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スバル、新型「レヴォーグ」は「スバルが現在持ちうるすべての技術を結集したクルマ」 先行予約で「アイサイトX」の装着率は93%
スバルは10月15日、新型「レヴォーグ」を発表。同日にJAL(日本航空)全面協力のもと、成田空港 整備地区 JAL Aハンガー(格納庫)を会場にしたオンライン発表会を開催した。
新型レヴォーグは最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生する新開発の1.8リッター直噴ターボ“DIT”エンジンや、SGP(スバルグローバルプラットフォーム)とフルインナーフレーム構造を組み合わせることで走りの質感を向上。全車標準装備される「新世代アイサイト」に加え、3D高精度地図データとGPSや準天頂衛星「みちびき」などの情報を活用した高度運転支援システム「アイサイトX(エックス)」を搭載する「EX」グレードの新設定など、最新の運転支援技術を採用している。価格は310万2000円~409万2000円。
新型レヴォーグこそが次世代スバルのトップバッターを担う車種
発表会では、SUBARU 代表取締役社長 CEOの中村知美氏があいさつを行なった。
中村氏は「Newレヴォーグは昨年の東京モーターショーでプロトタイプとして世界初公開し、本日ようやく正式発表の日を迎えることができました。新型コロナウイルスにより私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。人の移動に関しても未だにさまざまな制約がありますが、新たな経験や体験、そして喜びや感動を得るためには必要な行為として、改めて見直されています。移動する楽しさを提供する点で共通する日本航空さまとスバル。私どもスバルはすべての移動を感動に変えるクルマ、Newレヴォーグをスバルの未来への証として発表いたします」と新型レヴォーツ発売に対する思いを語った。
JALのハンガーを発表会会場としたことについて「私たちスバルは航空機製造をルーツとし、現在も航空宇宙事業を展開しています。後方にございますのはボーイング787型機でございますが、その中央翼と呼ばれる部位は、その全数を当社で製造しています。当社が持っている絶対安全を信条とする航空機製造のDNAは日本航空さまの安全運行の思想と通じるものがあると感じております」と話し、同じ安全という観点での繋がりがあったからとした。
また、「私たちは安心と愉しさを不変の価値とした、個性的で魅力ある商品を通じてお客さまの人生のパートナーであり続けたい、いつの時代においてもお客さまに真摯に向き合い、お客さまの笑顔を作るブランドでありたい、と考えております。Newレヴォーグはスバルの考えるクルマの未来、誰もが自分の意思で運転を楽しめる未来に向けて、1989年に発売したレガシィ以来の“より遠くへ、より早く、より快適に、より安全に”というスバルのツーリング思想を継承するとともに、スバルが現在持ちうるすべての技術を結集したクルマです。そして、私たちのマザーマーケットである日本は引き続き重要な市場と捉えており、最新の技術は日本のレヴォーグから搭載するという思いでこのNewレヴォーグを作り上げてきました。このNewレヴォーグこそが次世代スバルのトップバッターを担う車種なのです」と新型レヴォーグについて語り、商品特徴について触れた。
中村氏は最後に「Newレヴォーグは8月20日の先行予約開始から昨日までに8290台と、私たちの期待を超えるご注文をいただいております。さらに、アイサイトXの装着率は93%と大半のお客さまにお選びいただいております。本日の発表以降、Newレヴォーグの価値をスバル一丸となってお客さまに届けていきます。そしてスバルはお客さまの笑顔を作るために、安心と愉しさを提供する商品を作り続けてまいります」と語った。
「一緒に感動を味わえるパートナーとなってほしい」という想いで開発
続けて登場した新型レヴォーグの開発責任者であるSUBARU 商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの五島賢氏は、新型レヴォーグのコンセプトについて解説。
新型レヴォーグのキーワードは「継承」「超・革新」で、スバルに脈々と受け継がれてきた価値を継承し、お客さまがレヴォーグに期待する革新的な価値をさらに高めたといい、五島氏は「Newレヴォーグからスバルの未来が始まる」と語った。
