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角川ドワンゴ学園「N高等学校」、生徒の起業を支援する教育プログラム「N高起業部」を設立
学校法人角川ドワンゴ学園「N 高等学校(N 高)」は5日、生徒の起業を支援する教育プログラム「N 高起業部」を設立すると発表した。N 高通学コースで約半年間にわたり実施されたプロジェクト型学習「プロジェクト N」に取り組んできた生徒のうち、同日開催された特別審査会の審査を通過した生徒が入部を許される。
N 高起業部顧問の鈴木健(たける)氏は、ベネッセ教育総合研究所が高校生を対象に行なった調査を引用し、リスクがあっても高い目標にチャレンジできる仕事をしたいと答えた生徒が47.2%いたのに対し、高校卒業後はの生徒の進路が進学77%、就職18%と、既定路線に留まっていることを指摘。進学や就職以外のオルタナティブなキャリアパスとして、起業を高校卒業後のキャリア選択肢の一つとして、新たなスタンダードにしたいと抱負を述べた。
N 高起業部は同校の生徒が対象であるが、俗に起業で必須とされる3つのリソース——ヒト(デロイトトーマツベンチャーサポート支援によるメンアリング)・モノ(専用教育プログラム)・カネ(部全体の活動費として1,000万円)——がセットで提供されるのが特徴。今週からオリジナルの講義がスタートし、8月にはピッチイベント(これは N 高起業部主催というわけではなく、外部イベントと推察される)への出場を目標に掲げている。
この日、角川ドワンゴ学園の運営母体でもあるカドカワ(東証:9468)代表取締役社長の川上量生氏、ドワンゴ取締役の夏野剛氏、SNS media & consulting ファウンダーの堀江貴文氏が特別審査員として参加し、「プロジェクト N」の特別審査会が開かれた。代々木キャンパスと心斎橋キャンパスから7チームが参加し、おのおの4分間のピッチに続いて特別審査員との質疑応答。ビジネスの可能性と社会貢献の可能性の2つの視点に基づいて審査された結果、5チームが審査を通過し、N 高起業部への参加を許されることとなった。
審査通過チームが披露したビジネス内容は以下の通り。プレゼン内容に一部不明瞭なものがあり、説明不足な点についてはご容赦いただきたい。通過チームには、N 高起業部が定める起業三種の神器——バタフライボード、多くのビジネスシーンで必要となる印鑑、企業オリジナル名刺——が進呈される。
• 障害者支援プロジェクト……ADHD(注意欠陥・多動性障害)の生徒は、小中学校においても全体の6.5%程度いると言われる。彼らは話すのが得意ではないが、同プロジェクトが開発したノートに、1日の終わりにその日の出来事を書いてもらうことで、自分のことを客観的に見られる効果を提供する。保護者にとっては、子供の発達障害などを客観的に早期発見する手がかりになる。来年2月にノート版を発売し、その後はアプリ版も開発を予定。
• 1000円VR……認知症予防に有効とされる回想法を、VR を使って行うことでより没入感が得られる体験を提供し、より効果的な回想法が実践できるソリューション提供を目指す。ハコスコ(関連記事)が開発するカードボードとスマートフォンで作れる安価な VR デバイスを使用する。大学研究機関などとも連携し、VR のコンテンツを集めそれをシェアし、介護士の人々に提供できるサービスを開発したいとした。
• シェフデリ……おいしいお店はシェフが知っているとの仮定に基づき、シェフが訪れたお店を探せるサービス。シェフの許可を得て Instagram に投稿されたコンテンツ、および、シェフが自らシェフデリアプリを使ってアップロードしれくれたコンテンツをユーザは閲覧することができる。ユーザがアプリを通じて参加シェフとチャットできる点を強みとしたが、夏野氏はシェフは意外に忙しいことと「ヒトサラ」との差別化を明確にするよう指摘、また、「TERIYAKI(関連記事)」を運営する堀江氏はそもそもシェフよりもフーディーの人々の方がいい店を知っていると指摘した。
• こころ project……LGBT やセクシャルマイノリティなど、性の多様性を理解してもらうための活動。虹色絵本会という、LGBT やセクシャルマイノリティを、比較的自然に認知してもらえるよう絵本を広める活動をしている。将来的には、LGBT コーナーのある図書館や小中学校に当該の絵本を置いてもらい、子供達にも性の多様性を身近に感じてもらえる環境づくりに注力したいという。
• SVR……SVR(Sound Virtual Reality)とは、見て聞いて感じる音楽を実現するしくい。音楽を目で見て楽しめる「音ゲー」や、音楽にマッチした映像が同時に流れる「見る音楽」を作るという。音ゲーは売り切り制、見る音楽は月額制で課金したいとしている。