低減(Cd値3%低減)し、空力性能も向上している。
安全性能の向上
セーフティ性能としては、「スマートアシストIII」が採用され、飛躍的に進化している。主なものとしては、スマートアシストを搭載する従来モデルと比べ、衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能が新しく「歩行者」対応となり、被害軽減ブレーキアシスト、車線逸脱警報機能、後方誤発進抑制制御機能が追加されている。また、オートハイビームも装備され、ドライビングの安心感が一層増している。スマートアシスト搭載車は、年内に150万台、2018年度中には200万台に達すると見られ、ダイハツでは今後一層、広く浸透させていくとしている。また、ダイハツではすでに販売された車両についても、「後付け」でスマートアシストを装備することの可能性も積極的に検討していることを明らかにしている。製品企画部エグゼクティブチーフエンジニア南出洋志(みなみでひろし)氏は、新型の開発にあたり、ユーザーの声を積極的に集め、低燃費や低価格がもはや「あたり前」と認識されていることを理解し、安全性や質感の向上に特に注力したと説明した。
パワートレインの改良
さらなるエネルギー効率改善のため、エンジンは従来型をベースに、オルタネーターヘ回転を伝えるベルトを低フリクション化するなどメカニカルロスを低減している。燃料噴射装置は従来のデュアルインジェクターを踏襲しながら低コスト化。CVTはケースの肉薄化を図り、軽量化が施されている。また、アクセル操作に対するスロットル開度と変速線図の見直し、またキックダウン時の変速制御なども最適化されている。これにより、発進時や追い越し時の加速がより速やかに行えるようになった。
快適な運転環境、車内環境
パッケージング技法の進化も見逃せない。これまでのモデル以上に、頭上空間が広くなり、圧迫感が少なく、情報視界が広がった。またステアリングやアクセルペダルの取り付け位置も調整され、より自然なドライビングポジションが得られるようになった。そして、静粛性にも気が配られ、ボディ骨格の穴の数が削減され、またノイズの原因となる音の経路を遮断、随所に吸遮音材を最適配置し、室内の静粛性能が向上している。フロントピラーやドアミラー形状も見直され、風切り音も低減している。
2011年9月に登場した初代ミラ イースは、当時ガソリン車としては最高の30.0km/Lの低燃費と80万円を切る最低価格を実現し、「第3のエコカー」として、軽自動車の新たなジャンルを切り開いた。三井正則(みついまさのり)社長は、ミラ イースは、ダイハツが目指す「良品廉価」を体現するモデルであったと振り返ると同時に、個性を守りながら大幅にレベルアップしたニューモデルに対して自信も見せた。また、トヨタの完全子会社となっているダイハツが、これまでのハイクオリティなモデル開発が高く評価され、今後トヨタ自動車の小型車事業を主体的にリードしていくことになったことも明らかにした。
【ダイハツ ミラ イース 2WD L(CVT)】
全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1500mm
ホイールベース 2455mm
重量 650kg
エンジン 直列3気筒DOHC
総排気量 658cc
最高出力 49ps/6800rpm
最大トルク 5.8kg/5200rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
タイヤ前後 155/70R13
販売価格 84万2400円~133万9200円(全グレード)