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BMW、最上級SAV「X7」と至高のV12エンジン採用の新型「7シリーズ」発表会
ビー・エム・ダブリューは6月24日、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)の最上級モデル新型「X7」と、BMWのフラグシップモデル「7シリーズ」の製品発表記者会見を開催。発表会には、同社代表取締役社長ペーター・クロンシュナーブル氏が出席して、BMWのラグジュアリー・モデルの今後の戦略などを話した。
発表会の冒頭にクロンシュナーブル氏は、2019年1月~5月の輸入車登録台数が14万449台と前年同期比3.6%減であるなか、同期間のBMWブランド登録台数は1万8363台と前年同期比1.6%増であったことを報告。
クロンシュナーブル氏は「この背景には私達が新しい新製品を出してきたことがあります。新型3シリーズ、Z4、X5、Xシリーズといった新商品を投入してまいりました。今年下半期はさらに新商品を投入します。8シリーズ グランクーペ、M8、3シリーズ ツーリング、新型1シリーズなど、私達は勢いのある新製品を背景に堅調なセールスを維持してまいります」と今後の戦略を示すとともに、「今年1月にBMWを代表する新型3シリーズを発表して、3月よりデリバリーを開始していますが、順調なセールスになっております。今後はディーゼルやPHVモデルを追加して、日本のお客様にピッタリの3シリーズのポートフォリオが完成いたします」と話した。
さらに、春に発売した8シリーズ カブリオレのクーペとカブリオレにもクリーンディーゼルを追加。4ドアクーペの8シリーズ グランクーペの予約受注を同日より開始するなど、同社ではラグジュアリーセグメントでの取り組みに注力していくという。こうした取り組みについて、クロンシュナーブル氏は、BMWグループが世界の自動車市場で持続可能な成長を確保するための企業戦略「NUMBER ONE NEXT」の1つと紹介。新たに投入する新型「X7」と「7シリーズ」については、「ラグジュアリーを再定義するモデル」と位置付けた。
なお、発表会に登壇したクロンシュナーブル氏は、2014年7月1日に同社社長として着任、このたびドイツBMW本社に帰任することが発表されている。新たに8月1日付で同社代表取締役社長には、クリスチャン・ヴィードマン氏が就任する。
挨拶の締めくくりにクロンシュナーブル氏は「2014年7月1日の着任から5年間、大好きな日本で過ごすことができ、とても充実した日々を送ることができました。日本の非常に高い質や基準だけでなく、おもてなしの精神に大変感銘を受けております。皆さまたいへんお世話になりました。今後の皆さまのご健勝を心よりお祈りしております。日本の未来は明るいと私は心から信じております。まだ十分に実現できていないさまざまポテンシャルが日本には秘められていると思います。今後もドイツから日本の素晴らしいニュースを楽しみにしております。皆さま誠にありがとうございました」と挨拶をした。
新型X7はフロントカメラを使用してエアサスペンションを調整
新型X7については、BMW ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー デクス ビクター・ファン ウネン氏がプレゼンテーションを実施した。
新型X7は、最高出力265PS(195kW)/4000rpm、最大トルク620Nm/2000-2500rpmを発生する直列6気筒ディーゼル・エンジンを搭載する「xDrive35d」「xDrive35d デザイン・ピュア・エクセレンス」「xDrive35d M Sport」と、最高出力530PS(390kW)/5500-6000rpm、最大トルク750Nm/1800-4600rpmを発生するV型8気筒ガソリン・エンジン搭載する「M50i」をラインアップ。価格は、xDrive35dが1079万円、xDrive35d デザイン・ピュア・エクセレンスが1206万円、xDrive35d M Sportが1242万円、M50iが1566万円。
新型X7についてファン ウネン氏は、最大7人乗りを可能とする高い実用性とともに、厳選した牛革を使用した「BMW Individualメリノ・レザー」のシート、透明度の高いクリスタルを採用したセレクト・レバーなど、最上級ラグジュアリーモデルとしてこだわったインテリアについて紹介。
また、ラグジュアリー・モデルに相応しい乗り心地を実現させるため「4輪エア・サスペンション」や「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」を採用していることを説明し、ファン ウネン氏は「4輪エア・サスペンションは、路面状況に合わせて常にダンパーを調整して安定感を与えます。さらにエグゼクティブ・ドライブ・プロにより、フロントカメラが常に路面の先を読んでサスペンションを調整するシステムになっております」と話した。
