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スポーツカーの顔を併せ持つSUV、ジャガー E-PACE(Eペイス)が日本上陸|発表会レポート
コンパクトサイズのベイビージャガーが登場
ジャガー・ランドローバー・ジャパンは“ネコの日”である2月22日、ジャガーの新型コンパクトパフォーマンスSUVである、E-PACEを発表した。
2種類のガソリンエンジンと1種類のディーゼルエンジンからなる3つのエンジンバリエーションが導入され、すべてのモデルにAWDシステムが組み合わされる。価格はエントリーグレードのE-PACE 2.0L D180の451万円から。
高い運動性能と実用性を兼ね備えた、日本市場にピッタリなコンパクトSUV
ジャガーF-PACEに続く2番目のSUVモデル、E-PACEについてジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏は、「我々はベイビージャガーと呼んでいます。この意味は、まずサイズがコンパクトであること。次に新たに誕生したジャガーということなのです」という。また、「コンパクトパフォーマンスSUVとして、スポーツカーの運転性能と、実用性を兼ね備えた日本市場にぴったりのクルマです。E-PACEもF-PACEと同様、多くの新しいお客様をジャガーに迎えることが出来るでしょう」と期待を語る。
そして、「E-PACEもスポーツカーらしさ、抜群のスタイリングというジャガーらしさを守り抜いています。さらに、間もなくジャガー初のエレクトリックパフォーマンスSUV であるi-PACEがジュネーブモーターショー直前に発表される予定です」と述べた。なお、このi-PACEは2019年初めに日本にもやってくる計画だ。
3~40代、世帯年収1000万円以下をターゲット
E-PACEのユーザー層について同社マーケティング・広報部ディレクターの若林敬一氏は、「30代から40代で、日本では世帯年収ベースで1000万円以下の方を6割ぐらいは獲得したい。男女比率もこれまでは男性のイメージが強かったのですが、今後は女性を4割ぐらいにしていきたい」と述べる。その背景には、購入年齢層を引き下げ、また、そういったユーザーを基盤とし、同社内でアップグレードさせていきたい考えなのだ。
もう少し具体的に、同社マーケティング・広報部プロダクトマネージャーの佐藤健氏は、「8割くらいは新規顧客だと想定しています」という。まず、「比較的若い、ドイツ車などの少しスポーティなSUV輸入車ユーザーで、次期車として、ドイツ車以外にも乗ってみたいと思っている人たちです。もうひとつは、比較的高い年齢層では、ミニバンからの卒業生。子供と一緒に乗らなくなったので、少し個性的なクルマに乗りたいと思っている人が多くいるので、そこも狙えるでしょう」と述べ、日本車からの乗り換えも期待している。
また、「40代後半から50代のユーザーは、その年代に来ると自分のクルマとしてあと何台買えるのかを考え始めます。そこで、最後には輸入車に乗りたいという層が間違いなく多くいらっしゃいます。そこに、輸入車のエントリーとして当てはまるでしょう」と説明した。
F-PACEではなくF-TYPEから生まれたデザイン
ジャガー E-PACEのポイントは大きく3つある。ひとつはデザイン。次にパフォーマンス。3番目は高い実用性とコネクトされたSUVというものだ。
そのデザインについて、チーフデザイナーのイアン・カラム氏は発表会のビデオメッセージで、「我々がE-PACEの開発でやりたかったことは、最先端かつ全く新しい何かを想像することでした。 控えめな存在感ながら、確固たる個性を兼ね備えたクルマを作りたかったのです」。そこで、「我々は他社ブランドのSUVよりもスポーティなものを求めました。他の SUV と足並みをそろえるのではなく、むしろ対極を目指すためにスポーツカーのF-TYPEからヒントを得ているのです」。さらにインテリアでも、「シートに座った瞬間、実用だけを求めたSUV ではないことを感じてもらえるでしょう。今まで感じたことがない、運転がしたくなる、楽しめるような感覚に、ワクワクしてくると思います」と話す。
このF-TYPEのモチーフは全体にちりばめられているが、わかりやすいところでは、ヘッドライトやフロントグリル、そしてリアコンビネーションランプなどだ。また、インテリアでもグラブハンドル(助手席の人が握るためのセンターコンソール側にあるグリップ)によりF-TYPEを感じさせている。
また、プロポーションもロングホイールベースとショートオーバーハングにより、スポーティ感を強調。“シケイン・ライン”と呼ばれる、レーシングカーがシケインを走り抜けていった軌跡のようなラインが内外装に取り入れられている。インテリアではダッシュボードをフロントウィンドウ上空から見下ろすと、メータークラスターからセンターコンソールに向けてS字を描くようなラインが見て取れる。
もうひとつカラム氏がこだわったのはロータリーダイヤルスイッチの採用だった。室温やその他の機能を調整するもので、「カメラのレンズをモチーフに、美しさを追求しました。さらに、ダイヤルに触れ、回した時の感触や肌触りを大切にしています」と述べた。
