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PayPay、100億円キャンペーンの効果は? 第2弾はセキュリティ問題を解決
2018年12月に実施した「100億円キャンペーン」で話題になったPayPayは2月4日に記者会見を行い、同社の中山一郎社長執行役員CEOは、前回のキャンペーンを「大きな成果があったが、課題もあった」と振り返る。一体、どのような成果があり、どう課題を解決しようとしているのか。
12月4日から実施された、PayPayの大規模キャンペーンの第1弾となる「100億円あげちゃうキャンペーン」は、QR決済サービス「PayPay」を利用した決済時に会計金額の20%、もしくは抽選で全額をPayPay残高で還元するという施策だ。19年3月31日まで実施する予定だったものの、還元率が高いと話題になったことで、キャンペーン目当てのユーザーが殺到。わずか10日間で終了した。
期間中はSNSや各メディアで連日取り上げられた他、加盟店各社でもPayPayのキャンペーンに合わせて独自の施策を打ち、PayPayの利用を促した。その効果は絶大だったようだ。
中山社長は会見で、「前回のキャンペーン以降、QRコード決済サービスの名称認知度、サービス理解でNo.1を獲得するほど認知度が飛躍的に向上し、加盟店も10倍になるなど大きな成果が得られた。サービス開始4カ月で累計登録者数は400万人を突破し、今も伸び続けている」とキャンペーンの効果をアピール。1月8~10日に付与したPayPayボーナスは総額で115億円相当だった。不正利用かどうかの検証は現在も進めており、2億円の付与が保留になっている。
一方で、「課題も明らかになった」と中山社長は語る。まず、キャンペーン開始当日をはじめとして4回発生したシステム障害。これについては、「キャパシティの拡張や管理体制の強化など、システムの安定化に向け全社をあげて再発防止に取り組む」という。
また、クレジットカードの不正利用もあったが、中山社長は「悪意あるユーザーが、不正入手したクレジットカード情報をPayPayに登録し、商品を購入。カードの元の持ち主に身に覚えのない請求が来る、という事態が発生してしまった。不正被害額は、カード会社と連携し全額当社が補償していく」と今後について語った。
すでに実施した不正対策は、「セキュリティコードを含むカード情報の入力回数制限」や、30日間以内で5万円の上限を追加する「カード利用時の上限額変更」、24時間以内で2万円の上限を追加する「カード利用時の上限金額追加」、「本人認証サービス(3Dセキュア)の導入」の4点。中でも、問題視された、セキュリティコードの試行回数が無制限だったことについては、「20回以上の試行があって登録された件数は全13件だったが、カード会社で確認した結果、全件で不正利用はなかった」(中山社長)という。
その後に開催されたヤフーの2018年度第3四半期決算説明会で、ヤフーの川邊健太郎社長は、「セキュリティ上の問題は解決したということで、第2弾の100億円キャンペーンを実施することになった」としている。還元する上限額は1会計あたり1000円。川邊社長は、「日常的に続けて使っていただきたい」と期待を述べた。
また、「今回のキャンペーンで明らかになった課題は、同時に成果ともいえる。ユーザーにクレジットカード情報の管理を啓発するなど、気付きにつながった。キャッシュレス社会を実現するには、セキュリティは今後も強化していくが、ユーザーの意識改革も必要になる」と川邊社長は訴えている。