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アウディ A8が8年ぶりのフルモデルチェンジ!
9月5日、アウディ「A8」のニューモデルが発表された。8年ぶりのフルモデルチェンジとあって、フラッグシップの進化に大きな注目を集まるなか、都内で発表会が行われた。ちなみにこの日、新型「A7 スポーツバック」の発表も同時に行われた。
1994年の登場から、先進技術をいち早く搭載するアウディブランドのフラッグシップ「A8」も、新型で4代目となる。今回も量産車として世界初となるレーザースキャナーを搭載する高度な運転支援システムや先進のセーフティ技術が搭載され、ボディ、シャシーも顕著に進化することで、豊かなドライバビリティや静粛性がさらにレベルアップしている。フラッグシップにふさわしい意欲的な仕上がりとなっているのだ。
発表会ではさらに、新しくアウディ ジャパンの社長に就任するフィリップ・ノアック氏の挨拶も行われ、フラッグシプを発表できることに感激しているとコメントした。また、本国アウディAGから、エクステリアデザイナーのアマール・ファヤ氏も来日し、新しいブランドのデザインについてプレゼンテーションを行った。マーケティング部長の石田英明氏は、過去3世代にわたるA8のフロントマスクデザインの変遷について解説を行った。
新型A8のエンジンには、最高出力340馬力の3.0LV型6気筒直噴ターボ(アウディ A8 55 TFSI クワトロ)と、460馬力の4.0LV型8気筒直噴ツインターボ(アウディ A8 60 TFSI クワトロ)の2種類のガソリンエンジンが用意されている。どちらも軽量アルミ合金のクランクケースで、90度のVバンク角、バンク内ターボチャージャーなど、多くの技術を共有するモジュラー型の高効率エンジンとして開発されている。3Lエンジンは先代比で、+29.5馬力/6.1kgm、4Lエンジンは+24.5馬力/6.1kgmの強化を果たしながら、燃費は55TFSI クワトロで10.5km/L、60 TFSI クワトロで8.7km/L(数値はともにJC08モード)となっている。
トランスミッションはともに8速ティプトロニック(トルクコンバーター付きAT)で、クワトロ(フルタイム4WD)が標準装備となる。新型A8のクワトロは、「セルフロッキング センターディファレンシャル」を備えるタイプで、通常時のトルク配分は前40:後60の割合だが、ホイールのスリップ状況に応じて、フロントに最大70%、リヤに最大85%のトルクが配分される。
また、A7 スポーツバック同様、「マイルドハイブリッドドライブシステム(MHEV)」が搭載され、新世代のアウディであることを明確に主張する。おもに「48V」リチウムイオンバッテリーと、クランク軸にベルトを介して連結される「BAS(ベルト オルタネーター スターター)」によって燃費が改善されている。48Vという高い電圧を背景に、最大12kWエネルギーを回収する。減速時には22km/h以下でのアイドルストップ&スタート、また55~160km/hの範囲でスロットルペダル オフにすると、エンジンを停止しての「コースティング(惰性)」走行を可能にするなど、エコ意識の高さが随所に見られる。アウディでは、欧州基準の計測で、100km走行あたり0.7Lの省燃費効果があるとしている。アイドルストップ状態からの再スタートは、BASによって、スムーズかつレスポンス良く行われる。
アルミニウム、スチール、マグネシウム、そしてカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)などの異なる素材を効果的に組み合わせた複合素材で構成されるボディは、先代と比べ24%高い捩じり剛性を誇る。異なる素材を接合するために14種類もの接合技法が投入され、精密かつ耐久性の高いボディを実現している。シャシーレベルでも多くの最新技術が投入され、ダイナミック オールホイール ステアリング(四輪操舵)がオプションで用意されている。後輪が最大5度まで操舵可能で、時速65km/h以下では、後輪は前輪と反対の方向に操舵されてクルマの取り回し性が改善される。パーキング時や市街地での走行で効果を発揮し、ステアリングを目一杯切った時の回転半径は0.5m減少する。一方で中高速では後輪は前輪と同方向に操舵され、操縦安定性が向上する。
前後のサスペンションアームは、ほぼすべてがアルミニウム製となり、より軽量化が進んでいる。さらに電子制御式可変ダンパーと組み合わせたエアサスペンションが標準装備され、しなやかな足さばきに一層磨きがかけられている。エアサスペンションは、アウディドライブセレクトによってコンフォート、オート、ダイナミックなど任意でモードを選択することができる。
ところで、新型A8には、量産車として世界初となる「レーザースキャナー」を始め、ミリ波レーダー、カメラセンサー、超音波センサーなど、合計23個にもおよぶ高性能センサーが搭載されている。さらに、センサーからの膨大な情報を統合的に分析する「セントラル ドライバーアシスタンス コントローラー(zFAS)」も採用されることで、人間の感覚に近い、遅れの少ない自然な制御が実現されている。
そのほか、見通しの悪い交差点での「フロントクロストラフィックアシスト」や、全方位からの事故について予防し、被害を軽減する「プレセンス360」、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、アクティブレーンアシスト(ALA)、トラフィックジャムアシストの3つの機能を統合した「アダプティブドライブアシスト(ADA)」、32個のLEDを個別に点灯制御することで前走車や対向車のドライバーを眩惑せずに照射範囲を拡大する「HDマトリクスLEDヘッドライト」など、最先端のセーフティ技術が新たに搭載されている。
ところで、少し先の話になるが、2019年以降に「AIアクティブサスペンション」というテクノロジーが導入予定となっている。これはレーザースキャナーやカメラセンサーで路面の凹凸を先読みし、それに合わせて、サスペンションストロークをアクティブに制御するというもので、路面のギャップに関わらず車体をフラットに保つ革新的な技術とさている。プレミアムモデルにこそふさわしい大いに期待される技術だろう。
先代よりも広くなった室内は、水平基調のデザインによってさらに広々と感じられる。ボタンの代わりにタッチ式スクリーンを採用したコクピットも、デザインがシンプルになり、インテリアの質感の高さが一層際立っている。前席も後席も居住性が秀逸で、ロングドライブでも疲れにくいだろう。
また、快適性に関わる要素として、今日、重要度が増しているユーザーインターフェイスも進化している。高解像度のタッチディスプレイを装備し、ボタンやスイッチ類に代わる「MMIタッチレスポンスコントロールシステム」を実現している。空調やオーディオ、その他さまざまな操作を直感的に行うことが可能で、さらにタッチパネルは触感と音によるフィードバックがあるので自然な感覚が得られる。情報ネットワークへの接続によって、車内での利便性向上し、「アウディコネクト」による音声での目的地のオンライン検索(クラウドベース)や、ニュース、天気情報、最寄りのガソリンスタンドや駐車場検索、などが可能となっている。アウディコネクトの機能は、「myAudi」アプリを使ってスマートフォンをクルマとネットワークで接続し、MMIナビゲーションシステムに目的地情報を送ったり、車両の詳細な状況をチェックしたりすることもきる。
まさに抜かりがない、すべてに極上を追求したモデルとなっている。
新型A8は10月15日(月)の発売で、「A8 55 TFSI クワトロ」が1140万円、A8 60 TFSI クワトロが1510万円、A8 L 60 TFSI クワトロが1640万円となる。