五島氏は続けて「航空機メーカーのDNAを受け継いで実現した人を中心としたクルマづくり、安心と愉しさ、お客さまに提供するスバルらしさとそれを実現するための技術の革新。ボーイング787型機や新型レヴォーグなど、スバルの技術革新が大きく花開いています。これに、大きな感動を覚えるとともにスバルらしさと革新魂を未来に繋げる責任をエンジニアの1人として感じます。実は私の祖父は中島飛行機、父は富士重工業の従業員で、スバル3代目。青きDNAが継承への想いを強くしているのかもしれません」と、スバルの技術の進歩と自身の経歴について話した。
継承について、新型レヴォーグは、スバル360からは「人を中心としたクルマづくり」を継承したといい、人のことを考え抜かれたクルマだからこそ安心でき、ドライブが楽しくなるとした。さらに、レガシィからはグランドツーリング思想を継承。より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に、これらの価値は新型レヴォーグの視界性能や衝突安全、ロングドライブへの操縦安定性、快適性などに受け継がれているとした。
超・革新については、ユーザーが想像するスバルの技術革新に対し、その期待を超えるという意味と説明。新型レヴォーグがユーザーに提供する価値は、スバルが継承してきた価値と超・革新を遂げるための先進技術を融合し、ユーザーのすべての移動を感動に変えて行くこととした。
新型レヴォーグの具体的な3つの価値「先進安全」「スポーティ」「ワゴン価値」については、スバル初の技術革新によりこれらを実現したという。
先進安全では、広角化した新アイサイトカメラ、全側方レーダー、電動ブレーキブースターといった新デバイスを標準装備することにより実現した新世代アイサイトによる衝突回避性能を紹介。加えて、プリクラッシュブレーキの作動領域を拡大したほか、出会い頭の衝突を回避する「前側方プリクラッシュブレーキ」、ブレーキで止まりきれない場合にステアリング操作をアシストする「プリクラッシュステアリングアシスト」といった新機能も搭載されている。
また、高度運転支援システムのアイサイトXはどのグレードでも選択可能。人工衛星からの情報と、車両に搭載した3D高精細地図データをもとに、カーブ前や料金所減速、レーンチェンジアシスト、渋滞時のハンズオフも実現した。さらに、スバル国内初のコネクテッド機能「SUBARU STARLINK」も新型レヴォーグから導入し、繋がる安全を提供。いずれも2030年の交通死亡事故ゼロを目指す第一歩の技術とした。
スポーティでは、SGPとフルインナーフレーム構造を組み合わせたボディ、最新のシャシー技術、新開発の1.8リッター直噴ターボエンジンなどを採用することで、五島氏いわく「Newレヴォーグの走りは今までのスバルにはなかった次元が違うレベルに到達したと自負している」とのこと。さらにSTI Sportでは、ドライブモードセレクトと名付けた新システムにより、1台のクルマのキャラクターが大きく変わるとしている。
ワゴン価値では、新デザインコンセプト「BOLDER」を採用し、止まっていながら今にも走り出しそうなパフォーマンスを感じられるワゴンボディを実現。デジタルコクピットを採用した先進的でスポーティなインテリア、ハンズフリーパワーリアゲートに代表される荷室の使い勝手や積載性のほか、後席の広さや快適性に加え、車幅を1795mmに抑えたことで日本の道にジャストサイズのパッケージとした。
五島氏は「走っている時間にユーザーをサポートし、移動を最高の喜びに変える世界トップレベルの安全性能。自分の思いどおりに操ることができ、もっと走っていたいと思える圧倒的な走行性能。行き先を問わず、すべての同乗者が走る時間を心地よく楽しめるワゴン。それがすべての移動を感動に変えるNewレヴォーグです。継承と超・革新により、すべての移動を感動に変えるクルマ、Newレヴォーグ。今まで行けなかったその道の先へお客さまをお連れし、一緒に感動を味わえるパートナーとなってほしい。そんな想いで開発を行なってまいりました。次元が違うレベルに到達した自信作です。見て、触って、お乗りいただければ、心の導火線に火がつくと確信しています」と締めくくった。
なお、オンライン発表会はスバルの公式YouTubeアカウント「SUBARU On-Tube」でアーカイブを見ることができる。