グーネット
【アウディ e-tron スポーツバック】柴咲コウとアウディがコラボ! 電動化戦略をプッシュ
LEDライトやデジタルインフォテイメント機能を他ブランドに先駆けて採用するなど先進的なイメージの強いアウディが、いよいよ電動化戦略の中心となるBEV(電気自動車)の日本販売に乗り出す。積極的なPRのために、女優の柴咲コウさんとのコラボレーションも実施する。アウディの新生代を切り開くEVの特徴と新たなPR戦略について紹介しよう。
アウディジャパンは、2020年9月17日、日本初導入となるアウディBEV「e-tron(eトロン) スポーツバック」を発表し、同日より販売を開始した。発表会は、オンライン形式で実施され、アウディジャパンのフィリップ・ノアック代表取締役社長のプレゼンテーションとe-tronサポーターに任命された柴咲コウさんとのトークセッションの2部構成で実施された。
バーチャルコクピットなどの機能装備に加え、自動運転技術の開発でも自動車のデジタル化に熱心に取り組んできたアウディが、いよいよ日本での電動化戦略を加速させる。その第一弾として導入されたのが、EVミッドサイズクーペSUV「e-tron スポーツバック」だ。導入を記念した「e-tron スポーツバック 55 クワトロ 1stエディション」の価格は1327万円。
アウディは2018年9月、SUVタイプのEV「e-tron」シリーズを発表するとともに、量産を開始。まずはEVへの感度の高い市場へと投入してきた。ノアック社長は、現在のe-tronの世界的なセールスに言及。2020年上期では、世界で1万7700台の「e-tron」を納車。米国では前年比+50%の販売を記録し、EV先進国ノルウェーの乗用車販売台数1位を獲得するなど、その存在感が高まっていることを強調。その背景には、人々の環境保護意識の高まりがあるとした。
アウディはその潮流に歩調を合わせ、2025年までに世界の主要な市場に置いて20車種以上のEVを投入し、プラグインハイブリッド車を含めた電動車販売が、全体の約40%となることを目指す。日本でも電動車の発売に取り組んでいく姿勢で、その第1弾が、ミッドサイズクーペSUVの「e-tron スポーツバック」となり、本国では同時発表されたミッドサイズSUV「e-tron SUV」も今後、導入が予定される。
日本でのアウディEVのPR活動を強化するため、e-tronサポーターに、女優の柴咲コウさんを任命。アウディジャパンは、彼女を選んだ理由を、地球環境と生態系を考えた自身のファッションブランドの運営や環境省の環境広報特別大使として活躍などに取り組む姿勢が、e-tronとの親和性が高いと感じたと説明する。
今回の日本発表に合わせ、e-tron スポーツバックと柴咲コウさんのコラボレーションフィルム「サスティナブルな未来へ」をオンライン公開。作品中では、柴咲コウさんが出演するほか、挿入歌には、この映像のために書き下ろした柴咲コウさんの新曲「ひとかけら」が使用。同曲は、コラボレーションフィルムといっしょに楽しむことが出来る。
e-tron スポーツバックの販売については、全国の52店舗(2020年9月時点)の認定「e-tron正規ディーラー」を通じての販売となり、認定店舗では、急速充電器の設置などのEVのサービス体制が整えられる。顧客への充電サービスとして、アウディ独自の「e-tron Charging Service」も開始。このサービスで提供される充電カードは、全国約7800カ所の急速充電器のうち約86%をカバーする「合同会社 日本充電サービス( NCS )」加入の充電器で利用が可能。普通充電を含めると、2万1700 カ所(2020年4月現在)の充電ステーションを利用できるという。初年度は、年会費、充電料金ともに無料となるが、翌年より5000円(税抜)の年会費と急速充電器利用料金15円/分(税抜)が発生。ただし、カード加入者なら、利用可能な普通充電器の使用料は発生しない。またユニークな取り組みとして、自然電気株式会社との提携により、実質自然エネルギー100%による電力提供のプランも用意している。
95kWhの大容量リチウムイオン電池を搭載し、航続距離405km(WLTCモード)を誇るだけに、充電時間も相応に必要だ。50kW出力の急速充電器を利用した場合、0%から80%までの充電目安は1時間半。しかし、公共の急速充電器は30分の使用が基本となるため、実質的には1回の充電で約117km分のチャージが可能と考えられる。一方、日常的に活用する普通充電器の場合は、3kWタイプだと1時間で約17km分、オプションで用意される高性能な8kWタイプだと、1時間で約37km分をチャージできると公表されている。
e-tron専用のサポート体制としてアウディは、24時間トラブル時のサポートを提供するコールセンター「e-tron Roadside Assistance」やAudi e-tron専用の公式LINEアカウントを開設し、オーナーからの質問にも回答するなど、EVライフ支援の取り組みも強化している。また購入時のサポートとしては、国からCEV補助金として、40万円が交付されるほか、アウディジャパンが家庭用普通充電器の設置費用のサポートを行う。
300kWの高出力モーターシステムと電動4WDとなる「e-quattro」を備える高性能クーペSUV「e-tron スポーツバック」の価格は、1327万円からとかなり高価。ボディサイズはフラッグシップシップSUV「Q8」よりもやや小ぶりであるが、価格では上まわる。そして最大のライバルと目されるメルセデス・ベンツEQCよりも価格は上だ。最も「e-tron スポーツバック」は、特別装備を追加した導入記念車となり、EQCよりも搭載バッテリーも15kWh大きいなど優位点もある。
専売店のみという販売形態やフラッグシップシップに位置する高価格帯であることから、日本でのポジションは、しばしイメージリーダー的な役割が強いと思われる。しかし、日本でのアウディ電動車の訴求の大きな一歩としては重要なターニングポイントとなりそうだ。