プレゼンテーション「パナソニック家電ビジョン説明会」

パナソニック株式会社 / 技術

パナソニック家電ビジョン説明会

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日経XTECH

パナソニックがGoogleやLINEのAIアシスタントと連携、IoT家電強化へ

 パナソニックは2018年3月1日、同月に創業100周年を迎えるのに合わせて、新しい「家電ビジョン」を発表した。IoT(インターネット・オブ・シングズ)家電を強化する。

 家電事業を担う社内分社であるアプライアンス社の本間哲朗社長は「家電の個別の機能を強化するだけでなく、家庭内外の家電やデバイスをつないで利便性を高め、家電製品に対する憧れをさらに高めたい」と述べた。

 そのための具体的な施策を複数発表した。一つが、家庭用AI(人工知能)アシスタントとの連携。米グーグルと協業し、2019年3月までに「Googleアシスタント」機能を内蔵したスピーカーとヘッドフォンを発売する。

 Googleアシスタントはグーグル自身が販売する「Google Home」にも搭載されている。音声でパナソニック製の家電を操作できるようにし、「家電をもっと楽しく使えるようにする」(本間社長)方針だ。

 同時にLINEとの協業も発表。LINEのAIスピーカー「Clova」との連携を検討する。この分野で先行する米アマゾン・ドット・コムのAIスピーカー「Amazon Echo」との連携についても否定せず、「当社は既に海外でEcho対応のAV製品を発売している。製品や国によって、どのAIアシスタントがいいか、最適なものを検討する」(本間社長)と説明した。

 もう一つの具体策として、IoTに適しているとされるLPWA(ローパワー・ワイドエリア)無線通信の採用を発表した。NTTドコモと協業する。本間社長は「家電をどのようにつなぐかが課題だった。低コスト、低電力でどこでも簡単につなげるLPWAに着目した」と説明した。

 2018年秋ごろをメドに、全国展開と大量機器接続を想定した実証実験を東京、大阪、滋賀の3地域で順次始める。LPWA通信方式は、当面はLoRaWANとLTE-Mを使う。

合弁新会社で新規事業を迅速に
 さらに、IoT家電やそれを生かした新サービスの事業開発を促進するために、2018年3月中に新会社BeeEdge(ビーエッジ)を設立する。本社は東京・港に置き、新社長にはディー・エヌ・エー(DeNA)元会長の春田真氏が就任する。今後1年で数件の事業化を目指す。

 資本金は1億円で、パナソニックが49%、米シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるスクラムベンチャーズが51%を出資する。パナソニックが持つ技術シーズを生かしながら、同社や同社子会社の従来の投資基準や品質基準には適合しにくいアイデアを迅速に事業化する。

 BeeEdgeの春田新社長は「私は住友銀行(当時)という大企業出身でありながら、DeNAが社員数人のベンチャー企業だったころに飛び込んだ経験を持つ。大企業の良さも、ベンチャーの身軽さも知っている。パナソニックという企業には憧れがあるが、堅い組織だという印象もある。本間さんから『ベンチャーのノウハウを生かして、パナソニック社内では日の目を見ないアイデアをどんどん世に出したい』と言われて、引き受けた」と述べた。