このE-PACEは、“The CUB”とも呼ばれているという。CUBとは、肉食獣の子供、幼獣を意味し、「E-PACEはジャガーファミリーの子供なのでThe CUBと呼んでいます。その証にフロントウィンドウにはジャガー親子のモチーフを施しました。それを見ると微笑ましく感じてもらえるでしょう」とし、「ジャガーはどんなモデルでも初めて感じる楽しさがあり、私は大好きです。ジャガーというクルマに接し、より多くの人々が笑顔でいてほしいと願っています」と結んだ。
スポーツカー並みのボディ剛性、FRのような走行フィーリング
日本に導入されるエンジンは大きく3種類。2リッター4気筒ガソリンエンジンでは、249psと300psの2種類。そして180psのディーゼルエンジンだ。サスペンションはフロントがマクファーソン式のストラット、リアはこのクルマのために開発したインテグラルリンクのサスペンションで、「ジャガーらしい乗り味を実現している」と若林氏。そこに組み合わされるトランスミッションはジャガー初の9速オートマチックが採用された。
ボディのねじり剛性は28500Nm/degreeで、若林氏は、「これは何千万円もするようなスポーツカーと同じぐらいのボディ剛性を持っています」とそのレベルの高さを強調。また、「SUV とスポーツカーは共通項があり、非常にリジットで硬いボディとよく動く滑らかなサスペンションの組み合わせが大事だという点です。まさにそれをしっかりと裏打ちするためのボディ剛性となっているのです」とE-PACEもまぎれもなくスポーツカーでありSUVであることをアピールした。
E-PACEには2つのドライブラインと呼ばれるものが採用された。ひとつはエフィシェントドライブラインで、ディーゼルと249psのガソリンモデルに用いられ、300psのガソリンモデルにはアクティブドライブラインが採用された。
エフィシェントドライブラインにはパワー伝達ユニット、PTUが搭載される。これはエンジンの力を前輪だけではなく後輪にも伝える役割をする(E-PACEはレンジローバーイヴォークのプラットフォームをもとに大幅に手を加えたものなので、FFがベースだ)。後方にはアクティブセンターカップリングがあり、これは最新の電子油圧式の多板クラッチだ。これらの機構により、リアへ最大90%、フロントへ最大10%、またその逆のトルク配分が可能となった。
アクティブドライブラインは、エフィシェントドライブラインをベースに、PTUに特別なセンターハブが組み込まれる。これは後輪のプロペラシャフトへ駆動力を300ミリセカンド以下で絶え間なく連結したり切り離したりすることが出来るものだ。後輪のプロペラシャフトが駆動されると、車の左右に駆動力を送る二つのクラッチを含む後輪駆動ユニット(RDU)に接続される。 この結果、後輪駆動のような走りを実現し、さらにコーナリング時には後輪の外側のタイヤに駆動力を伝えることで、「ジャガーらしい走りが出来ます」と若林氏はその印象を語った。
充実の収納スペースとコネクテッド
最後のポイント、実用性とコネクテッドSUVでは、ラゲッジルーム容量は577リッターから最大1234リッターがあり、その横幅は1.3m。「トランクルームの凹んでいる部分を上手く使うとゴルフバッグを真横に積むことが出来ます」(若林氏)という。
室内の収納スペースも多くあり、底がヒョウ柄(というかジャガー柄?)になっているセンターボックスは8.5リッター。750ミリリットルのペットボトルが4本入り、日本で主流の500ミリリットルのペットボトルは、形状にもよるが5~6本入ることが実証実験で確認されている。室内の収納ボックスはトータルでおよそ30~40リットルの容量がある。
コネクテッド系では10.2インチのタッチスクリーンのインフォテインメントシステム“InControl Touch Pro”を採用し、4G Wi-Fiホットスポットもグレードによって標準装備。また手元のスマートフォンアプリを利用することで、離れたクルマのロック・アンロックやエアコン操作、走行履歴や車両状態を確認したり、緊急時にはスマートロードサイドアシスタンスやSOS緊急コールにつなぐことを可能としている。
そのほか、ヘッドアップディスプレイやマトリックス LED ヘッドランプもオプションで採用されている。
ギネス記録達成し、その性能を証明
最後にE-PACEのパフォーマンスを表現するために、ジャガーはギネス記録にチャレンジした。バレルロールというもので、直進状態から円弧状のサイドの壁面を利用し空中に飛び出し、270度回転するものだ。E-PACEはこれに成功し世界記録を達成。ギネスブックの認証を得た。若林氏は、「スポーツ性能を持ったSUV だということの証明です。このクルマはSUVですがスポーツカーとしての側面も多分に持っているクルマなのです。
ベイビージャガーは二面性のあるクルマ。SUVなのか、スポーツカーなのか、本当にベイビーなのか、本当にジャガーなのか、色々な議論を巻き起こしたいという思いの下、我々の開発陣が丹精込めて作り上げたクルマです」とまとめた。