至高のV型12気筒エンジンをラインアップする新型7シリーズ
新型7シリーズについてはBMW ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー 御館康成氏が説明した。
新型7シリーズは、最高出力609PS(448kW)/5500rpm、最大トルク850Nm/1550-5000rpmを発生するV型12気筒ガソリン・エンジンを搭載する「M760Li xDrive」をトップエンドに、そのほかにも直列6気筒ガソリン、直列6気筒ディーゼル、V型8気筒ガソリン、PHVモデル、標準ボディ、ロングボディといったモデルをラインアップする。価格は1090万円~2523万円。
7シリーズについて御館氏は、大型化したキドニー・グリルや細く水平に配置されたリア・ランプなど新しくなったデザインの特徴について説明。また、ボディのキャビン部分に走行性能を高める技術として「カーボン・コア」採用するなど、新型7シリーズは「ドラビング・ラグシュアリー・セダン」であることを強調した。
パワートレーンについては、直列6気筒ガソリンエンジンを採用するPHVモデルに関して、御館氏は「プラグインハイブリッドの要諦は、エンジンとモーターというトルク特性の異なるものをいかに精密に協調制御してドライバーに快適な乗り心地を提供するかということです。BMWはこのセグメントでいち早くプラグインハイブリッドを提供して、日本におけるプレミアムセグメントのプラグインマーケットを開拓してまいりました。BMW伝統のシルキーシックスに、トランスミッションにモーターをインテグレートした独自の構造で、この両者は完璧に協調しております」とその仕上がりに自信を示した。
また、トップエンドモデル「M760Li xDrive」に搭載されるV型12気筒エンジンについて、御館氏は「世界で最初に乗用車にV12を搭載したBMWがお届けする至高のエンジンです。BMW伝統のシルキーシックスがツインとなってシンフォニーを奏でる。その乗り味、サウンド、圧倒的なパワーは、現在世界にある高級車のエンジンの中で、最も最高のドライビングパフォーマンスを提供できるもの」と強調した。
毎秒2兆5000億回の画像解析を行なう画像解析プロセッサを搭載。高速道路上でのハンズ・オフ機能を実現
新型X7と7シリーズには、BMWが国内認可取得モデルとして初めて導入したハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能が搭載される。同社では、これまでに日本の道路環境に最適化するため日本導入に向けたテストを行なってきたという。
このハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能は、フロントウィンドウ部に装備される3眼カメラを使用したシステムにおいて実現する。御館氏は「短距離のカメラで20m先を広角に、中距離カメラは120m先の距離を認識し、長距離カメラは300mもの長い距離を計測し、路面の先のカーブを把握して、より正確なドライビング・アシストを実現します。これら3つの高精度画像を解析する毎秒2兆5000億回もの画像解析を行なう最先端の画像解析プロセッサを搭載しております」と説明した。
プレゼンテーションで、御館氏は「このようにBMWは常に世界最先端のテクノロジー、世界のどのブランドよりも誇るべきエンジン性能、ドライバビリティをもってこのセグメントを革新してまいりました。新型7シリーズによって新たなラグジュアリーセダンのステージを築けたもの考えております」と自信を示した。
なお、ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能は、あくまで自動運転ではなく前方注視が必要となるなど、一定の条件が必要な運転支援システム。ステアリングから手を離して走行が可能となるのは、高速道路(高速自動車国道法に定める高速自動車国道、指定都市高速道路に分類される道路が対象)での渋滞時に、ドライバーが絶えず前方に注意するとともに、周囲の道路交通や車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作することができる状態にある限りにおいてと同社では説明している。
また、ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能は、3眼カメラを採用したシステムを搭載する3シリーズ、8シリーズ クーペ、8シリーズ カブリオレ、X5といったモデルも対象となっており、ユーザーの要望に応じて7月より同機能を有効化するソフトウエアを正規ディーラーにおいて提供予定としている。