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トヨタとパナ、街づくり事業で協業 (全文3完)次のフェーズに踏み込まねば未来はない
2社はどのように研究開発を進めるのか
東洋経済新報社:東洋経済の【イイナミ 00:42:19】と申します。よろしくお願いします。私から2点お願いします。1点目なんですけれども、今回、合弁設立の背景として自動運転化が進むという大きな変革を前提としているということなんですが、可能な範囲で、この街をつくる上で、自動運転化、あるいはそれに伴って必要となってくる、例えば信号と車との通信とか、そういうコネクテッドの分野で、2社でどのように研究開発を進めていくのかっていうこと、先ほど乞うご期待というお言葉もありましたけれども、可能な範囲で教えていただけますと幸いです。
2点目なんですけれども、パナソニックさま、北野さまに伺いたいのですが、パナソニックは昨年来、自動車関連事業に関しては単なる部品の会社にはならないというという発言をトップからされてますけれども、あらためて今後、車載という領域でどういうふうに関わっていきたいとお考えなのかということを、ビジョンを教えていただけますと幸いです。よろしくお願いします。
北野:まず、2番目の質問に関しては、今、私はご承知のとおりパナソニックにおいて、ライフソリューションズ社の担当ということでございますので、今日、幸いながら、夕方にまた、私どもの決算発表ならびに中期のご報告をいたしますので、そのことを、そのときに、津賀に投げ掛けていただいたらいいかなと思います。
ただ、繰り返しになりますが、やはり、くらしアップデートと新しいモビリティ社会と住宅と家っていう起点が、新たな、今までのパナソニックが申し上げておりました、いわゆる車、モビリティの事業のスタイルとはまったく違う新たなビジネスになりうるだろうし、そうしていかなければならないというのが今回のJVのミッションであろうなというふうに思ってございます。
1つ目の質問については、まずちょっと、白柳さんからまず口火を切っていただければ。
白柳:はい。自動運転のところは乞うご期待というところだというふうに思います。私どもの取り組みについては、2020年代前半には特定地域でのレベル4、この導入も視野に入れた車の導入、開発を今、進めてございます。それから2020年代半ばまでには、移動、物流、物販など、多目的に活用できるトヨタのモビリティサービス専用【車体 00:45:07】電気自動車になりますe-Palette、これを活用したMaaS事業、こういったものを展開していきたいということになりますので、こういったことと、今回の街づくり事業をしっかりと連携をして進めていきたいというふうに思ってございます。
司会:よろしいでしょうか。
北野:先ほども日経のクロダさんからご質問がありましたが、車社会と新しいモビリティ社会と、今、パナソニックが取り組んでることの関係性で申し上げれば、例えばHomeXっていうのは基本的に家の中に閉じたコントロールではありませんと。いかに社会とつながっていくかというのが、やっぱり最終、究極の目標でありますので、例えばHomeXと、先ほどご説明のあったようなことを、サービス、あるいはマネジメントとしてどう結びつけていくのかということが、これから課題になってくるのかなというふうに思ってございます。
司会:よろしいでしょうか。続きまして、Cブロックの一番前の左から1人目の男性の方。
住宅事業の統合は危機感からか
NHK:ありがとうございます。NHKの【フジモト 00:46:28】と申します。よろしくお願いします。2点ありまして、まず、住宅事業の統合のところなんですけれども、その理由として、人口減少による厳しい事業環境という危機感がおありだったのかということが1点目。
2点目は街づくり、スマートシティの事業についてなんですけども、これは今までのちょっと繰り返しになってしまうんですが、ビジネスとしてどこに成長性や収益性があるとお考えなのかということと、具体的な、御社はすでに藤沢ですとか綱島とか、あとは大阪の吹田でも事業を手掛けてらっしゃるかと思うんですけども、このことはどのように、このJVが絡んでいこうとしているのか、その2点をお願いします。
北野:まずは1つ目の質問に対しては、もうおっしゃるとおりであります。基本的には今もう統計的に予想されておりますのが、住宅着工そのものは2030年、10年後には約6割になるというふうに一般的にいわれておりますので、パナソニック視点で言いますと、いったん、パナソニック ホームズ、あるいは松村組が100%化をして、その100%化にした【シュル 00:47:43】の効果は出てきておるわけですが、そういう中長期的なことを考えると、新たな次のフェーズに踏み込まなければ未来はないということでありまして、そういう危機感も含めて、今回のようなJVに至ったということでございます。
