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ワイモバが格安SIM市場“首位固め” 「スマホプラン」データ容量を倍増へ
ソフトバンクのサブブランドMNO(移動体通信事業者)「Y!mobile(ワイモバ)」は8月1日、データ通信・音声通話をセットにした「スマホプラン」を刷新し、9月1日から料金を据え置いたままデータ容量を2倍にすると発表した。同プランの「S」は月額2980円で2GB、「M」は月額3980円で6GB、「L」は月額4980円で14GBまで使用可能となる(価格は全て税別、以下同)。
追加で500円を支払うとデータ上限が2倍になる「データ容量2倍オプション」は廃止するが、同じく500円で上限を「S」は3GB、「M」は9GB、「L」は21GBに変更できる「データ増量オプション」を新設する。
他社への流出防ぐ
格安SIM市場でシェアトップに位置するワイモバだが、競合するMVNO(仮想移動体通信事業者)は昨今、20GB以上の大容量プランを相次いで打ち出している。今回のプラン刷新によって顧客満足度を高め、他社への流出を防ぐ狙いだ。
ソフトバンクでワイモバ事業の責任者を務める寺尾洋幸常務執行役員は「ワイモバユーザーのデータ通信量が、ブランドを立ち上げた2014年からの4年間で1.7倍に増えたことを踏まえた。ネット利用を窮屈に感じていたユーザーは今後、我慢せずに使ってほしい」と話す。
「これまでは新規ユーザー獲得のための施策が多かったが、やっと既存ユーザーにもお返しできる施策を打てた」(寺尾常務)という。
「パケットマイレージ」にテコ入れ
ワイモバは現在、「Yahoo!Japan」にログインしたり、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」「LOHACO」で買い物をしたりすると「マイル」がたまり、たまったマイルに応じてデータ容量を付与する仕組み「パケットマイレージ」を提供している。
だが寺尾常務は「認知度・利用率に改善の余地がある」とみており、今秋にもテコ入れを行う予定だ。詳細は秋に発表予定だが、マイル付与の対象となるサービスを50種類超に拡大し、同じソフトバンクグループであるヤフーとのシナジーを最大限に生かしていくという。
格安SIM市場では、特定サービスのデータ通信量をカウントしない仕組み「カウントフリー」を取り入れる競合は多いが、ワイモバは「カウントフリーではなく、(ヤフーのサービスを)使ってもらうことで追加のデータを無料にする方針を取る」(寺尾常務)ことで差別化を図っていく。
課題だった「シニア層」の獲得へ新端末導入
全ユーザーに占める割合が20%程度にとどまっていたシニア層(60歳以上)の獲得にも力を入れるため、8月9日には同ブランド初となる初心者向け端末「かんたんスマホ」(京セラ製)を発売する。2日に予約の受け付けを開始する。
従来型携帯電話(フィーチャーフォン)からの乗り換えを加速させる狙いで、一般的なスマホではアプリとして画面上に表示される「電話」「メール」「ホーム」の3機能をハードウェアキーとして端末上に搭載し、使い方に迷うケースを防ぐ。アプリのアイコンや文字もやや大きく表示される。
端末の右側面には、音声検索専用のボタンを配置。押すと米Googleの音声検索システムに接続し、「今日の天気を教えて」などの質問に回答してくれる。
悩みを端末が“自己解決”
多様な機能を持つ同端末だが、最大の特徴は、ユーザーが困っている点を端末が自己解決するサービス「押すだけサポート」に対応している点だ。
ユーザーがホーム画面中央に表示された「押すだけサポート」のアイコンをタップすると、「こちらの症状でお困りではありませんか? 気になる症状を選んでください」との文言とともに、「画面が回転する」「着信音が鳴らない」などの具体例が示される。
該当する悩みを選ぶと、「着信音のミュート解除」「画面の回転のロック」など設定が自動で行われる仕組みで、スマホに不慣れなユーザーをサポートする。
該当する悩みが表示されない場合は、「電話をかける」ボタンをタップすることでワイモバのコールセンターにつながり、オペレーターに直接相談できる。それでも操作に迷った場合は、合意の上でオペレーターがユーザーの端末を遠隔操作し、設定を代行することも可能という。
シニアは国内通話が無料に
サービス面でもシニアに訴求するため、8月9日から同端末を購入したユーザーの国内通話が無料になる「60歳以上 通話ずーっと無料キャンペーン」も始める予定。MNP(番号ポータビリティ)や機種変更によって乗り換えたユーザーが対象で、適用時に年齢確認を設ける。
寺尾常務は「シニアを獲得すると問い合わせも増えることが想定されるが、自ら解決できる端末を投入して手間とコスト増を防ぐ。ユーザーにも店舗スタッフにもメリットのある施策だ」と強調。
「ワイモバのブランドビジョンは『インターネットが生み出す便利さと楽しさを全ての人の手元に届けたい』。これを成し遂げられるよう、シニアを含むより多くの人にスマホを普及させたい」と展望を語った。