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トヨタとソフトバンクがMaaSの新会社「MONET」を設立–自動運転時代を見据え
トヨタ自動車とソフトバンクは10月4日、新たなモビリティサービスの構築に向けて新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を設立し、2018年度内をめどに共同事業を開始すると発表した。資本金は20億円で、将来的には100億円まで増資する予定。
MONETでは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサデバイスなどからデータを収集・分析するソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させる。クルマや人の移動に関するさまざまなデータを活用することで、需要と供給を最適化し、移動における社会課題の解決や新たな価値を創造する未来のMaaS(Mobility as a Service)事業を展開するという。
当初は、利用者の需要に合わせて最適な配車ができる「地域連携型オンデマンド交通」「企業向けシャトルサービス」などを、全国の自治体や企業向けに展開していく。そして、2020年代半ばまでには、移動、物流、物販など多目的に活用できるトヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」による「Autono-MaaS」事業を展開する予定。Autono-MaaSは、自動運転車とMaaSを融合させたトヨタによる造語だ。
e-Paletteは、サービスにあわせて内装をカスタムでき、たとえば移動中に料理を作って宅配するサービスや、移動中に診察をする病院送迎サービス、移動型オフィスなどのモビリティサービスを、需要に応じて適切なタイミングで届けるという。また、将来的にはグローバル市場への提供も視野に入れて事業を展開するとしている。
トヨタ自動車の副社長である友山茂樹氏は同日の記者発表会で、「MaaS車両、ビジネスの普及に向けてはUberやGrabなど主要なライドシェアカンパニーとの連携が不可欠。こうしたサービスの主要株主であるソフトバンクとわれわれがビジョンを共有することで、今回の新会社設立に至った。ソフトバンクが有するIoTプラットフォームやIT資産などと、トヨタの有するモビリティサービスプラットフォーム、グループに集約されたものづくりの技術を融合することで、よりよいモビリティサービスが提供できる」と語る。
また、ソフトバンク代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は、「われわれも危機感を持っている。日本の自動車産業は世界に誇れる産業だが、この先電気自動車や自動運転車になる際に、欧米や中国などのハイテク産業の勢いを見ていると、(これに対抗するには)ソフトバンク単体でも難しいし、自動車メーカーだけでも難しい。そこで日本連合を組む。まだまだ、ギブアップするポジションじゃない」と意気込みを語った。
なお、この前日となる10月3日には、本田技研工業(ホンダ)とゼネラルモーターズ(GM)が、無人ライドシェアサービス専用車両を共同開発することを発表しており、ホンダはGMの自動運転開発子会社であるGMクルーズホールディングスに今後12年間で3000億円以上を出資することを明らかにしている。ソフトバンクも5月に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じてGMクルーズホールディングスに約2400億円を出資していた。