それから、街づくりにつきましては、まず、最後の質問に関しまして言いますと、藤沢等の、すでにパナソニック本体として、他社のパートナーさまと手掛けてきた街づくりということに関しては、このJV会社にその機能を移行するという、今のところ予定はございませんということであります。
しかしながら、できるだけ、今後、新たに開発できるものにつきましては、主役の立場を取れるように、やっぱり努力すべきだろうというふうに思いますが、これももう結論から申し上げますと、街づくりの規模が大きくなってくるに従って、当然、トヨタ、パナソニックのみならず、ほかさまとの連携ということも、当然、重要になってくるというふうに思っていますということです。
それから、街づくりに関しての収益性っていうことに関して言いますと、1つはやっぱりリスク的に言いますと、どうしてもやっぱり先に土地ないしそれらのものを仕込んで、それをどうキャッシュとして回収をしていくかということが、やっぱりポイントになろうかと思います。
そういう意味で言うと、例えば戸建ての分譲住宅のように、できるだけ早くキャッシュを回収する、あるいはマンションなんかもそうでありますし、非住宅系の物件に関しても、いわゆる賃貸にするか、ある時期、売り切ってしまうかということは、要は全体的な流動性、あるいはオフバランスなんかも意識して、これから経営をしていくべきだろうというふうに思ってます。
加えて、やっぱり街づくりにおいて重要なのは、お住まいになられてから、いわゆるラーニングとしてマネジメントやサービスに対してお金をいかに頂戴できるかという、いわゆるリカーリング型のビジネスにいかにシフトしていけるかというのが、やっぱりポイントであろうと思います。縷々申し上げましたけども、ポイントは1つでありまして、ここに住みたいなということと、住んで、ものすごい満足だなということを思っていただけるという、そういう街づくりというのは要点になろうかなというふうに思います。
吹田では主役を取れるよう頑張るのか
NHK:そうすると、ごめんなさい、吹田については、主役の立場を取れるように頑張りたいという理解でいいんですかね。
北野:基本的には、吹田に関してはすでにパナソニック ホームズ自身がほぼ主役という位置付けの中でスタートを切ろうとしてございますので、まだこれは確定ではございませんが、基本的にはこのJVにそのスタイルを移行していくということになろうかと思います。ただ、繰り返しになりますが、やはり街づくりっていうのは、やっぱり1社ではできないので、そこは基本的に弾力的に、やっぱり一番最適、満足いく街づくりができるパートナーさまを、都度都度、選んでいくという、そういうスタイルかなと思います。
司会:よろしいでしょうか。引き続き、ご質問を頂戴したいと思います。Dブロックの前から4番目、右から2番目の女性の方。
両社の同じ悩みについて、もう少し深く教えてほしい
中日新聞:すいません。中日新聞の【オサダ 00:52:06】といいます。すいません、ちょっと戻ってしまうんですが、先ほど、両社がどうしてこういうパートナーとしてやられるっていう説明の中に、白柳さんのほうから、同じ物づくりの企業として同じ悩みを抱えていたっていうようなお話がありましたが、その同じ悩みっていうところをもう少し深く教えていただきたいっていうところと、あと、これによって住宅事業が統合されると、国内住宅業界でトップクラスの地位を獲得するというような話なんですが、トヨタさんはトヨタホームさんとミサワホームさんとずっと統合というか、シナジー効果を出されるように工夫を重ねられて、ようやくそれが出てきたのかなと思われてる時期に、また新しく新パートナー、迎えられて、新しくスタートするっていうところで、これからどうやって大きな規模でまとめ上げていかれるのかっていう、その思いみたいなところをもう少し説明していただけないかなと思ってます。
白柳:物づくりのところはたぶん言うまでもなく、私どもはTPSと原価低減ということで今、一生懸命、その強さを取り戻すということで頑張ってございますし、パナソニックさんにもそういった物づくりの魂、こういったものを、長いお付き合いの中で共感できるものがたくさん、私自身も感じておりましたし、トヨタに勤めるみんなが感じてきたということだというふうに思ってございますけれども、住宅に関しましては、パナソニックさんの創業者の、住まいづくりほど大切な仕事はないという思いですとか、私どもの創業者、名誉会長ですね、日本の住まいを良くしたいというトヨタホーム設立の思い、こういったものに込められたことを、より現実的に実現していくために、今回のパナソニックさんとトヨタの新ジョイベンの中で、しっかり住宅事業をやっていくということが一番いい形ではないかということで、今回の合意に至ったということでご理解をいただければというふうに思っております。
