145マガジン
ヤフー を運営するZHDと ヤマト が握手 通販物流 強化
ネット通販が日常になり、出荷数が急増したで、いわゆる 通販物流 が悲鳴を上げていて、ドライバー不足や配送料の値上げを生じ、配送会社自体の事業の見直しなどにも迫られている状況がある。そこで ヤフー が動いた。 Zホールディングスは、大手のヤマトホールディングスと業務提携を行い ヤマト ホールディングスがYahoo!ショッピングやPayPayモールにおける受注から出荷までの代行を行う物流サービスを提供すると発表。具体的には「フルフィルメントサービス」と「ピック&デリバリーサービス」と呼ばれるものだ。
ヤフー 、Yahoo!ショッピングとPayPayモールで、ヤマトとの 連携 進め 通販物流 を強みに
そこで、重要なのが、ネット通販のプラットフォーマーが物流と寄り添い、物流の負担を軽減し、かつ自らの顧客の利便性向上につなげるかだと思うのだ。
「フルフィルメントサービス」においては、ヤマトが倉庫作業を担うので、仮にストアが定休日であっても、出荷を可能にする。いうまでもなく、受注から出荷までのリードタイムが短縮されて、翌日配達の件数を増やし、顧客の利便性を向上させることができる。ここでAmazonや楽天市場などに対抗しうる配送環境が構築されることになる。
フルフィルメントまで、やらないとしても、出荷作業の負担の軽減として、「ピック&デリバリーサービス」を用意して、出荷作業の負担を軽減できるとともに、物流にかかる人件費などのコストを削減できるようにした。
ヤマトはヤフーの受注予測を得る事で生産性が向上
思うに、僕は再三、物流の課題はヤマトなどの配送会社だけで解決しようとするから無理があると言い続けてきた。つまり、配送会社は発生した物流に対して動くことはできてもその受注予測はできないからである。なので、人員なり倉庫なりに、投資をしようにも予測できないから投資ができないのである。
故に、この問題を解決するには、プラットフォーマーとの連携を密にして、その受注予測に基づき、配送事業を見直せば、しかるべきところで配送人員や倉庫の確保などが可能となり、配送、物流に関しての業務一つ一つの生産性が高くなるわけだ。 かつ、ヤフーはこの物流に関しては、これまで大きな対策を打っていなかった為、出遅れていた感があるが、ここで物流の知見を持つヤマトとの連携を強化して、一体となって顧客の利便性を高められれば、ネット通販の肝である物流でも強みを発揮することができる。
顧客に対しても、このサービスの良さを実感してもらうべく、「Yahoo! JAPAN」は同サービス利用ストアの商品を購入した人限定で、送料相当額の「PayPayボーナスライト」を付与し、実質送料を無料とする期間限定のキャンペーンの実施も行うとした。
PayPayモールの先にリアルとネットが融合した買い物の世界
かつ、ここでZホールディングスが、もう一つ、注目すべき発表をしているので取り上げたい。それは、「Xショッピング」構想だ。
これは、彼らの事業の対象をオンラインだけでなくオフラインも含めた年間約150兆円のBtoC物販市場に拡大するというもの。PayPayモールが生まれた時、Yahooショッピングとの違いはどこにあるのか、という議論が叫ばれていたが、思うに、僕は、最初からこの辺を念頭に置いているのではないかと思っていた。
つまり、PayPayモールの先にあるのはネットとリアルすべてを融合したショッピング体験なのだ。
なので、発表の説明にもこうあった。出店ストアの「実店舗」の在庫情報を「PayPayモール」に連携することにより、「PayPayモール」上で取り扱う商品数が拡充されると。ユーザーは出店ストアの実店舗にある商品も含めて「PayPayモール」上で欲しい商品を検索、購入できるようになり、商品の選択肢が広がるわけだ。
また、購入した商品を最寄りの実店舗で受け取ることができるので、ユーザーは欲しいと思った時に、店舗に赴くことで配達を待つことなく、商品を手に入れることができる。
出店ストアにおいては、実店舗の集客につながり、商品を受け取りに来たユーザーが店舗にある別の商品を購入するなどの「ついで買い」による売上増も見込めるというわけだ。
買い物はよりシームレスな時代へ
恐らく、ここで多くのファッションブランドを抱えるZOZOとの連携も生きてくると思っている。例えば、ファッションブランドのシーンを生かした提案や試着などリアルの強みを生かしながら、顧客は、ネットとリアルの間で、利便性の高いサービスを受ける流れになる。そのどちらで購入しても、それはPayPayの残高に還元される動きができれば、ZHDはネットとリアル両面に跨って、売り場を触発し、売上を上げて、強い影響を及びすことができる。
しかも、ロハコとの連携も、ZOZOとの連携も、物流の強さもきっと視野に入れてのことだと思っていて、それらをフルに活用して、ヤマト含め、リアルとネットにおける買い物がシームレスに展開されることを狙っていそうだ。
ZHDの代表取締役の川邊健太郎さんはもともとメディアへの思いがある人だけに、恐らくこのリアルなマーケットをYahoo!が培ってきたメディアと紐づけてきそうだと僕は睨んでいる。「メディアの先に全ての消費行動が生まれる」くらいは狙っていそうに思うので、この物流のきっかけを通して、ネットとリアル両側面の小売にどんな変化をもたらすのか、注意深く見てみたいところだ。