日経クロステック
freeeが会計データに基づく融資サービス、「銀行破壊の波」が日本にも
freee finance labは2019年6月24日、個人事業主や中小企業などのスモールビジネス向けにクラウド会計データを基にした融資サービス「資金繰り改善ナビ」を開始すると発表した。freee finance labの武地健太社長は、「黒字倒産の割合が47%もあるほど中小企業の資金繰りは厳しく、融資を受けるハードルも高い。資金繰りのニーズは確実にある」と意気込みを語った。
freee finance labはクラウド会計サービス「会計freee」を提供しているfreeeの子会社。今回提供を始めた「資金繰り改善ナビ」はこのクラウド会計データを分析して、現金および預金の過去9カ月の残高推移や翌3カ月の残高予測をグラフで示す。予測は独自のロジックによるもので、残高の下限と上限ラインを示す。同社によると予測の精度は80%程度という。資金繰り改善ナビは会計freeeのユーザーならば無料で利用可能。
資金繰りが厳しい場合に、3つの手段を提示する。「オファー型融資」「請求書ファイナンス」「freeeカード」だ。
オファー型融資は提携した金融機関が借り入れ条件を試算して借り手の企業に提示するもの。6月24日にサービスを開始した。試算の段階では信用情報に履歴を残さないことや、事前に借り入れ可能か分かるといったことがメリットだ。当初の提携先金融機関はライフカードと三井住友カードの2社。ライフカードの融資額は10万~250万円で金利は年率12~18%、返済期間は最大12カ月。三井住友カードの借り入れ条件は非公開だが、富士通と協力してパッケージソフト「Cloud Lending」を使ってシステム化した。
請求書ファイナンスは売掛債権をオンラインで現金化するサービスで7月に提供を始める。同サービスを手掛けるOLTAと提携して、会計freee上で使えるようにする。最後のfreeeカードはスモールビジネス向けのクレジットカードを使って資金を調達するもので、クレジットカードそのものは以前から提供している。限度額は資金繰り改善ナビ上で表示されるようになる。
5月にはマネーフォワードのグループ会社が同様の融資サービスを始めるなど、非金融機関による企業融資の選択肢が広がっている。銀行の中核業務である企業融資にもデジタル・ディスラプションの波がいよいよ及んできた。