生産性、効率の向上をいかに素早く両立するかが一番のポイント
北野:どんな悩みがあったかっていうことですが、ものすごく分かりやすく言いますと、当然、製造業っていうのは、車なり、パナソニックでいうと製品を作って売ることで、もうそこでキャッシュが回収できますねと。ただ、住宅の場合はやはり、住宅でもおおよそ、分譲でなければ1つの家をお届けするまでに半年とか1年掛かるわけですよね。
で、管理会計上も、ご承知かとも思いますが、住宅とか建設であれば、売り上げの立て方も、いわゆる進行基準というような、まったく製造業と違う、売り上げとか利益の立て方でありますし、もっと言うと、やはり街づくりまでいくと、まさしく3年後、5年後に向けて土地をきっちりと仕立てて、その回収が5年後になるという、これはまたやっぱり製造業とまったく違う経営のやり方になるということであります。
しかしながら、繰り返しになりますが、街づくりとか家っていうのは両社にとってこれからやっぱり重要な事業であることは間違いないと。それらを掛け合わせると今回のスタイルが一番いいなというふうになったということだろうと思います。
それから、特に戸建て住宅におきましては、もう3社合わせますと、おっしゃるように、ほぼ大手ハウスメーカーの中ではトップの位置付けでございますが、結論から申し上げますと、3ブランドはきっちりブランドとしてその強みを生かして、エリアでの強みの営業力は発揮する一方で、川上側である調達であるとか開発であるとか製造であるとか、川下側で言いますとCSであるとか営業のバックアップであるとか、もうそういう機能はできるだけ住宅事業として一本化をして効率を上げていくというような踏み込みを早くするということが、たぶん重要だろうと思います。
私、説明の中で申し上げましたが、基本的にはやっぱり戦闘力を上げるということと、生産性、効率を上げるということをいかに素早く両立させれるかっていう、そこにやはり一番のポイントがあるかなというふうに思ってございます。
司会:よろしいでしょうか。それではご案内の時間が近づいてまいりましたので、最後にお1人だけ、1問だけのご質問を頂戴したいというふうに思います。ご質問のある方は挙手いただけますか。Dブロック、前から2番目の真ん中の男性の方。
この枠組みはトヨタの未来にどう寄与するのか
日本経済新聞:日経新聞の【オオモト 00:58:04】といいます。主にトヨタの白柳さんにお伺いしたいんですけども、きのうの豊田社長の説明でもございましたけども、モビリティサービス・プラットフォーマーへの道が開けると、このお話はそれにつながる話だというふうに理解して、プレゼンテーションでもそのようにご説明されたと思うんですけども、この部分、もうちょっと具体的にどういったことを想定されてるのか、あとはその可能性についてどういうふうに見られているのか、もうちょっとブレークダウンして教えていただけると幸いです。で、その未来に向けた中で、こういった枠組みがどう寄与していくか、そこら辺ももしコメントが可能であればお願いします。以上です。
白柳:ありがとうございます。ちょっと少し繰り返しになってしまうかもしれませんけども、昨日、決算発表の場で社長の豊田のほうから、これから人々の暮らしを支える全ての物・サービス、これが情報でつながっていく、コネクティッドシティ、こういった発想で私どものビジネスを考えていく必要があるというふうに思ってございます。
そういう意味でも車単体ではなく、街全体、それから社会全体、こういった見方でモビリティの在り方を考えていく必要があるというふうに思ってございます。そういう意味で、私ども、これまでやってまいりました自動車事業、それから住宅事業、それからモビリティカンパニーに向けて、今、コネクテッド事業、こういったものを展開してございますけども、その全てをこの街づくりという事業には注ぎ込める、大変意義のある事業だというふうに思ってございます。
具体的なサービスにつきましては、これもまた繰り返しになりますけれども、モビリティサービス・プラットフォーム、MSPFということで、さまざまなモビリティサービスを提供できるプラットフォームですとか、それからその具現化のハードとしてのe-Palette、こういったものの開発をしてございますんで、先ほど言いましたように、利便性と快適性を両立した街づくり、これが本当に実現するように、しっかりわれわれとしても貢献をしていきたいというふうに考えてございます。具体的な中身は本当これからになりますけれども、ぜひ、ご期待をいただきたいなというふうに思っております。
司会:よろしいでしょうか。それではフォトセッションに移ります。