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スズキはよりパーソナルで小さな移動体を提案【東京モーターショー2019】
東京モーターショーのプレスデー初日、朝の8時半からの最初のプレスブリーフィングはスズキだった。クルマやバイクなど、6台の車両が並ぶステージに登場した社長の鈴木俊宏氏による「みなさん、おはようございます」という力強い言葉で、今回の東京モーターショーはスタートした。
“小さなクルマ”の在り方を変えていく
鈴木氏はまず台風19号の被災者に対するお見舞いの言葉を述べ、続いて、今回のスズキブースのコンセプト「WAKU WAKU SWITCH for EVERYONE つくろう、あなたのワクワクで、みんなのワクワクを。」を説明する。
「自動車業界の潮流は、従来型のエンジンから電気自動車、燃料電池車に向かっています。その一方で、自動運転やシェアリングなど、これまでになかったサービス、新しい価値が生まれています。そしてその価値は、よりパーソナルな用途を志向していることを感じています。スズキは小さなクルマをつくり続けてきました。わたしたちはこうした時代の変化に合わせて、小さなクルマを変えていこうと思っています。そして、常にお客さまの求める使いやすさ、うれしさ、楽しさ、ワクワクできる毎日を皆さまにご提供していきます」
そしてステージ上のクルマの説明を始めた。最初に紹介したのは、AセグメントのPHEVコンパクトカー「WAKUスポ(ワクスポ)」だ。途中で、鈴木氏はステージ上に映写されている“WAKU WAKUスイッチ”(の画像)に飛び乗る。生真面目そうな鈴木氏のぎこちないジャンプに、会場からは優しい笑いが生まれた。それを合図に、セダン形状であったWAKUスポのトランク部が可動し、クーペからワゴンスタイルに変形。オーナーの用途や気分で、スタイルを変えられるクルマだったのだ。
続いてはボックスタイプで運転席のない自動運転車「HANARE(ハナレ)」。家の「離れ」のような室内空間となっており、従来の移動が主目的であったクルマとは、また異なる価値を提供するものだった。
その次に紹介されたのが「HUSTLER CONCEPT(ハスラー コンセプト)」だ。コンセプトカーとはいえ、その出来上がり具合はどう見ても量産車レベル。初代の「ハスラー」は東京モーターショーでコンセプトが発表され、その年の年末に発表、年明けに発売となっている。「市販に向けた準備をしている」と鈴木氏が言うからには、今回の2代目も初代と同じく、早々に公道デビューとなるのではないだろうか。
インド語で「友達」を意味する生活支援ロボット
そして鈴木氏は、ステージ上の小さな台車のような車両に「頼むぞ、ミトラ」と声をかける。これは開発中の生活支援モビリティー「ミトラ」で、その車名(?)はインド語で「友達」を意味するという。人の代わりに買い物の荷物を運んだり、歩数計になってオーナーと一緒に散歩したり、はたまたTV電話になったりと、モビリティーというより生活のパートナーとなる自立移動型ロボットだ。ところが、そのミトラが動き出さない。すると鈴木氏は、すかさず「ミトラ、緊張しているな。お前の開発者はもっと緊張しているぞ。俺も緊張しているけど」とのジョーク。会場が笑っているうちに、無事にミトラは動き出し、移動する鈴木氏の後を自動でついていくのであった。
ミトラを連れてゆく先にあったのは250ccの油冷エンジンを搭載するオートバイ「ジクサーSF250」。こちらも国内販売に向けた用意が進んでいるという。
そして、最後に紹介したのが「クーポ」。ミトラと同様の生活支援モビリティーで、可変式の電動カートにもなるし、電動車いすにもなるというものだ。クーポに乗って買い物に行き、ついてきたミトラに荷物を運ばせるような使い方ができるというわけだ。
そして最後に鈴木氏は、「スズキは、これからも新しいサービス、電動化技術、環境技術、安全技術、情報技術など先進技術を積極的に取り入れ、お求めやすく、お客さまに価値ある商品、スズキが得意とする小さなクルマをつくり続けます」と宣言してブリーフィングをしめくくった。